FC2ブログ

生物学の動向から2

 長谷川眞理子さんの著作について、続けます。比較的最近のものとして、次の著作が存在するが、長谷川さん自身の生物学を志す姿勢が良く現れたエッセイ集であり、現代の生物学者の考え方を知る上で、興味深い。

長谷川眞理子
『世界は美しく不思議に満ちている』
青土社、2018年。

序 文明の先を見る

Ⅰ 世界へ出る
 情報過多と好奇心のゆえに/人生は楽しいし、世界は美しくて不思議に満ちている/なぜ「若く」見られたいのだろう?/進化論から考える「心」の誕生/ダーウィンの淘汰による進化の理論/北極紀行、その一(フィールド篇)/北極紀行、その二(歴史篇)

Ⅱ ヒトを知る
 ヒトの「はじまり」/ヒトは共同繁殖/利他の心の進化/進化心理学から考える「共感」/女性が閉経後も長く生きるわけ 

Ⅲ 社会で生きる
 生態学から考える「持続可能」な社会/行動生態学から考える「子どもの虐待」/進化生物学から考える「宗教」/ヒトの進化と現代社会

結 科学技術文明はどこへ向かうのか

おわりに
初出一覧
スポンサーサイト



生物学の動向から1

 前回は、コンウェイ・スミスの著作を取り上げたが、現代の生物学の議論は、宗教研究の視点からも教務深いものが多く存在する。今回は、人文系のシンポジウムにもしばしば登場し、わかりやすく解説することでも有名な方の著作から、次のものを紹介。

長谷川眞理子
『生き物をめぐる4つの「なぜ」』
集英社新書、2002年。

はじめに
第1章 雄と雌
第2章 鳥のさえずり
第3章 鳥の渡り
第4章 光る動物
第5章 親による子の世話
第6章 角と牙
第7章 人間の道徳性

あとがき
主要参考文献

 第7章の議論などは、進化論から道徳を論じる代表的なものである。こうした議論によって、たとえば、賀川の議論を再評価するとどうなるだろうか。

現代生物学と自然神学

現代の生物学の議論は、単純な「進化論と創造論」対立という図式にはおさまらない、面白い展開になりつつある。すでに本ブログでも述べたように、わたくしは、今年度前期に「外国文献研究(文・英)A-E1」という科目を担当しているが、そこでテキストとしているのが、次の文献である。

Alister E. McGrath,
Surprised by Meaning. Science, Faith, and How We Make Sense of Things,
Westminster/ John Knox Press, 2011.

 先週の水曜日に読んだ、「Chapter 10: The Accidents of Biological History?」で取り上げられたのが、進化論と目的論との関わりが問題となった。そこで、グールドとの対比で取り上げられたのが、サイモン・コンウェイ・スミスの、進化の過程がその偶然性にもかかわらず、比較的少ない数の可能な結果に収束する(converge)という議論である。これは、突然変異という偶然性を認めつつも、その役割を相対化する議論であり、自然神学的にも興味深いものである。コンウェイ・スミスは、日本でも著書が邦訳され、一定知られている高名な生物学者である。
 たとえば、次の文献など。

サイモン・コンウェイ・スミス
『カンブリア紀の怪物たち シリーズ「生命の歴史」──1 進化はなぜ大爆発したか』
講談社現代新書、1997年。

序 「生命の歴史」の五大事件 (松井孝典)

第1章 カンブリア紀への招待
第2章 バージェス頁岩の発見
第3章 タイムマシーンに乗って
第4章 新たなバージェス頁岩の探求
第5章 バージェス頁岩の重要性
第6章 門の起源
第7章 別の世界

おわりに
謝辞

ゲノム編集をめぐって

 遺伝子工学は宗教・キリスト教思想にとっても、無関心ではいられない問題であり、最近は、ゲノム編集が大きな話題になった。本ブログでも、「「ゲノム編集による子ども」の誕生についての日本学術会議の幹事会声明」(2018/12/7)などをこれまで取り上げてきた。
 こうした問題状況を把握する上で、参考になる文献として、次のものを紹介したい。

青野由利
『ゲノム編集の光と闇──人類の未来に何をもたらすか』
ちくま新書、2019年。

はじめに

序章 遺伝子組み換えの夜明け
第1章 クリスパー誕生物語
第2章 人工の遺伝子編集ツールを作る
第3章 遺伝子治療をこう変える
第4章 ヒト受精卵を編集する
第5章 種を「絶滅」に導く遺伝子ドライブの脅威
第6章 古代人の再生は可能か
終章 そおkにある「新世界」は素晴らしいか

おわりに
主な引用・参考文献

人間原理とキリスト教思想

 人間原理は、現代の宇宙論において話題となっている問題であるが、キリスト教思想における自然神学との関係でしばしば注目されるものである。

 わたくしは、今年度前期に「外国文献研究(文・英)A-E1」という科目を担当しているが、そこでテキストとしているのが、次の文献である(この授業では、この文献を読み通す予定で、ほぼ6~7割程度を読むことができた)。

Alister E. McGrath,
Surprised by Meaning. Science, Faith, and How We Make Sense of Things,
Westminster/ John Knox Press, 2011.

 先週の水曜日に読んだ、「Chapter 8: The Deep Structure of the Universe」で取り上げられたのが、人間原理であり、たとえば、マーティン・リース(Martin Rees, currently president of the Royal Society of London, Britain's leading association of scientists)などの議論が紹介された。
 この関連で、最近の人間原理をめぐる次の文献を参照したので、紹介したい。

青木薫
『宇宙はなぜこのような宇宙なのか──人間原理と宇宙論』
講談社現代新書、2013年。

まえがき

第1章 天の動きを人間はどう見てきたか
第2章 天の全体像を人間はどう考えてきたか
第3章 宇宙はなぜこのような宇宙なのか
第4章 宇宙はわれわれの宇宙だけではない
第5章 人間原理のひもランドスケープ
終章 グレーの階調の中の科学

あとがき

 著者は、京都大学理学部の出身とのことであるが、おそらくは、授業を見かけたことがあったかもしれない(わたくしが所属していた当時の理学部では、物理学を選考する女性は、きわめて少数であった)。現在は、翻訳家(自然科学関連を中心に)として活躍している。
プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター
カレンダー
08 | 2019/09 | 10
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR