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研究構想、キリスト教学・宗教哲学・思想史

 研究構想という問題を考えるとき、その要因として二つのものが存在することがわかる(もちろん、さしあたりは、私の場合であるが)。

 一つは、自分の研究の内的展開である。ティリッヒ研究から始まって(卒論から、博士論文へ、そしてその後)、それが「信仰」をめぐる宗教言語へ(これは、ティリッヒの象徴論が発端にある)、次に、「宗教と科学」の関係論(これは、理学部から文学部へ移った際に考えていたこと、それからこの研究に取りかかるまでに、十数年が経過することになる)、そして現在取り組んでいるのが、「キリスト教思想と社会科学」(これは、ティリッヒ研究のラインでは、宗教社会主義論・社会倫理という文学部に移った当初の問題意識に遡り、「宗教と科学」というラインでは、自然科学から社会科学という展開になる)である。この展開は、それぞれ内的につながっており、取りかかるには時間こそ必要であったが、問題的には内的にたどれる流れと言える。

 もう一つの要因は、おかれた研究状況、そこで外的に要求される研究テーマである。現在の京都大学に赴任する前に勤務していた大阪市立大学では、宗教学を担当した。宗教学全般について概論を講義する必要から、それまでは体系的に取り組んでいこなかった現代宗教学(経験科学としての宗教学)に集中的に取り組み、新宗教にもテーマを広げたのがこの時期である。その成果は、最初の著書『宗教学のエッセンス──宗教・呪術・科学』となった。これは概論講義の教科書として書いたものであるが、その後のわたくしの概論講義のスタイルの原型になる。これは外的な要求からなされた研究であるが、結果的にはその後の研究に大きな位置を占めることになった。外的要因で次に指摘できるのは、京都大学に赴任ししばらくして参加することになった、21世紀COEプログラムであり、そこで、これもたまたまであるが(行きがかり上?)、アジアと宗教、しかもフィールド調査という研究を行うことになる。このプログラムは5年で終了したが、この研究は現在も継続中であり、「アジアと宗教的多元性」研究会の活動、アジア・キリスト教演習へとつながり、最近、キリスト教学専修に東アジアからの留学生が増えているのも、これと無関係ではない。

 以上のように、研究は様々な要因に規定されて進行するものであるが、研究を持続的なしかた実施するには、そのときどきに研究構想を立てることが必要になる(詳しくは、http://tillich.web.fc2.com/sub2.htmlを参照)。この夏は、宗教哲学に関わる研究作業を集中的に行うことになったが、改めて、これまでの研究をキイワードで振り返ってみたい。
 まず出発は、ティリッヒ研究(神学・宗教哲学)である。次に、現代宗教学がキイワードになり(これは聖書学を含む)、これから、京都大学への赴任によって、「キリスト教学」として集約されることになる。しかし、この5年ほどの間に、宗教哲学というキイワードが再浮上してきた。それには、自然神学や形而上学の再考というテーマが結びつき、様々な研究会や学会、そして講義などで、自然の宗教哲学、宗教言語と宗教哲学、次元論と宗教哲学、宗教的実在論(批判的実在論)、波多野宗教哲学といった仕方で少しずつ形を示しつつある段階である。これがまとまった研究成果になるには、少し時間が必要であるが、その前に、取り組む必要を感じているのは、思想史というキイワードに関わる研究である。この夏に集中的に取り組んだ作業が一段落つけば、思想史に関わる二つのテーマを形にしたいと考えている。一つは、「ティリッヒと19世紀ドイツ思想史」であり、もう一つは、「アジア・キリスト教についての思想史研究の方法」というものである。どちらも、材料はそろってきているので、後は料理を行うまとまった時間であり、研究を行う上での最大の問題は、この「時間」をいかに確保するかにほかならない。さらには、断片的で短い時間を有効に活用し、様々な雑務にも、研究をうまく滑り込ませる、こうした工夫が必要になる。

 研究構想を短いタイムスパンで立て(一年間→半期、一ヶ月)、より長い目の中期の構想(5年程度)をにらみながら進める。そして、ときどきの状況に応じて、研究を進み具合を評価しつつ、柔軟に組み替えてゆく、これが、夏の研究から後期の研究への移行期において、必要なことであり、現在行いつつある作業である。
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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