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キリスト教思想の焦点としての言語30

 「キリスト教思想と言語」という問題は多岐にわたり、多くの論点・テーマを含んでいます。これまでの流れて言えば、このあたりで、解釈学を取り上げることも考えられますが、解釈学については、手元にある文献がかなりの数にのぼるため、今の段階では着手することが困難です。そこで、これまでの紹介文献における、テキスト、読者、読解という連関に注目し、受容美学へと進み、その後、テリー・イーグルトンとノースロップ・フライという文学研究・文学批評の大家へと紹介を続けることにします。

 今回は、受容美学から。
 「本を読む」とは、読者がテキスト世界を理解する、受容することとして捉えることが可能であり(新しい文学史研究)、受容から美的体験へ、あるいは読者による意味構成へと議論を組み立てることができる。前者はヤウス、後者はイーザーという論者に結びつけられ、両者の議論は、通常、受容美学・受容理論として語られる。こうした理論の進展は、哲学のテキスト理論(リクール)や聖書解釈学において注目されることになり、キリスト教思想にとっても注目すべき動向であった。

 ヤウスの受容美学の代表作は、次の文献。

H・R・ヤウス
『挑発としての文学史』
岩波書店、1999年。

日本語版への序文

Ⅰ 挑発としての文学史
Ⅱ 芸術の歴史と一般史
Ⅲ 芸術時だの終焉
  ──ハイネ、ユゴーおよびスタンダール
     における文学革命の諸相

原注
訳注
あとがきにかえて 

 原著は次の通り。

Hans Robert Jauß,
Literaturgeschichte als Provokation,
Suhrkanmp, 1970.

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キリスト教思想の焦点としての言語29

 しばらくエーコの文献を紹介してきたが、言語をめぐり、記号論からテキスト解釈学・物語論・読者論への展開を確認することができた。そこで、この議論のラインを確認しておきたい。

 今回は、まず、キリスト教との関連でも問題となるフランク・カーモード。

フランク・カーモード
『秘義の発生』
ヨルダン社、1982年。


1 肉的な意味と霊的な意味
2 〈ホティ〉の問題──物語はなぜ曖昧か
3 マッキントッシュの男、シャツの少年
4 発展の必須要因
5 事実とは正確になにか
6 筋を追えない世界

原註
訳注
訳者あとがき
索引

フランク・カーモード
『終わりの意識──虚構理論の研究』
国文社、1991年。

日本語版はしがき
はしがき

Ⅰ 終末
Ⅱ 虚構
Ⅲ 始めも終わりもない世界
Ⅳ 現代の黙示録
Ⅴ 文学的虚構と現実
Ⅵ 独房監禁

原注
訳者あとがき

 「虚構と現実」という問題が、言語、テキスト・物語、読解という議論において展開されるのは、この時期のいわば共通問題であり、さまざまな思想家がこの問いに取り組んでいる。多様な思考実験がなされ、それにキリスト教思想も絡んでいる。

 こうした中で、「読解」についての精密な議論が求められることになる。詳細は次回以降にして、ここでは、次のスコールズの文献のみを挙げておきたい。

ロバート・スコールズ
『読みのプロトコル』
岩波書店、1991年。


第一章 読むこと──間テクスト的行為
第二章 解釈──プロトコルの問題
第三章 批評──レトリックと倫理

訳者あとがき
引用文献

 なお、このスコールズの原著は、次のものであり、わたくしの手元にある。
Robert Scholes,
Protocols of Reading,
Yale University Press, 1991.


『学術の動向』から

『学術の動向──科学と社会をつなぐ』 2019. 10 (日本学術会議)が届きました。
 昨日は、台風19号が近畿にも接近し、京都も自転車が倒れるなどの影響がありました。京都大学を会場とした、宗教倫理学会・第20回学術大会は、懇親会中止以外には、ほぼ予定通り行うことができ、ほっとしています。この数日は、台風へどう対応するかで大変でしたが、なんとか無事に、また、午後の島薗先生の基調講演とシンポジウムは、内容的に充実したものとなり、20周年の節目にふさわしいものとなりました。関係のみなさま、ありがとうございました。わたくしとしても、今後の宗教倫理学会の課題・方向性について、いろいろ見えてきたように思います。
 先週は、後期授業開始間もない時点で、ばたばたとあっという間に過ぎましたが、今週からは、腰を落ち着けて進みたいと思います。

 さて、10月の『学術の動向──科学と社会をつなぐ』では、通常通り、二つの特集が収録されいますが、その前に次の記事が置かれています。

■SCJトピックス
「日本学術会議会長談話「『地球温暖化』への取組に関する緊急メッセージ」を公表」
 メッセ-ジの宛先は、「国民の皆さま」で、「私たちが享受してきた近代文明は、今、大きな分かれ道に立っています」と書き出されています。メッセージは、5つの項目から構成されており、メッセージの後に、「メッセージの解説」が付されています。

 根拠はIPCCですが、ここが気になるのは、わたくしだけでしょうか。環境は、政治と経済という視点が不可欠ということです。
 
【特集1】「持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた環境リスクを考える──有害物質と私たちの健康と生活」
 「持続可能な開発目標(SDGs)」は、今や、文明の方向性に関わるキーワードとなっている。「過去の環境リスクの事例」から学ぶことは不可欠であるが、ここに、従来の議論の弱点が存在しないのだろうか。形だけの学び、リスク評価、アセスメントにならないようにしたいものである。

<第一章:過去の環境リスクの事例解析から学ぶ>
・「水俣病」
 (村田勝敬)
・「イライイタイ病:公害病認定後50年間の住民による環境再生の闘いとその成果」
 (青島恵子)
・「土呂久砒素中毒」
 (黒田嘉紀)
・「四日市公害から学ぶ環境政策と国際環境協力」
 (朴恵淑)
・「我が国で発生した公害から学んだこと」
 (野原恵子・秋葉澄伯・石塚真由美・那須民江)

<第二章:今、世界が注視している環境問題>
・「わが国の製品中有害化学物質の管理とその問題点」
 (益永茂樹)
・「市民へのアスベスト曝露の健康リスク評価と管理」
 (久永直見)
・「寛容プラスチック汚染とその対策」
 (高田秀重)
・「原子力公害における解決と諒解──犠牲のシステムから関係性を尊重する共生社会へ」
 (近藤昭彦)
・「わが国が直面する環境リスクとその管理」
 (續輝久・浅見真里・渡辺知保・那須民江)

<第三章:持続可能でウェルビーイング社会の実現に向けて>
・「未来の洗浄を考える」
 (金子洋平)
・「つかう責任──SDGs未来都市・小国町の取組」
 (森恵美)
・「公害裁判から未来の行動目標へ」
 (大塚直)
・「環境モデル都市の取り組み」
 (中村桂子)

 過去・現在・未来という配置。なるほど。

【特集2】「危機に瀕する学術情報の現状とその将来 Part 2」
・「学術情報としての政府統計の利活用の現状と課題」
 (北村行伸)
・「学術誌をめぐる諸問題と将来展望」
 (山口周)
・「学術の信頼性を損なう捕食雑誌問題」
 (野上識・武田洋幸)
・「オープンサイエンスに関する政策と方向」
 (橋爪淳)
・「オープンサイエンスと研究データ基盤」
 (喜連川優)
・「産業界から見たデータ利活用における課題と期待」
 (佐々木直哉)

 この問題は、人文系の研究領域でも、重大であり、よくよく考える必要がある。

 そのほかに、次の記事。

◆「学協会の今──社会と向き合う 12」
・「社会と向き合う公営社団法人日本薬学会」
 (高倉喜信)

キリスト教思想の焦点としての言語28

 エーコの文献を紹介してきましたので、「言語論」関係ではありませんが、エーコで重要なもう一つの研究領域、美学・中世研究に関わる文献を取り上げます。

Umberto Eco,(translated by Hugh Bredin)
Art and Beauty in the Middle Ages,
Yale University Press, 1986 (イタリア語原著は、1959.)

Abbreviations
Translator's Note
Preface

 Introduction
 I. The Medieval Aesthetic Sensibility
 II. Transcendental Beauty
 III. The Aesthetics of Proportion
 IV. The Aesthetics of Light
 V. Symbol and Allegory
 VI. Aesthetics Perception
 VII. The Aesthetics of the Organism
 VIII. Development and Decline of the Aesthetics of the Organism
 IX. Theories of Art
 X. Inspiration and the Status of Art
 XI. Conclusion

Bibliography
Index


Umberto Eco (translated by Hugo Bredin),
The Aesthetics of Thomas Aquinas,
Radius, 1988. (イタリア語原著は、1970.)

Preafce
Translator's Note

 I  Aesthetics in Medieval Culture
 II  Beauty as a Transcentental
 III The Function and Nature of the Aesthetics Visio
 IV The Formal Criteria of Beauty
 V  Concrete Problems and Applications
 VI  The Theory of Art
 VII  Judgment and the Aesthetic Visio
 VIII Conclusion

Notes
Bibliobraphy
Glossary
Index

宗教倫理学会・第20回学術大会

 宗教倫理学会・第20回学術大会が、明日(10月12日)に京都大学文学部(吉田キャンパス・本部構内)で、開かれます。台風19号の接近のため、開催に関して、さまざまな検討を行いましたが、台風進路と天気予報を元に、下記のような仕方で、ほぼ予定通りの開催が可能と判断しました。

 足下にお気をつけて、お集まりください。

宗教倫理学会・第20回学術大会
  ・大会テーマ: 「「心」から宗教倫理を問う
  ・10月12日(土) 京都大学文学部校舎・第3講義室
   https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/about/access/
  ・プログラム:
     個人研究発表(9:00-11:45)
     昼食・評議会:11:45-13:00
     総会:13:00-13:30
     公開講演・シンポジウム
       基調講演:13:30-14:30
          島薗進(東京大学名誉教授)
          「慈悲と暴力
          ──日本仏教の倫理思想の
             現代的理解のために」
       シンポジウム:14:45-16:30
                (あるいは16:00まで)
          澤井義次(天理大学)
          小原克博(同志社大学) 
          竹下・ルッジェリ・アンナ
              (京都外国語大学)
     記念撮影・閉会
 
     懇親会は中止となりました。    
          
プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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