「宗教と科学」関係論と共同研究(2)

 「宗教と科学」関係論が共同研究を必要とすることについては、昨日ブログで、歴史研究という点で述べたが、これは、別のタイプの関係論(いわゆる学際的研究)についても、妥当する問題である。本ブログにも関連したものとして、現在休会中ではあるが、「宗教と科学」研究会(https://sites.google.com/site/kyotochristianstudies/home/science)の活動は一つの実例と言える。この研究会の活動は、Web上で確認いただけるように、かなり長期にわたって継続されたが、そこで、共通のテキストとして取り上げた中に、次の文献が含まれている。これらは、「宗教と科学」関係論の共同研究の典型的な成果と言える。

1.G.コイン他編『宇宙理解の統一をまざして-物理学・哲学・神学からの考察-』(柳瀬睦男監訳)南窓社。
 ニュートンの『プリンキピア』刊行300年を記念誌、ヴァチカン天文台を中心としたカトリック・アカデミーが行った研究会議の成果であり、執筆者は、いずれも、それぞれの研究分野をリードする著名な研究者である。

序文(ジョージ・V・コイン)
本書へのメッセージ(教皇ヨハネ・パウロ2世)

I:科学と宗教に関する歴史的・現代的考察
・科学と神学とはいかにかかわるか(イアン・G・バーブー)
・自然科学と創造神の信仰-歴史的考察(エルナン・マクマレン)
・ニュートン・パラダイムと無神論の起源(マイケル・J・バックレイ)
・自然神学は今日なお可能か(W・ノリス・クラーク)
・ヘブライ語聖書における創造(リチャード・J・クリッフォード)

II:認識論と方法論
・科学と宗教に於ける知識と経験-われわれは実在論者でありうるか(ジャネット・ソスキス)
・物理学、哲学、神話(マリー・B・ヘッセ)
・観察、啓示、ノアの子孫(ニコラス・ラッシュ)

III:哲学的、神学的見地より見た現代の物理学と宇宙論
・現代宇宙論から科学と宗教の対話へ(ウィリアム・R・シュテーガー)
・量子世界(ジョン・C・ポーキングホーン)
・量子的過程としての宇宙の創造(クリス・J・イシャム)

2.Vincent Brümmer(ed.)
Interpreting the Universe as Creation. A Dialogue of Science and Religion,
Kok Pharos Publishing, 1991.

 コンパクトな論文集であるが、水準は高い。

Preface
1.Introduntion: A dialogue of language games (Vincent Brümmer)
2.Interpreting the doctrine of creation (Luco J. van den Brom)
3.Quantum theories of the creation of the universe (Chris J. Isham)
4.Potential tensions between cosmology and theology (William B. Dees)
5.Evolutionary research (Vhristof K. Bienricher)
6.God as the creator of the world of science (Arthur R. Peacocke)
7.The status of humanity in relation to the animal kingdom (Malcom A. Jeeves)
8. Creation and the status of humanity in the bible (Cas J. Labuschagne)
9.The ecological crisis and creation theology (Martin Palmer)

 これまでの共同研究の経験から言えることは、共同研究が有意味な仕方で行われるには、いくつかの形式的な条件が必要である。
・規模:10数名程度から20名程度まで。集中的な討論は、この規模が適当か。10名以内の場合は、個々のメンバーの負担が大きくなりすぎる。
・構成メンバー:その共通テーマに関連した、専門研究を行っている中心メンバーが10名程度。その他に、若手・学生を中心とした、聴講メンバーと、オブザーバー。専門研究を行っている10名程度というのが、日本における「宗教と科学」関係論に関しては、きわめて難しいのが現状である。「宗教と科学」研究会が現在休会中であるのは、その理由からである。
・研究成果の刊行と研究期間:研究はだらだら続けるのではなく、5年程度で一定の研究成果が集約できるようなテーマ設定のもとで行うのが望ましい。研究成果は、関連学会で口頭発表するほかに、論文集として刊行することが望ましい。電子ジャーナルという形が、多くの場合は、現実的かもしれない。一般の出版社を通しての刊行は、難しいだけでなく、あまりにも制約が多すぎる。
スポンサーサイト
プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、今後開設の別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター
カレンダー
01 | 2011/02 | 03
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 - - - - -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR