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佐藤敏夫(7)

 佐藤敏夫の「純然たる教義的著作」(キリスト教神学・キリスト教神学思想史)におそらくは分類されると思われる著作に移ります。

佐藤敏夫
『近代の神学』
新教出版社、1964年。

序言

序章
第一節 近代神学の範囲
第二節 十八世紀の神学
第三節 ドイツ・イデアリスムスと十九世紀神学

第一章 シュライエルマッハーにおける宗教概念と神学の展望
第一節 宗教概念
第二節 神学の再建

第二章 エルランゲン神学・調停神学・自由神学
第一節 ホフマンとフランク
第二節 ドルナーとローテ
第三節 シュトラウスとビーデルマン

第三章 リッチュルとその学派
第一節 リッチュルの著作
第二節 リッチュル学派

第四章 宗教史学派学の神学──トレルチの神学思想
第一節 リッチュルからの離反と教義学的思惟の解消
第二節 宗教哲学のプログラム
第三節 キリスト教の本質と絶対性
第四節 宗教史学派の教義学

終章  十九世紀神学の克服の試み──四人の神学者の場合
  一 バルトにおける教義学の再建
  二 ブルンナーにおける弁証学的傾向と出会いの神学
  三 ブルトマンにおける信仰と歴史の問題
  四 ティリッヒにおける相関の方法

あとがき
参考文献について
人名索引

 (以上の本書目次では、各節についても、その細目が示されていたが、終章以外については、省略した。)

 本書は、佐藤の30代後半のキリスト教神学思想史についての研究成果と言える著作であり、近代神学・神学史の全体を概観する内容となっている。この10年後には、本ブログでも紹介した森田雄三郎『キリスト教の近代性』が同様の時代を扱ったものとして登場しており、こうした諸研究を超える日本人による研究成果の公刊は、残念ながらその後現在に至るまで、おそらくは存在しない(もちろん、バルトとティリッヒの神学思想史についての邦訳はこの間行われたが)。それだけに、佐藤のこの著書は、この時代のキリスト教思想史に関する参考文献として重要な位置を占めている。
 現代神学を論じる上で、その前提となる19世紀神学は理解の不可欠の基盤であり、19世紀神学思想の十全な理解のない20世紀神学の理解は底の浅いものとならざるを得ない(佐藤は19世紀以降を扱う際に、18世紀を論じるところから始めている)。
 わたくしは、本年度の京都大学キリスト教学の学部生対象の特殊講義で、近現代のキリスト教思想を扱っているが、19世紀の部分を論じる際に、参照した日本語による研究書としては、この佐藤の研究文献と先に挙げた森田の研究文献の二つであった。それぞれ特徴のある研究であり、しっかりした内容のものとして安心して依拠することができた(もちろん、批判修正は必要な点はあるにはあるが)。

 おそらく今後の研究者の問題・課題は、こうしたキリスト教思想史の概論を行う際に、「思想史」をどのようなものとして構想するかという点にあるように思われる。佐藤や森田の叙述は、一つのスタイルであり、さらに深め拡張することは必要ではあるが、この思想史のスタイル自体を問い直すことも重要になるのではないだろうか。
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プロフィール

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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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