2018年の研究展望

明けましておめでとうございます。
本年もよろしく、お願いいたします。


 今年のはじめに、この年の研究のおおよその展望をまとめておきたいと思います。
 もちろん、これは、わたくし自身ためのメモです。また、「2018年」であって、「2018年度」ではありません。2018年度の「研究計画」は後日に行い、本日のあくまで「展望」、あるいは「夢」です。

 2018年の研究は、2016年度から始まり2018年度が最終年度となる、科研費による研究「拡張された自然神学の具体化としての「科学技術の神学」─東アジアの文脈で─」 を軸に展開されることになるだろう。(もう一つのトロヌ・カルラさんとの共同の科研「日本のカトリック殉教者と歴史的記憶」 も、最終年度であり、こちらは、日本宗教学会・学術大会でパネルを企画するということになるかもしれない。)
 『福音と世界』 の連載「現代神学の冒険」は、いよいよ「科学技術の神学」系へと進むことになり、生命、環境、脳、原子力などとキリスト教思想との関係が問題になるが、これは科研の内容にまさに即応したものである。また、大学での特殊講義や演習も、この科研のテーマとさまざまな仕方で接続するものとなる。そのほかにも、多様な仕方でのコラボがあり得るだろうが、いずれにせ、科研と連載と講義が、核になる。
 また、2018年は最近忙しさのために実施できなかったフィールド調査を行いたいものである。国内で、ということも可能だろう。

 以上が一段落すると、研究(中心は特殊講義となります)は、「キリスト教思想と宗教哲学」 へと本格的に進むことになる。これは、京都大学におけるわたくしの研究の最終フェイズとなる予定である(これが研究の最終目標と言うわけではないが、もちろん)。その中で今年度は、このテーマの文脈としての、日本あるいはアジアということになる。これと対をなすのは、聖書研究であり、こちらも、いよいよ焦点を絞る必要がある。やはう、パウロが問題になるだろうか。

 以上の研究は2018年においても、その成果を形にすることになるだろう。
 まず、書籍出版。2017年に決着がつかなかった、シュスラー編の論集の翻訳出版と、共著『一冊でわかるキリスト教史』 とは、夏頃には形になっているだろうか。(『東アジア・キリスト教の現在』 は3月中には刊行されるはず。)
 また、日本・アジアのキリスト教研究の三冊目についても、可能ならば、2018年内あるいは2018年度内に刊行したいものである。タイトルは『日本キリスト教思想の成果と展望』(仮題) といったところであり、内容は無教会キリスト教や波多野宗教哲学についてのこれまでに発表した論文をまとめるというものである(二部構成?)

 次に論文と口頭発表。論文は、2017年度中、3月末までに2本、また4月、連休前までに1本が、すでに決定済みであり、口頭発表としては、9月の日本宗教学会・学術大会(大谷大学)でのパネル企画で発表ということをめざして、計画を進めているところ。このパネル企画が実現すれば、久しぶりの日本宗教学会での発表となる。

 また、研究会における研究活動も重要である。アジア研究会はこれまで通りの活動を行うとともに、共同研究の企画の実現を目指したい。また、そろそろ、もう一つの別の研究会を本格的にスタートさせることも考えたい。たとえば、日本のキリスト教研究を、フィールド調査と宣教という視点で行う研究会はどうだろうか。現在、キリスト教学専修に所属している聴講生や、4月から新たに加わるメンバーを考えれば、十分に可能な構想と思われるが。
 あるいは、これも久しぶりであるが、新しい教科書の企画も考えてみたい。共著ではなく、単著という形で、これまでの教科書の集大成、京都大学キリスト教学の講義内容に則した教科書である。

 今回の「研究展望」は半ば現実ではあるが、「夢」であるので、次々にアイディアがわいてくる。今日は年始としてこれでよいとしても、明日からは、現実に引き戻した計画を練り直すことになるだろう。なんといってっも、体も頭脳も一つしかないのだから、一年でなにもまもはできないわけだから。

 また、昨年から本格的にスタートした、大学研究室の蔵書などの整理も、理想の研究室をめざして、着実に進めたい。
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2017年・研究を振り返って

 本日は、2017年の最後の日であるので、本ブログでは、2017年のわたくしの研究の振り返ってみたい。
 2017年ではなく2017年度についてであるが、今年のわたくしの研究計画は、HP「ようこそ 芦名研究室に」に掲載されたような内容であった。

<2017年度の研究計画>
1.科研
 2017年の研究は、前年度から始まった、科研費による研究「拡張された自然神学の具体化としての「科学技術の神学」─東アジアの文脈で─」 を軸に展開された。これは、計画通りに進められた。
 なお、もう一つのトロヌ・カルラさんとの共同という形による、研究「日本のカトリック殉教者と歴史的記憶」 の方は、当初の計画とはかなり違うものになった。

2.書籍出版
 今年は、いくつかの書籍の刊行が予定されていたが、その作業自体はほぼ計画通りに進められ、『東アジア・キリスト教の現在─家族・死者儀礼・公共性・ナショナリズム─』の出版は、『東アジア・キリスト教の現在』 という表題で、予定通りの完成となる見込みである(今年中は無理であるが、今年度中には刊行される)。
 それに対して、シュスラー編の論集の翻訳出版 は、現在初校の校正完了までで作業が止まっており(これは出版社の都合である)、予定よりも大きく刊行は遅れる見込みである(次の夏頃になるだろうか。予定の1年遅れである)。しかし、作業は再校以降の校正以外は終わっており、基本的に、出版を待つだけである。
 そのほかに、昨年末から具体化した、共著『一冊でわかるキリスト教史』 (わたくしが近現代を担当)が進行中であるが、こちらも、わたくしの仕事は校正以外ほぼ完了した。出版も、それほど遅れることはないと思われる。
 以上が、今年の出版予定であるが、全体として、順調であったと評価できよう。

3.『福音と世界』の連載と講義との連携
 「毎月、連載のための文章を準備するのは従来の研究態勢に見直しを要求することになった。特に、大きいのは、大学での講義との有機的な関連付けであり、特殊講義と結びつけることによって、毎月の作業がスムーズに進むよう工夫を行う必要がある。また、これは科研による研究とも当然連関することになる」と、HPでは述べられていたが、ほぼ予想通りの形で、研究が行われた。毎月の連載原稿の用意は、楽ではないが、なんとか、研究と教育の全体の作業のなかに組み入れることができた。連載自体は、当初の計画より、やや長期になりそうである(「現代神学の冒険」 について論じるべきことは、思ったより多くある)。

4.学会・研究会との関わり
 学会・研究会への関与は、研究を行う上で、重要な意味をもっているが、、関与する役職の整理が重要であることが、研究計画では指摘されていた。さしあたり、日本宗教学会と京都ユダヤ思想学会に関しては、かなり楽になった。あとは、来年9月で任期が切れる日本基督教学会である。もちろん、果たすべき責任は果たさざるを得ないが。

5.論文・研究発表
 研究は、「2」の書籍としての刊行のほかに、論文の執筆、口頭の研究発表という形で進められた。計画では、「執筆すべき論文については、すでに3本(一つは8月末締めきり)が予定されており、これ以上は難しい状況であり、口頭発表(こちらは、9月)も、依頼を受けているもので手が一杯である。そのほかに、書評の依頼が、現在、3本。一つは連休前が締めきり、あとの二つは5月中」とあったが、すべて予定通りに進められた。2017年度ということでは、まだ2本の論文執筆を行わなければならない。

 以上のように見ると、きわめて忙しい一年であったが、大きな停滞や変更もなく、研究を進めることができたと思われる。

 また、研究自体ではないが、大学の研究室の蔵書などの整理も長期計画でスタートし、一年目としては、まずまずの量の整理を行うことができた。広くなったスペース分だけ、さまざまな作業がしやすくなったのが助かる。

2017年の教育の概要

 昨日は、今年度の研究の見通しについて、その概要をまとめた。これはわたくし自身ためのメモという趣旨であるが、同様の趣旨で、2017年度の教育に関しても、確認をおこなっておきたい。
 実は、本日は、2017年度のキリスト教学研究室ガイダンスが予定されており、午前中は大学院のガイダンス、午後1時から、研究室全体のガイダンス、そして午後3時からは、博士後期課程の研究計画発表、という順でプログラムは進められえうが、以下の点は、これらのプログラムでも説明される内容と重複する。
 なお、2017年度のわたくしの時間割(前期)とその概要は、すでに公表済みである。

 2017年度のわたくしが担当する授業の特徴・留意点は以下の通りである。

1.特殊講義1(火2):
 この特殊講義は、わたくしが現時点で取り組んでいる研究にもっとも近い内容を講義するものであるが、昨年度後期から、いよいよ京都大学での最後のまとまったテーマとして、「キリスト教思想と宗教哲学」へ入っている。ただし、今年度は、昨日も述べた『福音と世界』連載との関連で、現代神学が取り上げられる。もちろん、この現代神学の問題は、「キリスト教思想と宗教哲学」の内容に含まれるべきものではある。

2.特殊講義2(水2):
 もう一つの特殊講義は、概論講義と特殊講義1との中間的位置づけとして設定されたものであり、今年度は、新約聖書から宗教改革までの思想史研究が取り上げられる。その意図は、二つある。一つは、今年度のキリスト教学専修の授業では、キリスト教古代に関連した非常勤講師による授業が設定できなかったため、わたくしがそれに対応した内容を講義するという意図である。本来は、この分野の専門研究を行う常勤スタッフが必要であり、少なくとも非常勤講師による専門授業が不可欠であるわけであるが、非常勤枠が削減されてきた関係で、専門外のわたくしが可能な範囲での授業を担当することになった。ただし、不十分なりにも、近現代を専門にする者ならではの内容になるようにとは考えている。もう一つの意図は、宗教改革500周年に関わるものであり、宗教改革に関して、わたくしも、まとまった内容を扱っておきたいと考えた。

3.演習(前期:ティリッヒに関わる講読と演習、南原演習、後期:新約聖書・パウロ、内村演習、エコロジー神学の講読):
 演習は、テキストを読解し研究へと展開する訓練の場であり、人文学分野における中心的な授業である。特に、京都大学キリスト教学の演習では、世界的水準の研究に対して、新しいことを付け加えるような成果に繋がることが目標となり、本来学生にも、それだけの集中した取り組みが求められる(もちろん、この理想が、現実にどの程度反映されているかはもんだいではあるが)。
 演習という訓練場を十分に経ないで、講義関係の科目の単位を揃えて過程を終了するという者も、しばしば見られるが、京都大学キリスト教学のもっとも重要な授業を経験しないということは、まことにもったいないとしか言いようがない。

2017年度の研究の概要

 2017年度がはじまり、研究に関しても2017年度の方向性を確認すべき時期となっている。ここでは、課題の確認を中心にメモを掲載していきたい(詳細は、後日、「ようこそ 芦名研究室へ」の方に掲載予定)。

1.研究の大枠は、二つの科研(厳密には、三つ)によって規定される。
 一つは、「拡張された自然神学の具体化としての「科学技術の神学」─東アジアの文脈で─」であり、もう一つは、トロヌ・カルラさんとの共同という形による、「日本のカトリック殉教者と歴史的記憶」である。特に前者の研究課題はさまざまな形で具体的に展開されることになる。後者については、さしあたり、「歴史的記憶」をめぐる理論的な議論を取り上げることになると思われる。

2.刊行予定の研究
 2017年度には、いくつかの書籍の刊行が予定されている。特に、今年度の前半と夏が、山場となる。
・シュスラー編の論集の翻訳出版。これは、ここ数年来取り組んできたものであり、10月頃の出版実現を目指した作業が行われる。
『東アジア・キリスト教の現在─家族・死者儀礼・公共性・ナショナリズム─』の出版。これは、当初は、かなり大きな出版企画として準備されたものの一部であり、したがって原稿自体はほぼ揃っている。あとは、若干の加筆・修正と仕上げが残っているだけであり、年内の刊行が目指されている。

3.『福音と世界』の連載と講義との連携
 毎月、連載のための文章を準備するのは従来の研究態勢に見直しを要求することになった。特に、大きいのは、大学での講義との有機的な関連付けであり、特殊講義と結びつけることによって、毎月の作業がスムーズに進むよう工夫を行う必要がある。また、これは科研による研究とも当然連関することになる。

4.学会・研究会との関わり
 学会・研究会への関与は、研究を行う上で、重要な意味をもっている。しかし、過度の関与は、研究時間に跳ね返ってくることになり、一方で責任を負いつつも、他方では、関与する役職の整理が重要である。2017年度は少し整理を行うことを試みたい(整理した一方で、新しい役職が増えるのは困ったことである)。

5.論文・研究発表
 研究は、「2」の書籍としての刊行のほかに、論文の執筆、口頭の研究発表という形で進められる。
 執筆すべき論文については、すでに3本(一つは8月末締めきり)が予定されており、これ以上は難しい状況であり、口頭発表(こちらは、9月)も、依頼を受けているもので手が一杯である。
 そのほかに、書評の依頼が、現在、3本。一つは連休前が締めきり、あとの二つは5月中。

 以上が、現時点で描いている、研究の概要である。

科研費による研究の成果報告書

 本ブログは、科研費によるわたくしの研究(2013年度~2015年度)の紹介を主要な目的にしているわけであるが、いよいよこの3月でこの研究プロジェクトは最終となり、成果報告書を作成する時期を迎えた。
 今回は、通常の成果報告書(A4サイズ)だけでなく、もう一つ、この研究プロジェクトとの関連で可能になった研究の報告書(A5サイズ)の二つを刊行することになった。ここでは、この通常の成果報告書が完成したので、その概要を示したい。

研究成果報告書「自然神学の言語論的転回とその社会科学への拡張─聖書・環境・経済─」
   (平成25~27年度科学研究費補助金(基盤研究(C))
    課題番号 25370070)
 
平成28年3月
研究代表者 芦 名 定 道
(京都大学・大学院文学研究科・教授)

<目次>
第一部 自然神学・聖書・環境・経済
 1.「脳神経科学からキリスト教思想へ」
    (京都大学キリスト教学研究室『キリスト教学研究室紀要』第2号、2014年)
 2.「脳科学とキリスト教思想──人間理解をめぐって」
 3.聖書と環境・経済:
    (集中講義「自然神学と「科学─宗教」対話論」、東京大学大学院人文社会研究
     科・文学部、2015年12月14日~17日、の講義資料より)
   ・聖書の社会教説
   ・聖書の経済・環境思想

第二部 東アジア・日本のキリスト教
 4.「東アジアのキリスト教とナショナリズム──内村鑑三の非戦論との関連で」
    (現代キリスト教思想研究会『アジア・キリスト教・多元性』第12号、2014年)
 5.「東アジアのキリスト教研究とその課題」
    (日本基督教学会『日本の神学』53、2014年)
 6.「キリスト教平和思想と矢内原忠雄」
    (現代キリスト教思想研究会『アジア・キリスト教・多元性』第13号、2015年)

第三部 中国におけるキリスト教的環境論
 7.張秋梅「リューサーのエコフェミニズム思想」(張旋訳)

 全体で100頁程度の報告書であるが、これができあがり、予算も完全に使い切ったので、この研究プロジェクトも締めくくりである。報告書は、部数が少ないので、限られた人にしかお送りできないが、手渡せる方には、3月から渡し始めて、送付の方は、4月に入ってからと考えている。(残る作業は、学振への報告書類を作成である。)

 というわけで、以前にお伝えしたように、本ブログは、3月末までは継続するが、その後のことは、しばらく考えることにしたい。今後は、研究プロジェクトの締めくくりを意識した内容が増えることになる。





プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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