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中世哲学研究46

 中世哲学研究というよりも、中世史研究に分類すべきものと思われるが、中世の異端運動(神秘思想や修道制とも関連する)を取り上げたのに続いて、若干の文献を取り上げたい。
 中世異端研究といえば、グルントマンの古典的研究を思い出す。わたくしは、学生時代に上田先生が特殊講義で、エックハルトを論じる導入としてであったか、グルトンマンを紹介したていたとを記憶している。その後、購入したのが、次の文献である。

H・グルントマン
『中世異端史』
創文社、1973年。

 本文が日本語訳で120頁に満たない小著であるが、40頁を超える原注が付された専門研究である。原著の出版は、1963年であるが、その後中世史研究は大きく進展することになり、異端史研究もかなりの展開があったものと思われる。わたくし自身は、こうした研究状況をフォローできているわけではないが、次の著書が手元にある。

原田武
『異端カタリ派と転生』
人文書院、1991年。

序章 ラシゴドックの「善信者」たち
第一章 現世という牢獄・グノーシス主義について
第二章 天使の失墜・カタリ派の教義
第三章 光の国への帰還のために・儀礼と戒律
第四章 現世をいかに生きるか・完全者と帰依者
第五章 一二世紀のラングドック・普及の問題
第六章 「正統」からの攻撃・アルビジョワ十字軍
第七章 モンギュール・カタリ派の終焉
終章 異端カタリ派と現代

あとがき
主な参考書
地図

 参考書には、上のグルントマンの著書が挙げられている。
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中世哲学研究45

 中世哲学研究を、修道院、神秘思想へとたどると、それは中世の異端運動へ至ることになる。異端運動とその歴史は、中世思想・中世史のいわば裏面・影というべきテーマであるが、きわめて重要な問題である。次の文献は、全体像をおさえるのに、有益である。

Petra Seifert (Hg.)
Geheime Schriften mittelalterlicher Sekten,
Pattloch Verlag, 1997.

Vorwort
Einführung Häresie und Orthodoxie

Kapitel 1
 Der Häresiebegriff im Mittelalter
Kapitel 2
  Die Inquisition
Kapitel 3
 Christlicher Dualismus -- Gnostiker und Manichäer
Kapitel 4
 Die Bogomilen
Kapitel 5
 Die Katharer
Kapitel 6
 Die Waldenser
Kapitel 7
 Franziskaner-Spiritualen, Fraticellen und Pseudo-Apostel

Anfang
 Verbreitungsgebiete der einzelnen Ketzergruppen
  (Karten)
 Glossar
 Literaturhinweise
 Register

 なお、各章は、それぞれの内容についての、Quellentext がドイツ語訳で収録されている。たとえば、第一章は次の通り。
Kapitel 1
 Die theologische und kirchenrechiliche Basis mittelalterlicher Theologen
 Die Verschärfung des Häresiebegriffs im Mittelalter
 Unterschied zwischen dem Häresiebegriff der Alten Kirche und der Kirche des Mittelalters
 Kirche und Staat im Hochmittelalter
 Die Entwicklung der Ketzerbekämpfung seit dem 11. Jahrhundert
 Quellentext 1 Die Synode von Verona (1184)
 Quellentext 2 Das dritte Laterankonzil
 Quellentext 3 Die Einheit und Einzigkeit der Kirche

中世哲学研究44

 中世哲学研究から神秘思想研究ということで(この両者の関係をどう考えるかは大きな問題です)、ニッグ、ベンツへと文献を辿ってきました。神秘思想ということで、あといくつかの文献を追加します。
 まずは、神秘思想の全体をおさえるのに便利な文献。

Gerhard Ruhbach/Josef Sudbrach (Hg.),
Christliche Mystik. Texe aus zwei Jahrtausenden,
Beck, 1989.

 神秘体験の多様性と統一性を扱った序論からはじまって、キリスト教的神秘主義の土台としての聖書、使徒教父、オリゲネス、初期修道、ニュッサのグレゴリオス・・・、そして、現代まで続きます。それぞれ、思想家についての簡単な紹介と短いアンソロジーから構成されています。

中世哲学研究43

 これまで、取り上げてきたものへの追加です。すでに、フィオーレのヨアキム関係の手元の文献については、説明が終わったつもりでいましたが、ヨアキム研究者として著名なリーブスへの検定論文集を忘れていました。

Julia Eva Wannenmacher (ed.),
Joachim of Fiore and the Influence of Inapiration. Essays in memory of Marjorie E. Reeves (1905-2003),
Ashgate, 2013.

 論集は、全体が三部構成になっており、第一部(Perspectives on Joachim of Fiore's Life and Work) には、E. Randolph, Bernard McGinn, Christopher Rowland, Matthias Riedl, John V. Flemingの4本の論考が収録。
 第二部(Joachim of Fiore's Influence in the Later Middle Ages)には、Fabio Troncarelli, Julia Eva Wannenmacher, Christoph Eggerの3人の論考が寄せられている。
 第三部(Joachim of Fiore's Influence in Early Modern Europe)には、Kathryn Kerby-Fulton, Sabine Schmolinsky, Anke Holdenried が寄稿している。

 これらの論考とともに、リーブスの主要著作の文献表、索引などが付せられている。

 研究室の文献整理を進めると、思わぬ発見がある。この論集とともに見つかった文献に、中世哲学研究との関わりで紹介してもよい、クザーヌス関係の文献が存在していた。クザーヌス全集(Nicolai De Cusa. Opera Omnis, Ferix Meiner, 1965)の XIV2、つまり、De Concordantia Catholica の第二巻である。どうして、第二巻だけが所蔵されることになったのか、所有者としてもややなぞである。購入年月日は記録あり、1988.27th.Aug.となっている。おそらく、この文献は、図書館に所蔵されているはずのものであり、寄贈するわけにもゆかず、現時点では、結局は、処分することになるような気がしている。

中世哲学研究42

 中世哲学との関わる神秘思想に関わる研究として、前回はニッグの著作を取り上げた。今回はほど同世代のやはりこの分野で著名な研究者の著作を紹介したい。エルンスト・ベンツ(Ernst Benz、1907-1978)は、『キリスト教──その本質とあらわれ』(平凡社)の邦訳などが存在するが、わたくしの手元には、次の2冊の文献が存在する。

Ernst Benz,
Die Vision. Erfahrungsformane und Bilderwelt,
Klett, 1969.

 Visionをめぐる諸問題を包括的に論じている。

Schöpfungsglaube und Endzeiterwartung. Antwort auf Teihard de Chardins Theologie der Evolution,
Mymphenburger, 1965.

 ベンツの幅の広さが伺える著作。

プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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