脳科学とキリスト教思想

 「脳科学とキリスト教思想」というテーマについては、本ブログでも扱ってきたものであるが、この夏に、このテーマで論文を執筆することになり、現在、その構想を検討中である。基本的には、次の二つのポイントを設定している。

・「宗教哲学」との関連付けを行うこと。これは、論文が掲載される雑誌(学会)の性格との対応ということを考慮してのことではあるが、もちろん、事柄自体という面からの判断でもある。

・これまでの議論をさらに延長すること。これが行われないとすれば、何のための論文執筆かということになる。これまでの議論を一歩前に進めることが、最大の懸案事項である。現在の構想では、脳と心という連関を、人格・キリスト教思想へより明確に展開する予定である。この展開は、すでに、「脳神経科学からキリスト教思想へ」(京都大学キリスト教学研究室『キリスト教学研究室紀要』第2号、2014年3月 pp.1-14)で踏み出された方向性であるが、今回は、これをさらに先へと進めてみたい。
 
 以上のために参照される文献は当然一定数にのぼることになるが、たとえば、次の文献である。

小坂井敏晶
『責任という虚構』
東京大学出版会、2008年。

はじめに
序章 主体という物語
第1章 ホロコースト再考
第2章 死刑と責任転嫁
第3章 冤罪の必然性
第4章 責任という虚構
   矛盾をどう解くか/
   因果関係再考/
   自由の意味/
   刑罰の根拠/
   正しさの源泉
第5章 責任の主体
   集団責任の認知構造/
   集団道徳責任/
   同一化と道徳的汚染/
   責任概念の歴史変遷/
   責任の正体/
   精神鑑定の役割/
   犯罪者の成立/
   死刑の真相
第6章 社会秩序と〈外部〉
結論に代えて

あとがき
引用文献
索引
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ガリレオ研究

 ガリレオ研究は、宗教と科学というテーマを研究している立場からは、関心の対象とならざるを得ない位置を占めている。日本でガリレオについて考える際に欠くことができないのは野、基本的なテキストのしっかりした邦訳の存在であろう。
 このたび、『星界の報告』の新しい訳をいただいた。このテキストは、トスカナ大公の献呈されたもので、比較的小さなものである(邦訳で、80頁程度)。しかし、ガリレオの天体観測についての基本的な文献であり、興味深い(月面から木星の衛星へ。「ガリレオの科学、そして現代社会の基礎になっている自然科学の誕生過程について、できるだけ多くの方に理解を深める機会を持っていただけたらと思います」114頁)。新しい邦訳は、訳者の詳細な解説(30頁程度)と、文献案内が付されており、その点も、お勧めである。

ガリレオ・ガリレイ、伊藤和行訳
『星界の報告』
講談社学術文庫、2017年。

凡例

献辞
天文学的報告
  第一章 覗き眼鏡[望遠鏡]
  第二章 月の表面
  第三章 恒星
  第四章 メディチ星[木星の衛星]

訳者解説
  一 望遠鏡に出会うまで
  二 望遠鏡との出会い
  三 望遠鏡による天体観測
  四 『星界の報告』
  五 『星界の報告』刊行以後
 
文献案内・読書案内

 この文献案内・読書案内にも含まれているが、訳者自身によるガリレオ研究としては、次のものが存在する。

伊藤和行
『ガリレオ──望遠鏡が発見した宇宙』中公新書、2013年

人工知能と心

 人工知能について、多くの議論・期待が飛び交っている。宗教研究の分野でも、脳と心、という問題連関で、しばしば人工知能について言及される。こうした議論に振り回されないためには、基本的な論点をしっかり押さえておくことが肝心であり、そのためには、宗教研究者にも一定の知識が要求される。
 たとえば、次の文献は、読みやすく、しかもしっかりした内容と思われる。

西垣通
『ビッグデータと人工知能──可能性と罠を見極める』
中公新書、2016年。

まえがき

第一章 ビッグデータとは何か
  1・1 データが主役の時代
  1・2 富とセキュリティ
  1・3 超えるべき壁

第二章 機械学習のブレイクスルー
  2・1 人工知能ブームの再来
  2・2 深層学習の登場

第三章 人工知能が人間を超える!?
  3・1 シンギュラリティ狂騒曲
  3・2 生物と機械の違い
  3・3 ロボットとのコミュニケーション

第四章 自由/責任/プライバシーはどうなるか?
  4・1 一神教の呪縛
  4・2 社会メガマシン

第五章 集合知の新展開
  5・1 ビッグデータと集合知
  5・2 人間と機械の協働

あとがき


おもな参照文献

なお、最後「5・2」の小見出しは、次の通り。
 AIからIAへ
 ハイブリッド・コミュニティ
 情報教育の刷新
 AIは仕事を奪わない

 さて、読後の印象は、どんな感じだろうか。「一神教の呪縛」など、気になる項目もある? 

心・脳・物理学

 脳科学の観点からの心へのアプローチは、さまざまな研究分野に及んでおり、宗教研究においても同様である。今月末の仕事の関係で、久しぶりに、次の本に目を通した。物理学から心へ、典型的な物理主義であるが、物理学の刷新を視野に入れた大胆な構想である。

ロジャー・ペンローズ、論争を挑む三人:アブナー・シモンズ、ナンシー・カートライト、スティーヴン・ホーキング
『心は量子で語れるか──21世紀物理の進むべき道をさぐる』
講談社、1999年。

マルコム・ロンゲアによる序文

第一部 宇宙と量子と人間の心と
第一章 宇宙の未完成交響曲
第二章 量子力学の神秘
第三章 心の神秘

第二部 ペンローズと三人の科学者
第四章 精神、量子力学、潜在的可能性の実現について アブナー・シモニー
第五章 なぜ物理学か? ナンシー・カートライト
第六章 恥知らずな還元主義者の反論 スティーヴン・ホーキング
第七章 それでも地球は回る ロジャー・ペンローズ

訳者あとがき
さくいん
 

コペルニクス入門

 コペルニクスは、近代科学への転換を象徴する人物の一人であり、キリスト教思想との関わりでも興味深い思想家である。16世紀は宗教改革の時代ではあるが、そこにはさまざまな知的動向が交差して動いており、機会があれば、研究者として本格的に取り組んでみたいところであるが。
 今回は、コンパクトな入門書を紹介。定評あるシリーズの最新の一冊である。

Owen Gingerich,
Copernicus. A Very Short Introduction,
Oxford University Press, 2016.

List of illustrations
Acknowledgements

Prologue
1 Copernicus, the young scholar
2 The architecture of the heavens
3 Copernicus's vision
4 Canon days and the Little Commentary
5 Competing with Ptolemy
6 Rheticus
7 De revolutionibus
8 The book nobody read

Appendix 1: Copernicus's alternative to the equant
Appendix 2: De revolutionibus as a recipe book for planetary positions

References
Further reading
Index

コンパクトな割には、よく出来た内容である。
 世界観と信仰とは、緊密にあるいは緩やかに(この間のどこに位置するかは、人によってさまざまな)、結び付いている。この状況は、20世紀にブルトマンを焦点とした議論を生み出すが、現在も係争中である。

プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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