格差の現実、現実の経済

 格差社会という言葉はすっかり定着した感がするが、日本における厳しい現実はこれからが本番という状況である。キリスト教思想において「経済」をめぐる議論が目立つはその現れとも言えるであろう。本ブログも、このテーマを自然神学、聖書、環境という問題連関で取り上げているわけである。

 しばしば、アメリカの社会状況がタイムラグをもって日本でも現実化すると言われてきたが(タイムラグは縮まりつつある?)、格差社会・貧困大国という状況についても、同様のことが指摘できるかもしれない。今のアメリカの現実は明日の日本という不吉な予感である。このアメリカの状況をリアルに描いたのが、の今回紹介の著書である。著差の堤さんは、『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書、2008年。これも話題であった。その後『ルポ 貧困大国アメリカII』が刊行されたが、そちらはわたくしは読んでいない)を執筆し、それが、ブッシュ政権下でのアメリカであったのに対して、今回の著書は、オバマ政権下でのアメリカである。共和党から民主党へ、民主党が言う「ブッシュの新自由主義」から共和党の言う「オバマの社会主義」へ変化したにもかかわらず、アメリカの「格差」と「貧困」という現実は変化せず、むしろますます悪化した。つまり、政治的な表層で変化とは別の深層で、アメリカ社会は一貫して動いているのである。これは、経済の現実であり、TPPはそれを象徴する問題である。

堤未果
『(株)貧困大国アメリカ』
岩波新書、2013年6月。

プロローグ

第1章 株式会社奴隷農場
第2章 巨大な食品ピラミッド
第3章 GM種子で世界を支配する
第4章 切り売りされる公共サービス
第5章 「政治とマスコミも買ってしまえ」

エピローグ──グローバル企業から主権を取り戻す

あとがき

 先の参議院選挙の結果を受けて、日本はTPPにのめり込みつつある。とすれば、あり得る日本の近未来は、この著書が紹介するような状況となるかもしれない。実際、以前に紹介した(?)、門倉貴史+賃金クライシス取材班『貧困大国ニッポン──2割の日本人が年収200万円以下』(宝島社新書、2008年)などが指摘する通りである。
 先日、わたくしの研究室に、グアム大学のカーティス・グリスビーさんが訪れ、1時間ほど話をする機会があった。アメリカの有名大学は別にして、アメリカの諸大学、そこで働く研究者の状況は厳しいものであり、日本の大学も、確実にその方向に進みつつある(もうすでにそうなっている)と感じた。

 以上の動向を踏まえて、現在進められつつある英語教育推進政策は、深読みすれば何を意味するだろうか。
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、今後開設の別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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