宗教改革の発端・最初期

 宗教改革500周年、いよいよ目前に迫りました。もちろん、宗教改革についての議論としては、それが中世のキリスト教の動向の中でさまざまに準備され(だからこそ、急速な展開・波及効果が可能だった)、それゆえ、カトリックにおける改革(対抗改革といわれるが)をも含む仕方で、さまざまな「改革」を引き起こした。しかし、そうであったも、ルターの存在はきわめて重要なことは変わりがない。特に、宗教改革の発端と最初期の諸文献は、基本文書と言うべきものであり、今回紹介するように、それが、一冊のしかも文庫で読めるようになったことは、きわめて意義深いと言わねばならない。

マルティン・ルター
『宗教改革三大文書 付「九五箇条の提題」』
講談社学術文庫、2017年

訳者序文 五〇〇年目のルターのために (深井智朗)
目次
凡例

贖宥の効力を明らかにするための討論〔九五箇条の提題〕
   (一五一七年 原文ラテン語)
キリスト教界の改善について──ドイツのキリスト教徒貴族に宛てて
   (一五二〇年 原文ドイツ語)
教会のバビロン捕囚について──マルティン・ルターによる序
   (一五二〇年 原文ラテン語)
キリスト者の自由について
   (一五二〇年 原文ドイツ語)

訳者解説 (深井智朗)
訳者あとがき (深井智朗)
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研究の足跡

 研究を継続的に行ってきていると、それを振り返り、まとめるという作業を行いたいと感じる時がある。それは、たとえば、自分の研究と教育の現場を、定年退職として離れる時である。
 今回、紹介の論集は、石黒則年さんからお送りいただいたものであるが、石黒さんの研究の足跡が記されたものである。

 石黒さんは、長年、大阪キリスト教短期大学で教育研究に携わられていた方であり、聖書学を中心としたキリスト教研究者(特に旧約聖書学)である。以前に、わたくしの著書『宗教学のエッセンス』を書評していただき、日本基督教学会などを通じての交流である。

石黒則年
『論文集および著作物リスト』
非売品、2017年。

・「アモス書における預言の系譜──祭儀預言者仮説をめぐって」
・「キリスト教的人間学への序論的考察──創世記1章26~27節における「神のかたち」をめぐって」
・「エッセネ教団とイエスの関わりについて──その歴史的・地理的・聖書学的検討」
・「最近のイエス伝研究の動向について──最後の晩餐の日付を例として」
・「旧約聖書の教育論から現代への示唆」
・「イエスと都市文化と接触点をめぐって──セフォリスからの考古学的情報をもとにして」
・「イエスの教説の倫理学的特質についての一考察──死海文書との関わりをめぐって」
・「『聖公会大綱』39箇条の神学的特徴とその現代的意味」
・「死海文書におけるダビデ像についての一考察──詩篇第151篇の研究からの論考」
・「イエス時代における熱心党の活動についての一考察──ガムラからの考古学的情報をもとにして」
・「1945年以後の日本のキリスト教史についての一考察~ことに日本フリーメソジスト教団の歩みをめぐって~」
・「コンテキストを重視した福音書解釈についての一考察~ルカ福音書23:42~43を事例として~」
・「現代的コンテキストを考慮した聖書解釈のパラダイムについての考察~聖書釈義から説教への展開を指向して~」
・「ポストモダン時代のキリスト教をめぐる一考察」
・「申命記34章1~12節に関する釈義的一考察──モーセの死を巡めぐって」
・「詩篇第2篇の釈義的一考察」
・「クリスマス物語の再検討」
・「フィリピン教会史から日本伝道への教訓」
・「申命記6:4-5に関する考察と翻訳文の提案~nepheshの概念を中心として~」
・「詩篇の編集と第121篇の釈義的考察」
・「詩篇第1篇についての釈義的再考察(改訂版)」
・「詩篇第23篇の釈義的考察」

 以上の論文の多くものは、大阪キリスト教短期大学の紀要『神学と人文』に掲載されたものである。 

ウーマニスト神学

 フェミニスト神学がアメリカの白人系の女性神学から出発したのに対して、それに対する批判と災禍の中で、アフリカ系アメリカ女性の神学が、ウーマニスト神学として展開した。通常、ウーマニスト神学(の名称)はアリス・ウォーカーによる言われているが、そのルーツはさらに遡るとも言われる。こうしたウーマニスト神学についての入門的な文献を紹介したい。

Nyasha Junior,
An Introduction to Womanist Biblical Interpretation,
Westminster / John Knox Press, 2015.

Preface
Introduction

PART Ⅰ  Historical Background
1. Three "Waves" of Feminism
2. Feminist Biblical Interpretation: Forerunners
3. Womanist Biblical Interpretation: Forerunners

PART Ⅱ  Contemporary Scholarship
4. Womanist Approaches in Religious-Studies-Related Fields
5. Feminist Biblical Interpretation
6. Womanist Biblical Interpretation

Conclusion
Bibliography
Index

 アジアの、日本の女性神学は、やはりフェミニスト神学なのだろうか。

栗林神学の遺産と継承1

栗林輝夫(西原廉太、大宮有博編)
『栗林輝夫セレクション1 日本で神学する』
新教出版社、2017年。

Ⅰ 解放神学と日本
  第1章 解放神学の洗濯・神は貧しい者を偏愛する
        ── マルクス主義から民衆の宗教へ
  第2章 見よ、神は谷中にあり── 田中正造の解放神学
  第3章 マルコムXと西光万吉 ── 二人のマージナル・マンをめぐって
  第4章 日本の解放神学者・賀川豊彦 ── その神学遺産の継承をめぐって

Ⅱ 日本で神学する
  第5章 民話・ユング・聖書 ── 『日本民話の神学』補論
  第6章 「帝国論」におけるイエスとパウロ
  第7章 日本で神学する

Ⅲ 環境と技術の神学
  第8章 原発と神学
  第9章 キリスト教は原発をどう考えるか──神学の視点から
 第10章 原発とテクノロジーの神学
 第11章 原発と田中正造の環境/技術の神学──人間は自然の「奉公人」

 付論 『荊冠の神学』韓国語版序文

解説
人名索引

 二年前に逝去された栗林輝夫さんの遺稿集の第一冊目が刊行されました。改めて、まさに神学の最前線を切り開きつつあった栗林さんの思索の意義をかみしめています。
 解放神学、日本、聖書論、原発、科学技術、いずれも、まさに継承すべき神学的テーマです。逝去される半年ほど前に、シンポジウムをご一緒したこと、栗林さんの笑顔を思い起こします。

「神」のはじまり、異端の業績

 キリスト教が当たり前に使う「神」「God」という翻訳語。それには意外な歴史があった。4世紀の正統と異端の分岐において、異端とされたキリスト教の系譜、アレイオス派こそが、「神」「God」の起源だった。異端はたんなる異端ではないということになるのかもしれない。異端には大きな役割がある、という見方をするとき、キリスト教史は別の記述が可能かも知れない。

小塩節
『「神」の発見──銀文字聖書ものがたり』
教文館、2017年。

はじめに──銀文字聖書
Ⅰ ゲルマン語聖書の誕生
  ドナウ河のほとりで
  ゴートの司教ウルフィラ
  ドナウ河南岸への脱出
  キリスト教初期の内情

Ⅱ 「神」の発見
   「グス」ということば
   主の祈り

Ⅲ 銀文字聖書、一五〇〇年の旅
  ゴート語訳原本と民族大移動
  ハンガリーでの発掘
  ヴェルデンの修道院での発見──16世紀半ば
  カール大帝の時代
  プラハからスウェーデンへ
  ゴート語の文献

Ⅳ 遠くて近いブルガリア
  東方キリスト教の静謐な地

おわりに──ウルフィラの最期

年表
参考文献
あとがき

「グス」「話しかけられ、呼びかけられる存在」「相談相手」
「わかっているのは、ウルフィラが史上最初のゲルマン語すなわちゴート語訳聖書において、「ホ テオス(デウス)」を、「グス」と訳した事実だけである。」(81)
「たえず相談を受けいれ、対話の相手になってくれる」「父なる神」「神の劇的な変容、変貌であった」(82)
「ウルフィラは「マタイによる福音書」「ルカによる福音書」の両方ともに「アッタ=父ちゃん」を用いた。」(91)
「初代キリスト教会では信徒たちが祈りの終わりにこの「アーメン」と唱えるようになった」、「「アーメン」が二世紀末のギリシア語聖書に取り入れられたと判断される。ウルフィラはギリシア語やヘブライ語のまま「アーメン」AMENと記した。」(102)
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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