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佐藤敏夫(4)

 今回は、佐藤敏夫の文化倫理の問題に関わる著作(神学思想史的あるいは宗教学・宗教哲学的な論考を含む)から、『神と世界の回復』を取りあげたい。

佐藤敏夫
『神と世界の回復』
ヨルダン社、1986年。



第一部
  一 主観性と物化の分裂と和解──ヘーゲルの現代神学
  二 パネンベルクにおける歴史の神学
  三 モルトマンにおける「世界」回復の試み
  四 レーヴィットとキリスト教
  五 福音をいかにして現代に語るか──ブルトマンの非神話化の問題をめぐって

第二部
  六 バルトとの対話の中で──回顧と展望
  七 バルトのアナロギア概念をめぐる二、三の議論
  八 バルトとカトリック神学者
  九 バルトの聖霊論
 一〇 信仰告白としての政治的決断──バルトへの検討をふくめて

第三部
 一一 信仰と歴史──近代ドイツ神学批判
 一二 宗教哲学の過去と現在

あとがき


 本書は、第三部を含めて、バルトを軸に関連の諸論考が配置される仕方で構成されている。第一部は、バルト神学以降(1950年代のブルトマンを含めて)の次の世代のドイツ神学が動向に関わる諸論考が収めら、第二部はバルト神学の中でしばしば論じられる諸問題が論じられている。第三部は、第一部第一論文にも言えることであるが、バルト以前に議論を及ぼしつつ、いわばバルト神学に至る背景が論じられる。それに対して最後の12番目の論文は、宗教哲学の動向を扱ったものとして、特に日本の宗教哲学に論究するものとして、興味深い。

 佐藤先生の世代のキリスト教研究者には、バルトへの共有された関心を、神学と諸学問との関わりをできるかぎり視野を広げて論じるという特徴が見られるように思われるが、今回取り上げた著書も、こうした佐藤の研究スタイルをよく反映したものと言える。一つ一つの論考は、比較的短いものであるが、全体として通読すれば、近代以降、特に現代の神学思想史の動向を理解するのに役立つものと思われる。
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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