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ジジェク(2a)

 では、ジジェクの文献で、キリスト教思想と密接な関わりがあり(この関係が何であるかは、読み進めないとわからない)、邦訳があるものから、スタートします、まずは、これ。なお、紹介は、ポイントを抜き出し(一回に一章程度)、それにコメント加えるという形です。


スラヴォイ・ジジェク『脆弱なる絶対──キリスト教の遺産と資本主義の超克』(2000)、 中山徹訳、青土社、2001年。

0.誰のためでもなく、何のためでもなく
・「ポストモダン時代とその「思想」とやらにみられるもっとも悲惨な状況のひとつは、宗教的な要素が様々な衣をまとって回帰していることである」
「原理主義」「〈ニューエイジ〉的精神主義から脱構築主義そのもの」(7)
 宗教回帰は、1960年代の世俗化論の予言がはずれたという点で、宗教学ではしばしば話題になるが、宗教関連現象だけでなく、通常現代思想に分類される分野でも顕著な動向である。しかし、それが何であり、どのような解釈が的確なのか、以外に難しい問題である。ジジェクの言うとおり、現代にスピリチュアリティをめぐる動きは決して喜ばしいものではない。世俗主義変容としてのスピリチュアリティこそ、真性の宗教が戦うべき相手なのかもしれない。
 では、どうすのか。ここで、ラカン派マルクス主義者ジジェクの提案はおもしろい。
  ↓
・「戦略を逆転すること」「キリスト教とマルクス主義のあいだには直接的な系統関係があるのだ。そう、キリスト教とマルクス主義は新種の精神主義の襲撃に対して一致協力して戦うべきなのだ」
「聖パウロ」(8)
「聖パウロを離れてキリストは存在しない」(9)
 20世紀前半の宗教社会主義論の再評価・再生は可能か?
 それにしても、イエスではなく、パウロ、これがポイントである。現代のパウロ政治神学への注目は、重要な研究テーマである。

1.バルカンの亡霊を放棄する
・「ある種の他文化主義的夢想が悪夢に転じたもの」(11)
・「反転した人種差別」「置換された人種差別の論理」(13)
・「今日の「反省された」人種差別は、逆説的に他者の文化に対する直接的な尊敬を通じて現れうるものである」、「フェティシズム的分裂に固有の、否認のメカニズムである」(15)
・「グローバル的反省化/媒体化はそれ自体の野蛮な直接性を生むというヘーゲルの教え」(17)
・「この直接性が表しているのは、グローバルな反省化に随伴した〈他者性〉に対する純粋かつ赤裸々な(「昇華されざる」)」嫌悪感にほかならない」(18)
・「ソーシャルワーカーや社会学者や社会心理学者のように語りはじめる」「実践とそれに内在するイデオロギー的正統化との一致はむきだしの暴力とそれをめぐる無力で無能な解釈へと崩壊する」(19)
・「労働者の搾取という階級問題は、「〈他者〉に対する不寛容」という多文化主義的問題に変容する」
・「自由-民主主義的資本主義のグローバルな秩序こそが最終的に見出される「自然な」社会体制であると、いかなお信じている」(20)

 以上が、戦うべき敵の動向についての一つの説明である。しかし、「反省的」という訳語はわかりにくい。

・「特定の民族への憎悪と効率的に戦う方法は、それとは正反対のもの、他なる民族への慣用によるのではない。それとは逆に、われわれに必要なのはさらに強い憎悪、ただし、まとをえた政治的な憎悪である。つまり、共通の政治的な敵に向けられた憎悪である」(20-21)

 なぜパウロか、なぜ寛容ではなく憎悪か、これらは、キリスト教とヒューマニズムとの相違を理解するポイントとなる。こうした構図が明らかになるは、本書の後半(あるいは残り三分の一)以降のこと。キイワードは、愛と他者であるが、波多野のそれと接点が見える。
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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