2017年の教育の概要

 昨日は、今年度の研究の見通しについて、その概要をまとめた。これはわたくし自身ためのメモという趣旨であるが、同様の趣旨で、2017年度の教育に関しても、確認をおこなっておきたい。
 実は、本日は、2017年度のキリスト教学研究室ガイダンスが予定されており、午前中は大学院のガイダンス、午後1時から、研究室全体のガイダンス、そして午後3時からは、博士後期課程の研究計画発表、という順でプログラムは進められえうが、以下の点は、これらのプログラムでも説明される内容と重複する。
 なお、2017年度のわたくしの時間割(前期)とその概要は、すでに公表済みである。

 2017年度のわたくしが担当する授業の特徴・留意点は以下の通りである。

1.特殊講義1(火2):
 この特殊講義は、わたくしが現時点で取り組んでいる研究にもっとも近い内容を講義するものであるが、昨年度後期から、いよいよ京都大学での最後のまとまったテーマとして、「キリスト教思想と宗教哲学」へ入っている。ただし、今年度は、昨日も述べた『福音と世界』連載との関連で、現代神学が取り上げられる。もちろん、この現代神学の問題は、「キリスト教思想と宗教哲学」の内容に含まれるべきものではある。

2.特殊講義2(水2):
 もう一つの特殊講義は、概論講義と特殊講義1との中間的位置づけとして設定されたものであり、今年度は、新約聖書から宗教改革までの思想史研究が取り上げられる。その意図は、二つある。一つは、今年度のキリスト教学専修の授業では、キリスト教古代に関連した非常勤講師による授業が設定できなかったため、わたくしがそれに対応した内容を講義するという意図である。本来は、この分野の専門研究を行う常勤スタッフが必要であり、少なくとも非常勤講師による専門授業が不可欠であるわけであるが、非常勤枠が削減されてきた関係で、専門外のわたくしが可能な範囲での授業を担当することになった。ただし、不十分なりにも、近現代を専門にする者ならではの内容になるようにとは考えている。もう一つの意図は、宗教改革500周年に関わるものであり、宗教改革に関して、わたくしも、まとまった内容を扱っておきたいと考えた。

3.演習(前期:ティリッヒに関わる講読と演習、南原演習、後期:新約聖書・パウロ、内村演習、エコロジー神学の講読):
 演習は、テキストを読解し研究へと展開する訓練の場であり、人文学分野における中心的な授業である。特に、京都大学キリスト教学の演習では、世界的水準の研究に対して、新しいことを付け加えるような成果に繋がることが目標となり、本来学生にも、それだけの集中した取り組みが求められる(もちろん、この理想が、現実にどの程度反映されているかはもんだいではあるが)。
 演習という訓練場を十分に経ないで、講義関係の科目の単位を揃えて過程を終了するという者も、しばしば見られるが、京都大学キリスト教学のもっとも重要な授業を経験しないということは、まことにもったいないとしか言いようがない。
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2017年度の研究の概要

 2017年度がはじまり、研究に関しても2017年度の方向性を確認すべき時期となっている。ここでは、課題の確認を中心にメモを掲載していきたい(詳細は、後日、「ようこそ 芦名研究室へ」の方に掲載予定)。

1.研究の大枠は、二つの科研(厳密には、三つ)によって規定される。
 一つは、「拡張された自然神学の具体化としての「科学技術の神学」─東アジアの文脈で─」であり、もう一つは、トロヌ・カルラさんとの共同という形による、「日本のカトリック殉教者と歴史的記憶」である。特に前者の研究課題はさまざまな形で具体的に展開されることになる。後者については、さしあたり、「歴史的記憶」をめぐる理論的な議論を取り上げることになると思われる。

2.刊行予定の研究
 2017年度には、いくつかの書籍の刊行が予定されている。特に、今年度の前半と夏が、山場となる。
・シュスラー編の論集の翻訳出版。これは、ここ数年来取り組んできたものであり、10月頃の出版実現を目指した作業が行われる。
『東アジア・キリスト教の現在─家族・死者儀礼・公共性・ナショナリズム─』の出版。これは、当初は、かなり大きな出版企画として準備されたものの一部であり、したがって原稿自体はほぼ揃っている。あとは、若干の加筆・修正と仕上げが残っているだけであり、年内の刊行が目指されている。

3.『福音と世界』の連載と講義との連携
 毎月、連載のための文章を準備するのは従来の研究態勢に見直しを要求することになった。特に、大きいのは、大学での講義との有機的な関連付けであり、特殊講義と結びつけることによって、毎月の作業がスムーズに進むよう工夫を行う必要がある。また、これは科研による研究とも当然連関することになる。

4.学会・研究会との関わり
 学会・研究会への関与は、研究を行う上で、重要な意味をもっている。しかし、過度の関与は、研究時間に跳ね返ってくることになり、一方で責任を負いつつも、他方では、関与する役職の整理が重要である。2017年度は少し整理を行うことを試みたい(整理した一方で、新しい役職が増えるのは困ったことである)。

5.論文・研究発表
 研究は、「2」の書籍としての刊行のほかに、論文の執筆、口頭の研究発表という形で進められる。
 執筆すべき論文については、すでに3本(一つは8月末締めきり)が予定されており、これ以上は難しい状況であり、口頭発表(こちらは、9月)も、依頼を受けているもので手が一杯である。
 そのほかに、書評の依頼が、現在、3本。一つは連休前が締めきり、あとの二つは5月中。

 以上が、現時点で描いている、研究の概要である。

科研費による研究の成果報告書

 本ブログは、科研費によるわたくしの研究(2013年度~2015年度)の紹介を主要な目的にしているわけであるが、いよいよこの3月でこの研究プロジェクトは最終となり、成果報告書を作成する時期を迎えた。
 今回は、通常の成果報告書(A4サイズ)だけでなく、もう一つ、この研究プロジェクトとの関連で可能になった研究の報告書(A5サイズ)の二つを刊行することになった。ここでは、この通常の成果報告書が完成したので、その概要を示したい。

研究成果報告書「自然神学の言語論的転回とその社会科学への拡張─聖書・環境・経済─」
   (平成25~27年度科学研究費補助金(基盤研究(C))
    課題番号 25370070)
 
平成28年3月
研究代表者 芦 名 定 道
(京都大学・大学院文学研究科・教授)

<目次>
第一部 自然神学・聖書・環境・経済
 1.「脳神経科学からキリスト教思想へ」
    (京都大学キリスト教学研究室『キリスト教学研究室紀要』第2号、2014年)
 2.「脳科学とキリスト教思想──人間理解をめぐって」
 3.聖書と環境・経済:
    (集中講義「自然神学と「科学─宗教」対話論」、東京大学大学院人文社会研究
     科・文学部、2015年12月14日~17日、の講義資料より)
   ・聖書の社会教説
   ・聖書の経済・環境思想

第二部 東アジア・日本のキリスト教
 4.「東アジアのキリスト教とナショナリズム──内村鑑三の非戦論との関連で」
    (現代キリスト教思想研究会『アジア・キリスト教・多元性』第12号、2014年)
 5.「東アジアのキリスト教研究とその課題」
    (日本基督教学会『日本の神学』53、2014年)
 6.「キリスト教平和思想と矢内原忠雄」
    (現代キリスト教思想研究会『アジア・キリスト教・多元性』第13号、2015年)

第三部 中国におけるキリスト教的環境論
 7.張秋梅「リューサーのエコフェミニズム思想」(張旋訳)

 全体で100頁程度の報告書であるが、これができあがり、予算も完全に使い切ったので、この研究プロジェクトも締めくくりである。報告書は、部数が少ないので、限られた人にしかお送りできないが、手渡せる方には、3月から渡し始めて、送付の方は、4月に入ってからと考えている。(残る作業は、学振への報告書類を作成である。)

 というわけで、以前にお伝えしたように、本ブログは、3月末までは継続するが、その後のことは、しばらく考えることにしたい。今後は、研究プロジェクトの締めくくりを意識した内容が増えることになる。





2014年度の研究報告として

 本ブログの内容は、科研費によって行われている研究に関連づけられているわけであるが、すでに2014年度の研究報告は日本学術振興会に提出済みであるが、別の形での研究報告を行っていきたい。それは、わたくし個人というよりも、わたくしが関わる共同研究と言うべきものである。一つは、「アジアと宗教的多元性」研究会、そして一つは、京都大学キリスト教学専修である。前者は、共同研究と言いうる実質を一定程度有しているが、後者は、研究の共通の場であっても、共同研究と言うにはまだまだである。ともかくも、4月には、それぞれについて、2014年度の報告が研究雑誌という形でなされている。冊子の作成は現在進行中であるが、研究雑誌は電子ジャーナルとしてすでに公開済みである。
 以下、内容・目次を掲載しておきたい。

(1)『アジア・キリスト教・多元性』13号
 https://sites.google.com/site/kyotochristianstudies/home/asia/journals
 http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/197470

―― 論文――
 キリスト教平和思想と矢内原忠雄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・芦名定道(01)
 戦時下の日本YMCA『大陸事業』の評価について
   ――1960~70年代の言説を中心に―― ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・遠藤浩(19)
 A・ヴァリニャーノによる仏教語使用の企図――『日本史』(1601)を手がかりに――
                         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・狭間芳樹(35)
 海老名弾正をめぐる「神道的キリスト教」論争の再考察・・・・・・・・・・洪伊杓(53)
 明治期・内村鑑三における〈独立・自由・個〉の展開(2)
   ――反・社会観と親・社会主義の様相―― ・・・・・・・・・・・・柴田真希都(67)
 近世日本におけるカトリック「小教区制度」と「キリシタン町」の長崎
                       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・トロヌ・カルラ(87)
 岡山孤児院音楽隊を巡る音楽環境と、近代日本におけるキリスト教Band文化の
  萌芽をめぐって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・山本美紀(101)

―― 研究ノート――
 マンダラとマリア十五玄義図の類似性――ユングの元型論を手がかりに――
                       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・髙橋勝幸(127)

 あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(139)

(2)『キリスト教学研究室紀要』3号
 https://sites.google.com/site/kyotouchristianstudiesreports/home/kiyou
 http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/197480

-論文-
 キリスト教思想と宗教言語─象徴・隠喩・テキスト─ 芦名 定道 (1)
 力のない言葉:アウグスティヌス『教師論』における意味理論 須藤 英幸 (19)
 キリスト教の神の日本語訳「神」 -「用語問題」との関連で- 金 香花 (35)
 日清・日露戦争時期(1894-1905)における韓国キリスト教の日本認識 洪 伊杓 (57)
 リューサーのフェミニズム神学による終末論批判 張 旋 (67)

-研究ノート-
 「伝道の神学」における「キリスト教と諸宗教」の問題
   ――フライタークの救済史的伝道理解から―― 南 裕貴子 (79)
-研究動向-
 Yearbookで見るキルケゴール研究の動向 谷塚 巌 (99)

 あ と が き (109)

2015年を迎えました

明けまあして、おめでとうございます。
本年も、よろしく、お願いいたします。


 新年のスタートに合わせて、わたくし自身の今年の研究計画をまとめておきたいと思います(わたくし自身のためのメモ)です。
 2015年の大きなテーマは、次の二つになります。
1.「自然神学の言語論的転回とその社会科学への拡張─聖書・環境・経済─」の総括
 本ブログのもとになっている科研が3年目を迎え、締めくくりの年度にかかることになります。3年間の研究をもとにして、研究報告書を作成すること、これが2015年の大きな課題になります。そのために、作業を行う場として、京都大学での特殊講義・後期と東京大学での集中講義を使わせていただく予定です。これで、締めくくりが可能になるというのが、現時点での見通しです。ほかに、このテーマでの特別の研究会を一回程度、設定することがあるかもしれません(ほかの研究会との関係が問題になりますが)。

2.「近代日本とキリスト教思想の可能性──研究序説」(仮)の刊行
 今年は、構想を示しつつも時間の関係で先延ばしとなっていた論集の刊行を具体的に目指します。出版社はすでにあてがあるので、後は原稿をそろえることです。原稿の素材はすでに十分に存在していますので、要は時間をあけて集中的に仕上げを行えばよいのですが、これまではこれが難しかったわけです。今年は、2015年度の京都大学・特殊講義・前期をこのテーマに設定し、夏期に集中的な作業を行うという予定であおりますので、おそらくは、秋には原稿を出版社に送ることができるというのが、スケジュール的な見通しです。そうすれば、2016年前半に刊行となるでしょうか。まったくの初夢とからなければよいのですが。

 ほかにも、2015年にやるべき研究は少なくありません。おもいつくだけでも、以下の通りです。
・シュスラー編の論集の翻訳。翻訳の下準備の研究会が今年度中にはおわりますので、いよいよ具体的な翻訳作業に入ります。あと2年といったスケジュールになります。

・上の翻訳作業のためにはじめた研究会を、「宗教哲学・否定神学」研究会に改変し、メンバーも増やして(ほかの研究会とも関連づけて)、スタートする。この「宗教哲学・否定神学」研究会には、二つの部門を設定し、定期的な研究会のほかに、次に作業を行う。一つは、シュスラー編著の翻訳であり、もう一つは、「宗教と科学」「宗教学・キリスト教学」「環境」といったテーマでの教科書作成です。教科書は2~3年間で出版までの作業を行い、大学・学部での講義で使用することを実現する構想です。この教科書については、翻訳作業のメンバーとも加わることになりますが、ほかの新しいメンバーも加わります。また、この教科書構想は、次の共同研究とも連関します。

・南山宗教文化研究所を中心に進められている「科学と宗教の対話」研究会。テンプルトン財団の研究助成によるプロジェクトですが、この具体的な目標の一つが、教科書であり、この作業が上の教科書構想と重なるわけです。このプロジェクトにもわたくしはコミットしていますが、これに連動した研究会を京都大学で行うことを考えたわけです。

・「アジアと宗教的多元性」研究会。こちらは、すでに10年を超える活動を地道に行ってきましたが、研究会としての形式的な体制を整えつつも、共同研究を研究報告書以外の仕方で形にしたいと考えています。議論がこのあたりで止まっていますので、次のステップへ移ることを考えたいと思います。

・所属諸学会や日本学術会議への関与も、わたくしの自身の研究といろいろと関係することもありますし、また、今年から関係している京都大学文学研究会科のCAPEとの関わりも微妙です。こうした中から、急にしなければならない研究関連の仕事が生じる可能性があります。

・これらの仕事の間をぬって、論文執筆や講演・講座の担当もしなればならないでしょう。

 以上は、研究に関連した事柄ですが、これに、京都大学職員組合や過半数代表者の任務が加わります(授業は当然、これらの別に存在します)。
 このように研究計画をまとめてくると、2015年は大変な一年になりそうな見通しですが、関係の方々のご協力を得て、なっとくできるレベルでそれぞれ実現したいと思います。
 2015年、よろしく、お願いいたします。
プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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