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アガンベン・メモ(a35)

7・6
ここでは、「7・5」を受けて、道具因をめぐるトマスの議論がテーマとなります。

「『定期討論集』において」「トマス・アクィナスは道具因という観念に含まれている働きの分裂に固執している。」
「二つの働き」「自分本来の形態にしたがってそれに属する働き」「それが行為者によって動かされるところにしたがってそれに属する働き」

「技術とは、道具の働きが自立したものにされると同時に、それが区別されるとともに連結された二つの働きに分裂するときに開示される次元なのだ。」
「道具因はたんに作用因が特殊化されたものではない。」「道具の本来の機能の変容でもある」
「使用は、もはや主体と客体とが無規定な状態にある二重かつ相互的な感心の関係ではない。そうではなく、もはや使用は道具性によって定義された二つの原因のあいだの位階的な関係である。道具因は、近代人が近代的なもののなかにあってみずからの行為を理解するしに様式を規定している有用性ならびに道具性の概念が人間的活動の領域に初めて出現したことを印しづけているのである。」

このように考えると、現代における技術のデュアルユース問題が、どうして生じるかについても理解できる。近代的な意味での道具・技術は、働きが二重化している。軍事利用と民生利用とは、一つの技術の中の働きの分裂。
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アガンベン・メモ(a34)

7・5
 中世スコラにおける道具因の議論を受けて、イリッチ(あのイリッチ)の研究を参照した上で、道具因の意義を確認し、それが、本書の最初のテーマであった、奴隷(生命ある道具)の問題に繋がることが示される。ここでは、道具因、秘跡という問題をさらに展開するための、議論の整理されている、とまとめることができるだろう。当然ではあるが、奴隷・身体をめぐる議論は、その後の議論と接続されていたわけである(当初は、そのあたりが分からずに、しばらく、議論を辿ることになったが)。

「イヴァン・イリッチは道具因の理論に含まれる新しさに注意を喚起してきた。」
「神学者たちは十二世紀の特徴をはしている異例のテクノロジー的変化にかれらなりに応答してきたのだった。」「サン・ヴィクトールのフーゴー」「彼の時代の七つの主要テクノロジー(羊毛の加工、武器の製造、商船の航行、農業、狩猟、医薬品、そして──不思議なことに──見世物)を詳細に列挙」。

「道具因の発見はテクノロジーに概念的な形姿を与えようとした最初のこころみである」
「技術の空間」「無際限な媒介性と利用可能性の次元」
「いまや道具の働きは自分本来の目的と外在的な目的とに分離し、このようにしていかなる目的にもさし向けることのできる道具性の領域を出現させる。」

「技術的道具のうちには、たんなる「利用可能性」以外のなにものかが存在するが、しかし、この「以外のなにものか」はハイデガーが考えるように新しい決定的な存在の画期的な開蔵─伏蔵とは一致せず、むしろ、身体と対象の使用における変容と一致するのであって、その根源的なパラダイムは奴隷という《生命ある道具》、つまりは自分の身体を使用することによって現実には他の人間たちによって使用される人間のうちに探し求められなければならないのである。」

アガンベン・メモ(a33)

7・4
 ここで、使用、道具の問題と、神学との関わりが明確になる。それは、サクラメントの理解であるが、道具の「二つの活動性」の問題は、神と自然法則との関係性にも関わっており、その射程はきわめて大きい。

「スコラ神学が道具因の理論を展開している場所は、秘跡の学説である。」「『神学大全』」「秘跡の役割は恩寵を授与することであって、これは恩寵の主要な原因である神からしか生じえない。しかしながら、秘跡本来の務めは、それが道具的な原因として作用する要素(たとえば洗礼のさいの水)をつうじてその効果を産み出すことである。」

「トマス」「道具の二つの活動を定義」
「道具には二つの活動がある。ひとつは、道具が自分の力によってではなく、主たる行為者の力によって活動する、道具的な活動である。もうひとつは、自分の形相にしたがってそれに属する、自分本来の活動である。・・・身体にかかわる秘跡は、それらが触れる身体に及ぼす自分の働きをつうじて、魂への道具的な働きを神の力によって実現する。」

「ディスポシティーオー(dispositio)はギリシア語のオイコノミア(oikonomia)のラテン語訳であって、神がみずから三位一体的に分節することをつうじて人間の救済のために世界を統治する様式を指している。」
「配備的な働き」「みずからの内的な法則にしたがいながら、それを超越しているようにみえて実際にはそれに内在している計画を実現する働き」「救済のオイコノミア」
「秘跡のなかで主要な原因として活動するキリストも、受肉しているかぎりは、救済の道具的な原因であって主要な原因ではないのだ。道具性の神学的パラダイムといったものが存在するのであって、三位一体的オイコノミアと秘跡の理論はその卓越した場所なのである。」

ダンテの場合。

主要な原因としての神と道具的な原因としての自然法則。神の予定と人間の自由意志。こうした難問への回答の一つの形がここにある。

アガンベン・メモ(a32)

アガンベン・メモの続きです。

7・3
 道具を原因性として捉えるという議論は、ハイデッガーとアリストテレスという問題、そしてスコラ哲学の道具論へと展開されることになります。

「ハイデガー」「道具性を原因性=因果性に(ひいては存在論に)送り返すにあたって、ハイデガーはアリストテレスの四原因論を想い起こしている。」
「しかしながら」
「道具をアリストテレスの原因論に送り返そうとするプロジェクトは容易には実現されない。」
「古典世界は・・・道具とその産物とのあいだの連関を思考してきたが、この連関を
どうやらきわめて狭く直接的な仕方で把握していたようで、このため、道具はひとつの自立した原因の形態としては立ち現れることができなかった。」

「道具を原因のカテゴリーの内側に挿入するこころみは中世の神学者たちにとってなされていた。十三世紀以降、・・・カウサ・インストゥルーメンターリス(causa instorumrntalis [道具因])」とぶ第五番目の原因を設定して定義をこころみていた。」
「道具因という概念は作用因が道具的な原因と主要な原因とに分化して誕生したものであって、こうして道具性に自立的な身分を確保することが狙いなのであった。」

アガンベン・メモ(a31)

7・2
 ここでは、ハイデッガーの技術論(道具論)のゆれとでもいうべきものが辿られます。

これまでの議論を受けて、
「ハイデガーが描いている人間は道具の思うままになっており、道具の「奉仕可能性」にみずからを委ねて、この「奉仕可能性」を介してのみ世界に接近している。」

しかしまた、
「ハイデガーはなんとかして使用の領域と一致するこの領域の狭隘な限界から人間を解き放とうと懸命に努力していたと言えるかもしれない。」
「道具性が『技術への問い』 にかんする一九五三年の論考のなかで」「晩年のハイデガーの思索の中心的な問題のコンテクストのなかで、新たに姿を現わすとしても、驚くにあたらない。」

「しかしまた、論考のつづくくだりでは、この技術の道後的規定は不十分であるとして却下される。」「原因とはなにかを正確に理解してはじめて、技術の真の性質への接近は可能とされる。」
「だが、原因となるということはなにものかを非存在から存在へともたらすこと」「ポイーシス」の「一形態」。
「非真理から真理へと、もたらし出すこと」「その場合には、技術はこの開蔵の卓越した様式である。」「覆いで蔽われた状態と覆いをとられた状態、真理と非真理の弁証法に捕まってきた、西洋の歴史的命運に属している。」
「道具を原因性=因果性の一形態として了解するなら、技術はその本性にしたがって、すなわち、《開蔵の命運》」「として、みずからを開示する。」
「道具性はまたもや棚上げされ、技術が存在の歴史的命運のなかで占める画期的な地位に置きなおされる、この時点に到達してはじめて、ハイデガーは技術と和解して」「技術のもたらす危険をも救済をも発見することができるのだった。」
「集─立」「技術の本質は救うものの生長をみずからのうちに蔵しているにちがいないのである。」

 ハイデッガーの技術論は単純ではない。

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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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