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中世哲学研究32

 昨日は、ノリッジのジュリアンの『神的愛の啓示』を紹介しましたが、わたくしの関心は、現代のエコ・ファミニスト神学との連関でノリッジのジュリアンを理解するということから始まっており、この研究構想は実はまだ生きています。というわけで、ノリッジのジュリアンに関しては、現在の研究動向にも関心が、手元にも、何冊かの研究書が所蔵されています。

・Frederick Christian Bauerschmidt,
Julian of Norwich and the Mystical Body Politic of Christ,
University of Notre Dame Press, 1999.

・Chritopher Abbott,
Julian of Norwich. Autobiography and Theology,
D. S. Brewer, 1999.

・Denys Turner,
Julian of Norwich, Theologian,
Yale University Press, 2011.

 研究動向に関心があると言っても、自分の研究テーマとの関連においてであり、決して専門研究と言えるようなものではない(むしろ、趣味に近い?)。中世の修道制は奥が深く、まだまだ取り上げるべき思想家が存在する。ノリッジのジュリアンなどは、ぜひ専門研究者が現れてほしいものである。
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中世哲学研究31

 中世の修道制に関わる文献を取り上げてきています。今回は、ノリッジのジュリアン(1342?-1413?)です。宗教改革に100年以上先立つ、イングランドの修道士・神秘思想家であり、近年、エコ・フェミニスト神学との関わりで注目されることがある人物です(彼女の著書は、現存するものとしては、女性によって書かれた最古の英語文献と言われます)。わたくしがジュリアンに関心をもったのは、サリー・マクフェイグらの著作を通してです。
 次の文献は、有名です。

Julian of Norwich,
Revelations of Divine Love,
Penguin Books, 1998.

Introduction
Further Reading
Translator's Note

Revelations of Divine Love
Short Text
Long Text

Notes
Appendix I: List of Showings
Appendix II: Original Texts of the Revelations
Appendix III: Margery Kempe's Meeting with Julian

中世哲学研究30

 前回は、アビラのテレサ(テレジア)を取り上げたが、同じカルメル会で、中世から近世にかけての代表的人物と言えば、十字架のヨハネが挙げられるだろう。ヨハネの方がテレサよりも年少であるが、同時代人であり、二人は出会っている。
 まず、十字架のヨハネの言葉(翻訳)が読めるものとして、手元にあるのは、次のもの。

・十字架の聖ヨハネ
『霊の賛歌』
ドン・ボスコ社、1963年(2008年)。

緒言(東京男子跣足カルメル会院長)に続いて。

はしがき(ヨハネ)
霊魂と天の花むことの間にかわされる歌
概要
注解

「第一の歌」から「第四十の歌」まで
霊魂と天の花むことの間にかわされる歌

・カルメル修道会・編
『愛への道──十字架の聖ヨハネの生涯と教え』
聖母文庫、1991年(2005年)。

『カルネル山登攀』『暗夜』『霊の賛歌』からの抜粋と小伝記、手紙が収録されている。また索引が付されている。

 また、日本における十字架のヨハネの研究と言えば、次の文献が、第一に挙げられねばならないだろう。

・鶴岡賀雄
『十字架のヨハネ研究』
創文社、2000年。

序文
略記号表

第Ⅰ部 序論
  一 生涯と時代
  二 作品
  三 思想の源泉
  四 方法と視点

第Ⅱ部 道程
  一 神への翻案/人への翻案──『ロマンセ』の位置
  二 愛にみちた──『カルメル山登攀』における否定神学とそれを破るもの(1)
  三 見ることと触れること──『カルメル山登攀』における否定神学とそれを破るもの(2)
  四 夜の構造──『カルメル山登攀』・『暗夜』の根本イメージ
  五 魂の受動性──『暗夜』の根本問題

第Ⅲ部 合一
  一 合一を語る言葉──『愛の生ける炎』における神秘的合一のイメージ(1)
  二 魂の中心/神の中心──『愛の生ける炎』における神秘的合一のイメージ(2)
  三 甘美な接触──『愛の生ける炎』における神秘的合一のイメージ(3)
  四 神のかげ──『愛の生ける炎』における神秘的合一のイメージ(4)
  五 私の胸で恋人は目覚める ──『愛の生ける炎』における神秘的合一のイメージ(5)
  六 合一の人称──『霊の讃歌』における神秘的合一把握

あとがき
人名索引
英文目次

中世哲学研究29

 中世(ル=ゴフ的には長い中世)の修道制は、あまりにも巨大なテーマであり、ここで取り上げうるものは、そのほんの一端に過ぎない。しかも、多くは二次的文献や翻訳である。また中世の修道制は(そもそも修道制は)、神秘主義、神秘体験と重なり合っており、それは哲学思想とも関連することになる。

 今回紹介するのは、中世から近世への移行期、宗教改革と対抗宗教改革に時代を生きたアビラのテレサであるが、テレサは、人々の霊益のために祈りについての本を書いて欲しいとのグラシアン師の要請に対して、はじめは、この要請に対して、次のような理由で断った(以下紹介の文献の冒頭に掲載の、監修者・鈴木宣明による紹介文、による)。

「何故、私が書かねばならないか。それは神学者たちの務めである。彼らはこれらにことについて研究している。また、これらの諸テーマについて取り扱っている、多くの本がある。私はまったくふさわしくない。」

 修道制の中での瞑想・思索は、それ自体がそのまま哲学や神学となるわけではない。しかし、両者の関係は決定的に重要である。テレサは、最終的には、トレド大司教座教会主任司祭ベラスケスがグラシアンの要請を支持したので、祈りについての本の執筆を引き受けた。それが、今回紹介する文献であり、恩恵の状態にある人間の霊魂を栄光の城のイメージにもとづいている。この霊魂の城には7つの住いが存在し、栄光の主が住う第七の住いをほかの六つの住いが包んでいる。

アビラのテレサ
『霊魂の城──神の住い』
聖母文庫、1992年。

「アビラの聖女テレサの『霊魂の城──神の住い』に寄せて 「例に生きる人々の母」─アビラの聖女テレサ」
 (鈴木宣明)

第一の住い
第二の住い
第三の住い
第四の住い
第五の住い
第六の住い
第七の住い
むすび

『霊魂の城──神の住い』における聖女テレサの中心的な幾つかの言葉
聖女テレサの生涯
聖女テレサの刷新修道院創立

訳者あとがき (高橋テレサ)

 なお、霊魂の城と祈りとの関係は、次のように述べられている。
「私が理解しうる限りにおいては、この城に入るための門は祈りと黙想です。」(39)

中世哲学研究28

 フィオーレのヨアキムについては、先の記事で、ティリッヒとの関わりを指摘した。この点については、以前に、小原さんとの共著で出版した、『キリスト教と現代──終末思想の歴史的展望』(現代思想社、2001年)の第三章で、簡単に論じたことがある(こうした一般向けの著作では、通常の専門研究では扱えない(専門家ではないし専門研究を十分に踏まえているわけでもないため)テーマについて、やや自由に論じることができ、それが、後々に役立つことがある)。
 こうした経緯から、ヨアキムについては、いずれ本格的な研究を行いたいと考えた時期もあり、研究文献も若干は集めることができた。そうした中に、わたくしの蔵書には、古書というにふさわしいヨアキム関係の著作が存在する。

Joachim di Fiore,
Vaticinia sive Prophetiae, (神託あるいは予言)
Zentralantiquariat der deoutischen Demokratischen Pepublik, Leipzig, 1972.

Unveränderter fotomechanischer Nachdruck der Originalausgabe 1589、と説明されている。

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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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