環境破壊としての戦争

 戦争は最大の環境破壊であるということは、古代より一貫した事実であり、ローマ帝国は環境破壊国家でもあった。この事態は、現代においても自覚すべき事柄であり、環境と平和とは、一つの問題系を構成しているのである。そして、これは聖書解釈とも密接に関わっており、その点で、次の論集は重要な意味を有している。

Anne Elvey and Keith Dyer with Deborah Guess (eds.),
Ecology Aspects of War. Engagements with Biblical Texts,
Bloomsbury T&T Clark, 2017.

Contributors
Acknowledgements
Abbreviations

1. Introduction:
Ecological Aspects of War -- Eagagements with Biblical Texts
 Keith Dyer and Anne Elvey

2. 'A Bow in the Clouds' (Genesis 9.13):
YHWH's QESET and the Rainbow Serpent as Metaphors of Life
 Jeanette Mathews

3. Drones Over Sodom:
Resisting the Fantasy of Seculity
 Carolyn Alsen

4. Reading the Magnificat in Australia in Contexts of Conflict
 Anne Elvey

5. 'Dealing with the Enemy':
Ecological Reflections out of Luke's Story of Jesus
 Michael Trainor

6. The Death of Absalom:
The Forest Is Mightier than the Sword
 Marie Turner

7. Desolate Land / Desolate People in Jeremiah and Lamentations
 Elizabeth Boase

8. Violence and Destruction in Opposition to Judgement and Righteousness
 Anne Gardner

9. The Four Horsemen of the Apocalypse
and the Consequences of War (Revelation 6.1-11)
 Keith Dyer

10. War, Ecology and Engagements with Biblical Texts:
A Response
 David G. Horrell

Biblopgraphy
Index of References
Index of Authors
Index of Subjects

 最後にホレルが登場している。




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環境倫理学のその後

 環境倫理学は、1980年代頃から、日本においても大きく取り上げられるようになり、大学における科目として定着して久しい。しかし、環境倫理学を支える現実理解は、21世紀に入り、転換しつつあり、以前と同じというわけにはいかなくなってきている。こうした問題意識で書かれた文献を取り上げたい(しかし、この文献も時間経過の中で最新ではなくなってきている。そろそろ次が必要か?)。

加藤尚武
『新・環境倫理学のすすめ』
丸善ライブラリー、2005年。

はじめに
第1章 京都議定書の意義と限界
第2章 持続可能性とは
第3章 石油が枯渇する日
第4章 保全保存論争
第5章 自然保護と生物多様性
第6章 生物学と環境倫理学
第7章 ペンタゴン・レポート
第8章 自由市場と平等
第9章 国際化
第10章 リスクの科学と決定の倫理
第11章 先進国の未来像
第12章 戦争による環境破壊

あとがき
参考文献

 環境倫理学は、科学技術とともに経済・政治という諸分野との連関において展開されねばならないことが、よく示されている。

イヴォネ・ジェバラ

 この2年ほど、学部の講読では、前期が日本語訳でティリッヒを、後期はリューサー・ヘッセル編の Christianity and Ecology 所収の論文を取り上げてきた。今年度後期は、リューサーの論文「エコフェミニズム──神学への挑戦」を読んだ。その中で、参照されていたのが、イヴォネ・ジェバラである。日本では、それほどの知名度かもしれないが、エコフェミニスト神学においては、重要な思想家の一人である。
 今回取り上げるのは、主著(David Molineaux による英訳)の一つである。

Ivone Gebara,
Longing for Running Water. Ecofeminism and Liberation,
Fortress, 1999.

Preface
Introduction

1. Knowing our Knowledge: The Issue of Epistemology
 Epistemology in Search of Meaning
 Knowledge and Ethics
 The Hierarchical, Anthropocentric, and Androcentric Bias of Patriarchal Epistemology
 Patriarchal Epistemology in Theology
 Ecofeminist Epistemology

2. The Human Person from an Ecofeminist Perspective
 Beginning to Talk about the Human Person
 Questioning the Autonomy of the Human Person
 The Patriarchal Perspective:
   Its Value and Limitations
 "Person" in an Ecofeminist Perspective:
   A Tentative Construction

3. God: An Ecofeminist Approach to the Greatest of Mysteries
 Relatedness as a Language and an Experience of the Divine
 Issues Raised about Ecofeminist Discourse on God
 God: Models and Mystery
 God: My Hope

4. Ecofeminism and the Trinity
 Feelings and Associations Related to the Trinity
 What Human Experience Is Described by Trinitarian Language?
 Religious Language and Its Crystallization in Institutions
 Reconstructing Trinitarian Meanings and Celebrating Life

5. Jesus from an Ecofeminist Perspective
 The Road I Have Walked with Jesus
 Ecofeminist Challenges to Our Relationship with Jesus of Nazareth

6. That All may Have Life: The way to a New Understanding of Religion
 The Issue That Concerns Us
 The Destruction of Green Things, of Diversity, and of Our Synbols
 Religion and Community Life
 A Religion That Isn't in Crisis
 Religious Biodiversity

Epilogue: As the Deer Longs for Running Waters

Notes
Bibliography
Index

 2000年の時点で、リューサーは、エコフェミニスト神学の構築は今後の課題と述べており、そこで、ジェバラを参照したわけであるが、ジェバラにおいて、本格的な神学形成への動きを見ることは十分に可能と思われる。


 

  



 

環境と経済2

 昨日に続き、『これがすべてを変える──資本主義 VS. 気候変動』の後半=下巻を紹介します。第二部途中からです。

ナオミ・クライン
『これがすべてを変える──資本主義 VS. 気候変動 下』
岩波書店、2017年。

 第7章 救世主はいない
   ──環境にやさしい億万長者は人類を救わない
 
 第8章 太陽光を遮る
   ──汚染問題の解決法は・・・汚染?

第三部 何かを始める
 第9章 「抵抗地帯」
   ──気候正義の新たな戦士

 第10章 愛がこの場所を救う
   ──民主主義、投資撤退、これまでの勝利
 
 第11章 ほかにどんな援軍が?
   ──先住民の権、世界を守る力

 第12章 空を共有する
   ──待機という共有資産、気候債務の返済

 第13章 命を再生する権利
   ──採掘から再興へ

 終 章 跳躍の年
   ──不可能を成し遂げるために残されたぎりぎりの時間

訳者あとがき
原注/索引

 「新たな戦士」が求められている。それには、ネットワーク以外に、強力で持続的な核が必要になる。それは、何か。そして、透徹した科学性(自然科学から社会科学、人文科学まで)も。キリスト教はどこに立つのか。

環境と経済1

 環境問題と経済とは、相互に密接に関わっており、環境危機を論じるには、経済システムの問題に触れざるを得ない。これは、本ブログの基本的な立場であるが、こうした問題意識は決して特定の思想家を越えて、多様な立場において共有されつつある。今回紹介するのは、まさにこの問題意識を共有する文献である。著者は、あのナオミ・クライン。紹介は、上下巻のそれぞれについて、2回にわけて、行う。

ナオミ・クライン
『これがすべてを変える──資本主義 VS. 気候変動 上』
岩波書店、2017年。

序章 気候変動によってすべてが変わる

第一部 最悪のタイミング
 第1章 右派は正しい
   ──昨日変動にはらまれた大変革のパワー
 
 第2章 ホットマネー
   ──自由市場原理主義はいかにして地球の温暖化を促進したか

 第3章 民間から公共へ
   ──新しい経済への移行を阻むイデオロギー的障害を克服する

 第4章 計画と禁止
   ──見えない手を叩き、運動を起こす
 
 第5章 搾取/搾取主義を超えて
   ──内なる気候変動否定派と対峙する

第二部 魔術的思考
 第6章 根ではなく実
   ──大企業と大規模環境保護団体の破壊的一体化

原注

 本書は、三部構成であるが、邦訳ではそれを上下2巻にわけため、上巻が第二部の途中で終わることになっている。第二部は、あろ二つの章を含むが、これらは下巻に収録されている。
 もちろん、ナオミ・クラインの議論のすべてに同意できるわけではない。気候変動の中身とその要因はもっと複雑な議論を要するはずであり、経済活動から気候変動の全体が説明できるというのは、それ自体、新自由主義的イデオロギーの中から形成され、現在はやや変質しつつある議論であろう。しかし、環境危機が人間の経済活動とさまざまに結び付いており、人間の責任は経済と政治というレベルで果たされるべきであることはその通りであろう。
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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