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『福音と世界』から

 事情があって遅れていた『福音と世界』2013.8がようやく届きました。もう少しで、次号の到着のような気がしますが、いつものように、内容の紹介をします。

 『福音と世界』は連載と特集という構成になっていますが、連載からは、次の「自民党改憲草案を読む 4」。

・横田順一「国民は憲法を守れ!」
 「日本人ではルールはあくまでも一つの目安であって、それを厳しく遵守することは必ずしも必要ないばありか、むしろ融通のきかない避けるべきことのように考えられている節がある。」(5)は、日本における「契約」の絶対性の欠如から、「憲法遵守に対する態度尾も柔軟化している」(5)。
 そして、より根本的には、「憲法は国家=権力行使者を縛るものだ」「憲法を守らねばならないのは国家=権力行使者で、国民ではない」という「立憲主義憲法」の大原則が、「政治家を含めて国民一般のなかに浸透していないことである」(5)

 おそらく、基本的は以上の点がポイントであろう。近代憲法の意味で憲法を論じようとするならば、以上が原則であり、今回の改憲は、「改憲」ではなく「憲法廃止」というべきであるということになる。明治維新より150年間の間、日本は近代化をめざし進んできた。確かに近代科学は教育現場に定着しノーベル賞の受賞者を生み出してきた、また市場経済にも巧みに適応してきたと言える。そして、民主主義も形式的には法律の条文上は確立し選挙によって国会議員が選出され三権分立も形式的には存在する。しかし、民主主義の内実はどうだろうか。民主主義の内実の欠如は、最終的には形式をも崩すことになる(空洞化・実質的改憲から近代憲法の廃棄へ)。これが現在の日本の状況=危機だろうか。
 問題は、とすれば、どうするのか、という点であり、この展望がないことが最大の危機と言うべきであろう。

 次に、特集。今回の特集は、「わたしたちの隣人とはだれか──日本のなかの東南アジア」であり、次の論考が収録されている。

隣人としての在日ビルマ難民(根本敬)
「在日ビルマ人」は〝映し鏡〟(土井敏郎)
日本のなかのフィリピン人(寺田勇文)
在日カンボジア人コミュニティの今(久郷ポンナレット/萩原カンナ)
東南アジアの紛争と日本の平和貢献(堀場明子)

 なお、東南アジアのキリスト教というテーマでは、今回の特集の寄稿者の一人の編集による、次の文献が存在する。
寺田勇文編『東南アジアのキリスト教』めこん、2002年。

 これは、特集の一部ではないが、C・S・ソンの「エキュメニズム──現実、それとも夢物語?」は、エキュメニズムの現状を考える上で、重要な問題提起を行っている。「各個教会に力を」。各個教会の現場に届かないのはエキュメニズムだけではないが、「逆ピラミッド型をしたエキュメニカル協議会」というのは、かなり難しい問題である。突き詰めれば、直接民主主銀と議会制民主義との関係ということになるだろう。この点を政治神学として理論的に解明することは重要な研究テーマとなる。
 なお、これは、WCC釜山総会用に書かれた原稿であったが、WCCに受理されなかったとのことである。

 そのほかにも、「大正・昭和キリスト教史の周辺」(太田愛人)、「旅する教会──再洗礼派と宗教改革」(早川朝子)などもなかなか面白い。
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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