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新しい研究計画の概要

 2013年度から15年度までの3年間の研究計画が、科学研究費補助金(科研費)・基盤研究(C)として採択され、スタートすることになった。本ブログも、今後この研究の発信を主目的とした(それよりはより広い範囲にわたる予定ではあるが)ブログとして位置づけられることになる。とは言っても、研究が本格的に動き始めるにはやや助走が必要になるため、本ブログの体制が整うにも時間が必要であろう。徐々にしかし着実に動き始めたい。
 以下、この研究計画の概要を開催する。2012年度までの研究の延長線上に位置することについて、何が新たな展開であるかについては、明瞭と思われる。

A.研究題目
自然神学の言語論的転回とその社会科学への拡張─聖書・環境・経済─

B.研究目的
本研究は、現代の思想的状況におけるキリスト教思想の多様な動向を視野に入れつつ、社会科学(とくに、経済学と政治学)との関連で自然神学を再構築することを目的とする。自然神学は、古代以来、各時代の知的状況に即応しつつ、キリスト教思想と他の諸思想(諸科学)との創造的な関わり合いのために必要な理論的基盤の構築を担ってきた。本研究は、この自然神学の営みを現代の思想状況において継続的に発展させるとともに、環境と経済をめぐる現代の深刻な危機的状況に対して、宗教・キリスト教が蓄積してきた伝統的な知恵を、有意味な仕方で再提示することを意図している。そのために本研究では、言語論的な視点(宗教的象徴と宗教言語、特に聖書との論理的修辞的連関)に基づく自然神学の拡張が試みられる。ここに本研究の独自性がある。

C.研究の学術的背景
 現代キリスト教思想は多岐にわたっており一見混沌として様相を呈しているものの、この動向(特に1980年代以降)を詳細に分析するとき、次の二つの中心問題を確認することができる。
  1.キリスト教と科学技術(自然科学が担う近代的合理性と技術的革新)との関わり
  2.多元的社会におけるキリスト教の課題・意義(公正・正義に対するキリスト教の寄与)
 現代のキリスト教思想をリードする思想家たちは、それぞれの思想的立場は異なるにもかかわらず、ほとんど例外なく、これらの問題を意識しつつ思索を進めている。これら二つの問題は相互に無関係に位置づけ得るものではなく、むしろ緊密な結びつきにおいて考察されねばならないことが、国内と海外を問わず、研究者の共通認識となりつつある。現代の科学技術の問題が社会的正義の問いと無関係であり得ないことは、後に述べるように、環境と経済が分離不可能な問題群を構成していることからも、明らかである。本研究は、現代キリスト教思想──もちろん、現代キリスト教思想だけではないが──が直面するこの問題状況に対して、伝統的な自然神学を社会科学との関わりにおいて再構築することによってアプローチすることを目指している。しかし、このキリスト教自然神学の新たな構築という問題提起に関しては、その意義や方法論に関する説明が必要であって、以下、本研究の問題設定とその妥当性について、若干の論点を指摘したい。
 まず、本来自然神学とは、キリスト教神学と諸学問・諸科学との積極的な関わり合いの理論的基盤を、人間の自然的本性(知性あるいは理性)に基づいて構築する試みを意味しており、それは、通常理解されるような、自然現象(自然学・自然科学)から神の存在を推論するようなタイプの自然神学(西洋キリスト教において一つの伝統を形成している狭義の自然神学=キリスト教自然神学の一特殊形態)に限定されるべきものではない──これは、過去に科学研究補助金の交付を受けて行われた研究成果(芦名定道『自然神学再考』晃洋書房、2007年)による──。したがって、自然神学を、自然科学の関連性という問題領域を超えて、社会科学や人文科学の領域にまで拡張することは、自然神学からの逸脱ではなく、むしろ、伝統的な自然神学自体の正当な発展を意味している。この点については、現代神学において自然神学をめぐる議論をリードするマクグラスも同様の指摘を行っている(本研究代表者は、マクグラスの著書『「自然」を神学する──キリスト教自然史学の新展開』教文館、2010年、を共訳で翻訳刊行した)。
 第二の論点は、狭義の自然神学の範囲において、現代の問題状況との関わりで最も多くの議論がなれてきている環境論(キリスト教的環境倫理)自体が、社会科学(経済と政治)への議論の展開を要求していることである。環境論が現実的な有効性を獲得するためには、政治的経済的な諸問題との関連性を確保することが必要である。環境への取り組みは環境学の問題提起が示すように(たとえば、『岩波講座 地球環境学』全10巻)、環境思想(哲学や宗教思想)を超えて経済学や政治学を包括する学的営みを必要とする。自然神学とは、こうした学的営みの共通の場に位置しているのである。これは、平成22年度から24年度までの科研費による研究成果である。
 では、こうした試みはいかなる理論的な基盤の上に構築できるのであろうか。これが、第三の論点として指摘すべき、「自然神学の言語論的転回」という問題である。キリスト教自然神学は、各時代の知的状況に応答する際に、繰り返し「聖書」に帰ることによって理論構築を試みてきた。注目すべきはこの事実である。聖書テキストの解釈論は、宗教言語論などを視野に入れた現代の言語理論の新展開を参照することによって急速な進展を示しているが、自然神学の社会科学への拡張は、この言語論的転回に応じた聖書解釈論の中にこそ、その基盤を見出すことが期待できる。
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プロフィール

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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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