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日本基督教学会(2)

 日本基督教学会・第59回学術大会(同志社大学)が、午後のシンポジウムをもって、無事に終了しました。関係の皆様、ご苦労様でした。

 今日は個人発表について若干のコメント・感想を述べたいと思います。最近の日本基督教学会の学術大会では40程度の個人発表を、4つの会場にわかれて、大会両日の午前中に行う、という形をとっています。発表は、25分の発表と5分の質疑応答で、計30分が一人の持ち時間になります。日本宗教学会が一人15分+5分であることを考えれば、やや長めのまとまった発表が可能とも言えます。もちろん、もっと一人の発表時間を長くし、そのためには、発表の人数を絞り込むべきであるとの議論もあります。しかし、当面は、この形態で進むものと思います(日本基督教学会の学術大会については、様々な改善の可能性がありますが、それを実現するにはかなりの困難が伴います。学会の三役と事務局がかなり綿密な準備を行わなければならないでしょう)。

 さて、今回の個人の研究発表は、全般的によく準備された発表が多く、その点でも充実した学術大会であったと思われる。日本基督教学会の特徴としては、学術大会での研究発表が、学会誌への論文掲載と基本的に連動している点で挙げられるが、発表者には、発表の完全原稿を配布することが求められる(この原稿を基礎資料として、学会誌編集委員会では、学会誌への掲載論文が決定される)。
 今回学術大会でも、最近の個人発表の次のような傾向の継続が、確認できる。

・歴史研究と分類できる研究が多い。しかも、かなり専門的あるいは個別的な題材を取り上げたものが少なくない。それに対して、聖書学的研究はやや少ない。宗教哲学的分野の研究は、例年よりも、やや多めと言えるであろうか。
・留学生の発表が目立つ。特に近畿支部に所属する留学生の研究発表が多く行われているのは、最近の傾向である。

 研究発表は、全体としては一定の水準以上ものが多いと言えるが、個々には改善の余地が少なくないのではないだろうか。特に、発表者は、自分の研究発表がどうだったかについて、冷静に反省することが必要だろう。自分の発表が十分に聞き手によって理解されたのか、理解されていないとすればどこがわるかったのか(レジュメの作り方が不十分であった。問題設定が不明確、発表の趣旨の説明が不十分。自分の研究発表の独自性・ポイントが伝わっていない)、今後どうするのか。質問への回答は適切であったのか(日本基督教学会に限らず、質問されたことに対する感情的な(?)応答をする人がしばしば見られるが、これはまずい対応と言わねばならない)。将来、研究教育職を目指す場合、こうした反省がないと、授業を行う中で、壁に突き当たることになる。日本基督教学会のような広範な専門領域をカバーする学会で研究発表を行うということは、発表者に説明の仕方についての工夫を要求するものであり(専門学会との違い)、その学会の特徴を踏まえた取り組みが求められる。

 「全体としては一定水準以上」ではあっても、改善の余地が多くあるというのが、今年度の学術大会における個人発表への総評である。40あまりの個人研究発表で、学会誌掲載論文の候補となったものが決して多くないというのは、このことを反映するものとも言える。学会での研究発表は、発表者個々人にとっては、自分の研究を振り返る貴重なきっかけとなるべきものであり、学生ならば、特別な事情がない限り、学会発表を行うのは当然のことではないだろうか。また、発表を反省し改善するという作業を行わずレベルアップしないというも、困ったものである。

 今回の個人発表を行った一人一人には、来年度の学術大会でさらにレベルアップした発表を行うことを期待したい。
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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