現代フランス哲学を/に学ぶ

 現代フランス哲学は現代思想において重要な位置を占めている。それは、キリスト教思想に関しても同様であり、現代フランス哲学についての基礎知識はさまざまな研究で要求される。しかし、その重要性にもかかわらず、現代フランス哲学は独特の世界を形成しており、それを学ぶことは、かなり苦労する場合が少なくない。これから現代フランス哲学を学ぼうとする人の手助けとなる文献(教科書・教材)が刊行された。一読されてはいかがだろうか。

戸島貴代志、本郷均編
『現代フランス哲学に学ぶ』
放送大学教育振興会、2017年。

まえがき (戸島貴代志)

 1 現代フランス哲学概観 (戸島貴代志)
 2 源流としてのベルクソン (戸島貴代志)
 3 ベルクソン哲学の進展 (戸島貴代志)
 4 ベルクソン哲学の可能性 (戸島貴代志)
 5 戦後のサルトル哲学理解のために (本郷均)
 6 サルトルの哲学 (本郷均)
 7 メルロ=ポンティの哲学1 (本郷均)
 8 メルロ=ポンティの哲学2 (本郷均)
 9 1960年代からの思想状況 (慎改康之)
10 ミッシェル・フーコーの哲学1 (慎改康之)
11 ミッシェル・フーコーの哲学2 (慎改康之)
12 1980年代からの思想状況 (杉村靖彦)
13 ポール・リクールの哲学1 (杉村靖彦)
14 ポール・リクールの哲学2 (杉村靖彦)
15 現代フランス哲学に学ぶ (戸島貴代志、本郷均)




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ブルンナー3

 前回は、ブルンナーの『正義』を取り上げましたが、ブルンナーにおいては、同時代の神学者がそうであったように、正義が問われる社会・共同体の問題が積極的にテーマ化されています。まさに近代がその根本から問われたということであり、それは文明論という射程をもつことになります。今回は、それにぴったりなものを紹介します。

エーミル・ブルンナー
『キリスト教と文明の諸問題』川田殖、川田親之訳
新教出版社、1982年。

はしがき

キリスト教と文明 第一部 根本問題〈要約〉

キリスト教と文明の諸問題
まえがき

第一講 技術
第二講 科学
第三講 伝統と革新
第四講 教育
第五講 労働
第六講 芸術
第七講 富の問題
第八講 慣習と法
第九講 力(権力)の問題
第十講 キリスト教文明観・文化観

結び 文明を超えるものとしてのキリスト教

一学生から見たブルンナー先生──解説に代えて (川田殖)

本書に関しては、「はじがき」で次のように説明されています。
 「原著は二部からなるが、第一部(First Part, Foundations, 1948)にはすでに熊澤義宣教授による立派な邦訳(『キリスト教と文明』、現代キリスト教思想叢書第一〇巻所収、白水社、一九七五年)があるのでここでは割愛し、巻頭に訳者(親之)によるその要約を掲げた。」(ii)

 最後に収録された、翻訳者・川田殖の文章も興味深い。

「キリスト新聞」から

 KiriShin(The Kirisuto Shmbun, キリスト新聞、第3466、Feb. 21. 2018) が届きました。前号の本ブログでの掲載が遅れた関係で、前回紹介から、あっという間に新しい号が届いたという感じです(もちろん、単なる感じですが)。大学は、そろそろ一般入試が次の日曜日から始まるということで、学内はその準備の大詰めといったところです。明日は、あるいは今日も、下見の受験生が学内を訪れるでしょうか。少子化の影響が一段と厳しくなるとの状況の中での大学入試です。

<第01面>
・「「マイノリティー」として生き延びるミャンマーのキリスト者」「少数民族の牧師家庭に生まれた研究者が報告」
 「パウ・シアン・リアンさん(早稲田大学政治経済学術院博士課程在籍、比較政治学専攻)」「少数民族ゾミ(チン族)の牧師家庭に生まれた。アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団の教会員」

 第一面はその号の中心テーマあるいは中心的なニュースの提示と関連の写真によって構成されます。
 
<第02面>
「「少数派」への暴力・迫害の実相」「軍事政権下のミャンマー情勢を共有」

 「ロヒンギャ虐殺の影で、ミャンマー国内のキリスト教徒への迫害がある」、「宗教間対話や協力がないわけではない」「一方で変化の兆しもある」。

 国民国家がスタンダードなあるべき国家であるとされた近代。世界が近代化をめざす現代。国民国家の統合は少数民族問題が常に伴っている。体制間枠組みが強固な時代は押さえ込まれ、見ないところで行われてきた抑圧・迫害が、近代的体制枠組みが揺らぎはじめ、一挙にその実相を顕わにしてきている。国家と民族との関係という古代以来の宿題が舞い戻ってきている。それに宗教が交差し、問題はさらに複雑化する。たしかに、「近代」は一つの回答であったが、それを投げ出してしまったときに、何が残るのかだろうか。一つは暴力・・・。軍事独裁という異常現象が恒常化する世界。

<第03面>
「News/ニュース」「Topics/トピックス」:
・神学:「「裃を脱いだキリスト者」テーマに東日本大震災国際神学シンポ」
・社会:「賀川豊彦が目指した社会 日本生活協同組合連合会が出版」
・社会:「性搾取問題ととりくみ会 高齢化で今年3月に解散」
・社会:「WCRPとKCRP 日韓青年交流会を共催」
・社会:「年末にお寺で三宗教トーク 大分で牧師・僧侶・宮司が意気投合
・海外:「国際飢餓対策機構 ロヒンギャ難民へ緊急支援」
・海外:「中国に「法の支配」あるか UCAN通信が批判を展開」
・海外:「スペインでプロテスタント急成長 教会総数4045に」
・海外:「スイスでは無宗教者が全体の4分の1に」

<第04面>
・「宗教リテラシー向上委員会」:「厳粛さと熱狂のはざまで」 波勢邦生 (「キリスト新聞」関西分室 研究員)
「皆既月食」「インドネシアのキリスト教徒っちの間で流れている噂」「南アフリカ共和国の自称預言者」「宗教にはさまざまな側面がある。」
「ウイィアム・ジェームズ」「人間存在が収縮するような気分、人間存在が拡大するような気分」、「恐怖と服従」「平安と自由」、「「終末」や「奇蹟的治癒」という概念」
「地球そのものがネットワーク化されつつある現在」「人は見たものを発信し、その引力が時勢を形成していく」「ルターの「万人祭司」」「インターネットは宗教にどんな影響を及ぼすだろう」。
「人類という主語で「概念」を信じて互いに語り合うことばが各宗教に求められている。」

・「縦断列島 書店員日記」: 「沖縄の春 仕事のやりがい」 金城芳朗(沖縄キリスト教書店)、次回は北海道キリスト教書店

<第05面>
・「置かれた場所は途上国」:
 フィリピン 下 「初心に立ち返って」:平本 実

・「CinemaReview [映画評]」:「世界を覆う不寛容・他者は遺跡への警鐘」藤本徹
  『THE PROMISE/君への誓い』監督:テリー・ジョージ
 「ローマ帝国よりも古く、世界で最も古くキリスト教を国教としたアルメニア人の故郷喪失」「なぜいまアルメニア人大虐殺なのか。それはひとえに、21世紀初頭の今日世界を覆う不寛容・他者排斥への警鐘だと言える」。

<第06面>
・「伝道宣隊 キョウカイジャー+αアルファ」
 「集団ケンシンに待った!」 総督
 「明確なビジョンと戦略があるなら、ぜひ牧師として旧態依然とした業界を「中から」変えてほしい」

 限界線に直面して、大きな変革が求められている。日本の宗教界全般の課題。もちろん、キリスト教も。

<第07面>
・「Topics/トピックス」:今回は、ここに「トピックス」の続きが入る。
 「「クリスチャントゥデイ」現役従業員が声明」「〝一翼担ってきたkoとをお詫び〟」
 「クリスチャントゥデイ異端疑惑をめぐる弊社従業員声明」

・「Information/インフォメーション」

<第08面>
・「BookReview/書評」

・「TV/Radio」[テレビ/ラジオ]

ブルンナー2

 エーミル・ブルンナーの著作の紹介を開始しましたが、今回はその2回目です。おそらく、現時点で再評価すべきものの中に加えられるのは、次の文献であろう。

エーミル・ブルンナー
『正義──社会秩序の基本原理』
聖学院大学出版会、1999年。

凡例
序文
序言

序論
 第一章 西洋における正義の理念の崩壊

第一部 基礎論
 第二章 本研究の意義
 第三章 正義の「場」
 第四章 正義と法
 第五章 正義と平等
 第六章 平等の根拠
 第七章 不平等の根拠
 第八章 正義の神聖な法
 第九章 人間の平等性──自由への権利
第一〇章 人間の不平等と共同社会の諸権利
第一一章 個人主義と集団主義
第一二章 正義と自然法の問題
第一三章 静的正義と動的正義──歴史的相対性
第一四章 正義と聖書の啓示
第一五章 正義と愛

第二部 各論
 第二部への序言
第一六章 諸秩序の正しい形成
第一七章 家庭の正しい秩序
第一八章 経済の正しい秩序
第一九章 大衆と正しい秩序
第二〇章 国家の正しい秩序
第二一章 正しい国際秩序

結論 限界


訳者あとがき (寺脇丕信)

 訳者あとがきは、訳者による詳しい解説となっており、本書を読む上で有益であろう。初版の出版より70年以上が経過したが、「正義」はその後の繰り返し問われ、現代に至っている。キリスト教思想として正義論を再検討する必要があるが、その際は、本書にはしかるべき評価が与えられねばならないだろう。 

賀川豊彦とキリスト教的な政治経済論

 賀川豊彦は、キリスト教社会主義あるいはさまざまな協同組合運動との関わりを含めたキリスト教思想と実践で著明な人物であり、今後正当な再評価が必要と思われる(徐々にそうなりつつあると言えるだろうか)。
 今回、取り上げるのは、英語で出版され、長い間、日本語訳がなかった文献で、賀川が新川スラムで活動を開始してから100年を記念し、邦訳されたものであり、賀川のキリスト教的な政治経済理論を知るには、重要なテキストである。

賀川豊彦
『友愛の政治経済学』(加山久夫・石部公男訳)
日本生活協同組合連合会、2009年。

監修者 まえがき (野尻武敏)

序文
第1章 カオスから抜け道はあるのか
第2章 キリストと経済
第3章 唯物論的経済観の誤り
第4章 変革の哲学
第5章 世々を貫く兄弟愛
第6章 現代の協同組合運動
第7章 兄弟愛の講堂
第8章 協同組合国家
第9章 友愛に基づく世界平和

参考文献
訳者あとがき
索引

 邦訳が刊行された時期は、リーマンショック(2008年)の直後であり、民主党政権が誕生した頃であって、キリスト教的経済論の見直しなされ、「友愛」(Brotherhood)という言葉が新鮮に受け止められた。賀川の再評価は、このころから、目立ち始めたように思われる。
 わたくしは、この邦訳が出版されたときに、それを購入し所蔵していたが、その後行方不明になったため(どなたかにお貸しして、まだ返却されていない?)、今回、再度入手することになった。2018年度は、演習で賀川を取り上げる予定である。
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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