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今井晋

 今井晋先生(1922-2010年)は、長い間、日本のルター研究をリードしてきた研究者の一人であって、わたくしも、京都大学キリスト教学で先生が担当された特殊講義を2年ほど受講した。先生のルター研究の特徴は、ルターの神秘主義的思想に注目する点にあると思われるが(この点は、武藤一雄先生のルター理解と重なるとも言えようか)、特殊講義は、この問題を扱っていたことを記憶している。わたくしの学生の頃の演習や特殊講義を担当された先生方は、今から思えば、研究の最先端をリードする研究者が多かった、恵まれた学生時代であった。宗教改革研究は、現在、今井先生の次、あるいは更に次の世代が担うべきはずであるが、その後、京都大学を含め、若手の研究者が育っていないことはきわめて残念であり、また将来的に不安な点である。

 今井先生の著書で、わたくしの手元にあるのは、人類の知的遺産シリーズに収める次の分権である。

今井晋
『ルター』
講談社、1982年。

まえがき
I ルターの思想
1 日本におけるルター研究と私
一 初期におけるルターの紹介
二 波多野精一の場合
三 石原謙の場合
四 佐藤繁彦の場合
五 北森嘉蔵の場合
六 武藤一雄の場合

2 ルターの思想的特徴
一 信仰と神秘主義
二 ルターにおける神秘主義の再認識
三 神秘的合一について
四 脱自について──新プラトン主義的神秘主義との対比
五 隠された神──終末論的神秘主義
六 「言葉」と「霊」──言葉の神秘主義

II ルターの生涯と思想形成
1 ルターの生い立ちと修学時代
2 修道院入りとその後の練成
3 霊的試練
4 ヨハン・フォン・シュタウピッツとの出会い
5 「神の義」の新理解
6 九十五ヶ条の提示
7 ルターと改革運動

III ルターの著作
1 『詩篇講義』(一五一三~一五)
2 『ローマ人への手紙講義』(一五一五~一六)
3 『ガラテヤ人への手紙講義』(一五一七)
4 『キリスト者の自由』(一五二〇)
5 『奴隷意志論』(一五二五)

IV ルターと現代
1 宗教改革後の神学思想におけるルター像──正統主義・敬虔主義・啓蒙主義
一 正統主義(一五八〇~一七〇〇年ころ)
二 敬虔主義(一六九〇~一七三〇年ころ)
三 啓蒙主義(一七〇〇~一八〇〇年ころ)
2 現代神学におけるルター
一 カール・ホル
二 カール・バルト
三 パウル・ティリッヒ
3 永遠のルター

年表
文献案内

 比較的コンパクトな文献(300頁程度)であり、必ずしも包括的なルター論ではない、また、人類の知的遺産シリーズのシリーズとしての制約もある。しかし、特徴的なルター論であり、日本のルター研究の今井先生以前の世代の概観と現代神学におけるルター論のまとめがなされている点は貴重なルター研究である。 
 



 
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プロフィール

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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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