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2018年度夏の研究3

 最近の数年の間に、「日本・アジア」に関連して行ってきた研究をまとめて、出版してきました。『近代日本とキリスト教思想の可能性──二つの地平の交わるところ』 (三恵社 2016年)と、『東アジア・キリスト教の現在』 (三恵社 2018年)です。この夏は、これらと共に三部作(もともと一冊の形で刊行を計画していたもの)となる三冊目を出版できる形にしたいと考えています。こうした作業は、授業などの通常の仕事を行う必要がある期間には実施しにくいものであり、夏にぴったりの研究と言えます。
 基本的に、これまで雑誌などで発表済みの論文を整理・補足・修正することなりますので、まったく新しい研究ではありませんが、まとまった時間が必要です(若干の部分は新たに書き加えることにはなります)。

『東アジア・キリスト教研究とその射程──無教会キリスト教を中心に』 (仮)
はじめに

第一章 無教会キリスト教のダイナミズム

第二章 内村鑑三の日本的キリスト教──鈴木大拙の視点より

第三章 矢内原忠雄の近代理解と科学技術論

第四章 南原繁の政治哲学とその射程

むすび──東アジア・キリスト教研究の可能性

参考文献
索引
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2018年度夏の研究2

 「科学と宗教」関係論は、過去30年ほどのわたくしの研究テーマの一つであり、本ブログで紹介している研究の中心に位置する。特に最近は、脳科学や原子力などについて集中的に議論を行ってきている。脳科学と宗教について言えば、両者の関係を搭載のポイントは、両者の間に「心」を挟むことである。つまり、「科学技術=脳科学・心・宗教」という問題設定であり、すでにそのアウトラインを描く作業を完結していると言ってよ。しかし、この問題設定をより具体化するには、ここにさまざまなテーマを関連付けることが必要になる。
 これが、この夏の研究テーマであり、とくに、人工知能(AI)、ロボット、脳科学の医療への展開(統合失調症など)、社会心理学などが留意される。8月に取り組むべき仕事として、次のものがある。

・『福音と世界』の連載(「現代神学の冒険──新しい海図を求めて」。9月に刊行される10月号の連載原稿は8月中に完成する必要がある)。10月号(25回目)のテーマは、「心の神学2──心を科学する時代」であり、前号の「脳科学、心、キリスト教神学」をより広範な心をめぐる問題領域に位置づけることが試みられる。

・ドミニク・チェン氏との対談「科学技術がいかに良い生活に貢献するか」(8月21日)
 この対談の主要な話題は、遺伝子工学、脳科学、人工知能などであるが、人工知能あたりが中心になりそうである。

 以上の8月の仕事は、11月の次の仕事へと結びつく予定である。
・日本学術会議シンポジウム「科学技術の進展と人間のアイデンティティ」
 ここで、わたくしも、発題を行うことになっているが、それは、最先端テクノロジーが問題が引き起こす、不安や人間の問いを、思想・宗教の観点から論じるといった事になる予定である。

新年度の予定2

 昨日は、新年度の授業予定について、メモを記載したが(わたくしの授業時間割は、http://tillich.web.fc2.com/sub18.html をご覧下さい)、本日は、研究に関するメモを掲載します。昨日の授業と研究とが、さまざまに連動しつつ進むというのが、ポイント。

1.著作刊行
 『近代日本とキリスト教思想の可能性──二つの地平の交わるところ』 (2016年)と『東アジア・キリスト教の現在』 (2018年)に続いて、三部作の三冊目を、三恵社より、出版する(予定)。そのために、夏季に集中的に作業を行う。

2.翻訳諸刊行
 シュスラー編論集の邦訳。これは、予定では、昨年中に刊行するはずだった、出版社の都合で、今年度に延びたものであり、おそらくは、秋の出版を目指すことになると思われる。現在の進捗状況は、初校の校正に入る段階。

3.論文
 今年度終了の科研費による研究に関して、2つの論を執筆する。掲載雑誌は、キリスト教学研究室紀要とアジア研究会のジャーナルを予定しているが、賀川豊彦・科学技術といった問題に関連した内容になるだろうか。

4.『福音と世界』 (新教出版社)への連載。
 今年度は、連載を継続することになる見通し。

5.学会の学術大会
 今年度は、9月の日本宗教学会・学術大会(大谷大学)で、パネル発表の参加の予定。

6.今後の研究の展開に関して。
 ・「キリスト教思想と宗教哲学」(特殊講義1)の準備段階が今年度で終わる見通しであることから、いよいよそれをどのように具体化するかに、研究計画は移ることになる。
 ・次の科研への応募。上の新しい研究計画との関連が問題になる。

 以上の研究計画を実施するには、現在関係しているさまざま仕事を整理し、研究に集中できる体制へと移行する必要がある(これが、一番の問題である)。また、現在の研究室に所蔵の文献の整理もさらに進めることになる。

新年度の予定1

 昨日は、キリスト教学研究室の2018年度のガイダンスを行い、新たに4月から研究室に所属することになった人をはじめ、関係者のかなりの人に集まっていただき、顔合わせと必要なさまざまな事項の確認を行いました。そして、本日は、京都大学の入学式。いよいよ新年度のはじまりという感が強くなる。そこで、年度初めに、授業と研究との両面について、今年度の概要を確認しておきたい。
 なお、今回は授業を取り上げるが、京都大学に限定したものとなることをお断りしておきたい。

1.講義
 京都大学でのわたくしが担当の講義は、概論講義と、二つの特殊講義との3つである。
・概論講義:これは、キリスト教学全般を紹介し、キリスト教学の基礎を提示する、もっとも基本となる講義であり、毎年、基本については同様の内容を講義し、それを展開する部分を年度毎に入れ替えるという形をとっている。2018年度は、前期では、現代宗教学の展開として神話・祭りを扱い、後期のキリスト教思想(史)では、アジア・日本のキリスト教史と平和思想を扱う。

・特殊講義2:概論講義を受講し、キリスト教学に関連した研究を目指す人(キリスト教学専修の学部生の卒論を指導の一環ともなる。修士論文でキリスト教をテーマにする人も念頭におかれる)を対象に、キリスト教研究の基本を論じるものであるが、2018年度は、「宗教改革から近代キリスト教思想へ」、後期は、「旧約聖書と哲学的問い」となる。

・特殊講義1:これは、従来の京都大学文学研究科で特殊講義として行われてきたタイプの講義であり、わたくしの現在の研究テーマを講義するという形をとる。現在、わたくしは、「キリスト教思想と宗教哲学」というテーマを本格的に議論するための準備を進めつつあるが、前期講義は、準備の一環として「アジアと日本のキリスト教思想」を論じ、後期は、これまでの準備内容をまとめる意味で「宗教哲学の諸問題」を扱う。いよいよ一連の準備は完了の予定である。

2.演習
・学生対象の講読:
 前期は、近現代のキリスト教思想の古典的なものを日本語翻訳によって読むことを行って来ているが、2018年度は、ティリッヒ最晩年の 「キリスト教と諸世界宗教との出会い」 を読む。やや薄めの文献なので、十分に読み上げることができるだろう。後期は、H・リチャード・ニーバーの The Responsible Self を読む。

・演習1:
 前期は、ティリッヒの1929/30年のフランクフルト講義(歴史哲学と社会教育学)をドイツ語で、後期は、ローマ書6章の原典講読。

・演習2:アジア・日本のキリスト教
 前期は、内村鑑三の日本論の諸文献。後期は、栗林輝夫を参照しつつ、賀川豊彦を読み、それを徐南同に展開する、という構想で文献を読む予定であるが、この後期の構想は、やや実験的なものとなる。楽しみと言えば楽しみ、不安と言えば不安。

2018年の研究展望

明けましておめでとうございます。
本年もよろしく、お願いいたします。


 今年のはじめに、この年の研究のおおよその展望をまとめておきたいと思います。
 もちろん、これは、わたくし自身ためのメモです。また、「2018年」であって、「2018年度」ではありません。2018年度の「研究計画」は後日に行い、本日のあくまで「展望」、あるいは「夢」です。

 2018年の研究は、2016年度から始まり2018年度が最終年度となる、科研費による研究「拡張された自然神学の具体化としての「科学技術の神学」─東アジアの文脈で─」 を軸に展開されることになるだろう。(もう一つのトロヌ・カルラさんとの共同の科研「日本のカトリック殉教者と歴史的記憶」 も、最終年度であり、こちらは、日本宗教学会・学術大会でパネルを企画するということになるかもしれない。)
 『福音と世界』 の連載「現代神学の冒険」は、いよいよ「科学技術の神学」系へと進むことになり、生命、環境、脳、原子力などとキリスト教思想との関係が問題になるが、これは科研の内容にまさに即応したものである。また、大学での特殊講義や演習も、この科研のテーマとさまざまな仕方で接続するものとなる。そのほかにも、多様な仕方でのコラボがあり得るだろうが、いずれにせ、科研と連載と講義が、核になる。
 また、2018年は最近忙しさのために実施できなかったフィールド調査を行いたいものである。国内で、ということも可能だろう。

 以上が一段落すると、研究(中心は特殊講義となります)は、「キリスト教思想と宗教哲学」 へと本格的に進むことになる。これは、京都大学におけるわたくしの研究の最終フェイズとなる予定である(これが研究の最終目標と言うわけではないが、もちろん)。その中で今年度は、このテーマの文脈としての、日本あるいはアジアということになる。これと対をなすのは、聖書研究であり、こちらも、いよいよ焦点を絞る必要がある。やはう、パウロが問題になるだろうか。

 以上の研究は2018年においても、その成果を形にすることになるだろう。
 まず、書籍出版。2017年に決着がつかなかった、シュスラー編の論集の翻訳出版と、共著『一冊でわかるキリスト教史』 とは、夏頃には形になっているだろうか。(『東アジア・キリスト教の現在』 は3月中には刊行されるはず。)
 また、日本・アジアのキリスト教研究の三冊目についても、可能ならば、2018年内あるいは2018年度内に刊行したいものである。タイトルは『日本キリスト教思想の成果と展望』(仮題) といったところであり、内容は無教会キリスト教や波多野宗教哲学についてのこれまでに発表した論文をまとめるというものである(二部構成?)

 次に論文と口頭発表。論文は、2017年度中、3月末までに2本、また4月、連休前までに1本が、すでに決定済みであり、口頭発表としては、9月の日本宗教学会・学術大会(大谷大学)でのパネル企画で発表ということをめざして、計画を進めているところ。このパネル企画が実現すれば、久しぶりの日本宗教学会での発表となる。

 また、研究会における研究活動も重要である。アジア研究会はこれまで通りの活動を行うとともに、共同研究の企画の実現を目指したい。また、そろそろ、もう一つの別の研究会を本格的にスタートさせることも考えたい。たとえば、日本のキリスト教研究を、フィールド調査と宣教という視点で行う研究会はどうだろうか。現在、キリスト教学専修に所属している聴講生や、4月から新たに加わるメンバーを考えれば、十分に可能な構想と思われるが。
 あるいは、これも久しぶりであるが、新しい教科書の企画も考えてみたい。共著ではなく、単著という形で、これまでの教科書の集大成、京都大学キリスト教学の講義内容に則した教科書である。

 今回の「研究展望」は半ば現実ではあるが、「夢」であるので、次々にアイディアがわいてくる。今日は年始としてこれでよいとしても、明日からは、現実に引き戻した計画を練り直すことになるだろう。なんといってっも、体も頭脳も一つしかないのだから、一年でなにもまもはできないわけだから。

 また、昨年から本格的にスタートした、大学研究室の蔵書などの整理も、理想の研究室をめざして、着実に進めたい。
プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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