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日本論6

 日本を論じる場合、さまざまな専門研究・先行研究を参照することになります。わたくしの場合、繰り返し参照するものがいくつかありますので、しばらく、こうしたものを取り上げます。
 まず、日本を論じる基礎として、歴史家の歴史研究が重要になります。もちろん、歴史研究であれば、だれでも、なんでもよいわけではありません。

網野善彦
『「日本」とは何か』 (日本の歴史00)
講談社、2000年。

第一章 「日本論」の現在
  1 人類社会の壮年時代
  2 日本人の自己意識──その現状

第二章 アジア大陸東辺の懸け橋──日本列島の実像
  1 アジア東辺の内海
  2 列島の西方地域の交流
  3 列島の北方・南方との交流
  4 東方の太平洋へ
  5 列島社会の地域的差異

第三章 列島社会と「日本国」
  1 「倭国」から「日本国」へ
  2 「日本国」とその国制度
  3 「日本国」と列島の諸地域
  4 列島諸地域の差異
  5 「日本・日本人意識」の形成

第四章 「瑞穂国日本」の虚像
  1 「日本は農業社会」という常識
  2 「百姓=農民」という思い込み
  3 山野と樹木の文化

第五章 「日本論」の展望
  1 「進化史観」の克服
  2 時代区分をめぐって

参考文献
索引

 網野の日本論には、さまざまな著作で触れることができるが、本書は、その重要な論点が明確に、しかも日本論として提出されている。
・日本列島の地域的差異
・「日本」は歴史的に形成されたもの。「「壬申の乱」に勝利した天武の朝廷が「倭国」から「日本国」に国名を変えたとき」「七世紀末」。「日本」を国家体制として理解するとき、7世紀の歴史がポイントとなり、「不可分の「天皇」と「日本」」という事情が明らかになる。日本史とは、この理念としての「日本」の形成・成立と列島全体への展開の歴史ということになる。
・「瑞穂国日本」という虚像。「日本的」と通常考えられる「常識」のかなりの部分が比較的新しい形成物(江戸あるいは明治)の過去への投影。しかし、虚像と実態とは、二分法的に並列されるものではなく、相互に媒介し合っていることがポイント。
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アガンベン・メモ(14)

 あまり間をおくと、つながりがわからなくなりますので、アガンベン・メモ(ジョルジョ・アガンベン『身体の使用──脱構成的可能態の理論のために』のメモ)は、意識的に登場させるようにします。今回は、「4」に入って2回目。「Umgang」(交渉・交わり)というドイツ語のニュアンスの確認です。出発点は、ケレーニイのギリシヤ神話研究ですが、内容は明快です。比較的短いセクションです。

4・2
「ケレーニイ」「神性との人間の関係を表現するために用いた"Umgang"というドイツ語を他の言語に翻訳することの不可能性」「主体と客体の交換可能性」と「直接性」の双方をともに含意している点。
「現存在と世界とのあいだにあっての直接的な〈内存在〉関係の特徴づけるのに手立てとしている他の二つの語」「手元にあること(Zuhandenheit)」「適材適所であること(das Bewandtnis)」、「世界への根源的な関係のうちにあっての現存在の構造そのものを名指ししている」

アガンベン・メモ(13)

 ほんとうに久しぶりの、半年ぶりの、ジョルジョ・アガンベン『身体の使用──脱構成的可能態の理論のために』 (みすず書房、2016年(原著、2014年))についてのメモを掲載します。今回から、「4」に入ります。あまり詳細すぎるメモは続きませんので、できるだけ簡略化したいと考えていますが、どうなるでしょうか。

 念のために、全体の流れと、これまでの議論をまとめておきます。
 まず、『身体の使用──脱構成的可能態の理論のために』 (みすず書房、2016年(原著、2014年))の目次は、次のようになっています。

まえおき

プロローグ
第一部 身体の使用
第二部 存在論の考古学
第三部 〈生の形式〉
エピローグ 脱構成的可能態の理論のために

訳註
訳者あとがき

文献目録
人名索引

 次に、「第一部 身体の使用」のこれまでの議論は、次のような項目で進んできました。
1 働きを欠いた人間 (アリストテレス、奴隷から身体の使用へ)
2 クレーシス (「使用」の言語論、バンベニストの中動態の議論)
3 使用と配慮 (フーコー、主人と下僕、あるいはサドマゾ)

 そして、今回から、「4 世界の使用」であり、以下より、わかるように、議論は、ハイデッガーの「配慮」よりスタートします。

4・1
「自分は『存在と時間』を読んでいない、とフーコーは冗談を飛ばしている。が、彼が同書の「現存在の存在としての配慮(die Sorge[気遣い])」という意味ありげなタイトルの付いた章を知らなかったと想像するのはむずかしい。」「配慮」「存在論的意味において、現存在の根本構造」「として」「《意欲や願望、衝動や性向》といった諸現象よりも《存在論的に先行して》」
「この配慮の存在論的優位がどのように分節化されるか」、「自分がつねにすでになにか別のもののうちに置かれているのが見いだされる」、「配慮という実存論的にア・プリオリなものは、あらゆるア・プリオリがそうであるように、つねにすでに配慮そのものとは別のなにものかに内蔵している。」「この「~のうちにある」という特徴」
「配慮の構造をもつ現存在は、すでにつねに事実的に世界のなかに投げいれられており、ハイデガーによると「世界の世界性」を定義しているという一連の指示や関係のうちに挿入されている。」「配慮されてい世界内的に手元にあるもののもとで存在していること」
「手元にあること(Zuhandenheit)」「《手を使って仕事する慣れ親しんだ交渉(dimenstichezza che usa a maneggia; der gebraichende-hantierende Umgang)》」

実践神学2

 実践神学についての続編です。扱う文献も、前回に扱った文献の続編です。
 今回の文献の「刊行のことば」によれば、続編刊行、しかも、4年後というあまり時間をおかない刊行の理由は、次のようなものです。
「特に第二部の充実が要望され、例えば、今日的な「農の神学」が取り上げられていないこと、差別問題や人権についての具体的な論及と展開が不十分であることなどが指摘された。その他各方面からの要望、特に第二部の「現代的展開の課題」の充実を求める声に接し」、「また宣教活動の具体的側面についても充実させる必要を感じ・・・」。

神田健次、関田寛雄、森野善右衛門編
『総説 実践神学Ⅱ』
日本基督教団出版局、1994年。

刊行のことば
凡例

Ⅰ 教会
  第一章 聖礼典と式文 (北村宗次)
  第二章 結婚と葬儀 (飯沢忠)
  第三章 教会音楽 (横坂康彦)
  第四章 教会建築 (長久清)

Ⅱ 宣教
  第一章 信徒伝道 (平田哲)
  第二章 青年伝道の歴史と課題、そして展望へ
    ──日本基督教団の場合を中心に (上林順一郎)
  第三章 文書伝道 (高戸要)
  第四章 他宗教との対話 (幸日出男)

Ⅲ 環境と平和
  第一章 「南北」問題と教会
    ──特に対外累積債務問題をめぐって (山野繁子)
  第二章 アジアの環境問題 (荒川純太郎)
  第三章 宣教の課題としての農業・農村問題 (星野正興)
  第四章 沖縄の自然と開発・軍事基地
    ──白保・新石垣空港建設反対の闘い (西尾市郎)

Ⅳ 人権
  第一章 子ども (久世礼子)
  第二章 精神障害者 (酒井信介)
  第三章 被差別部落 (東岡山治)
  第四章 在日朝鮮人問題への神学的接近 (徐貞順)
  第五章 苦悩する魂──アイヌ民族の人権 (チカップ恵美子)
  第六章 外国人労働者 (松田瑞穂、越川弘英)

あとがき
事項索引
人名索引
執筆者紹介

 前半は、「教会と宣教」という前編では確かに不十分であった事項が大幅に拡張されている。後半は、前回の第二部の充実という意図がわかる。こうした点にも、現代日本の神学と教会の状況が反映されている。
 「総説」という論集の趣旨からして、なるべく多くのテーマを広く取り上げることになる。しかし、それは「総説」とは別の仕方・企画で追求されるべきものだろう。しかしその前に、「実践神学とは」「神学とは」という問題について見通し立てることが先決だろうか。

本日のボンヘッファー

 いよいよ8月もお盆の季節になり、大学もしばらくは事務室関係も休みとなります。今週は、実質的に、大学全体が夏休みといった状態です(もちろん、完全に機能が止まるわけではありませんが、)。本日から数日間は、まだかなりの暑さになりようですので、暑さの中、がんばりたいと思います(台風も気になりますが)。

 では、久しぶりに、次の文献から、ボンヘッファーの言葉を引用します。

マンフレート・ヴェーバー編
『信じつつ祈りつつ──ボンヘッファー短章 366日』
新教出版社、1997年。

「自分自身の生の真実をがまし取る者は、間違いなく神の真実をもだまし取る者となる。」(8月13日)

 ボンヘッファーからの短い引用は、その真意がわかりにくことが少なくありませんが、今回はどうでしょうか。自己の事柄と神の事柄が緊密な関わりにおいて理解されていること、これは、多くの実存主義的なキリスト教思想に共有された考えです。神についての語りは自己についての語りと不可分でいると、あるいは前者は後者の仕方でのみ可能になると。ボンヘッファーはどうでしょうか。
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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