研究計画を振り返って2

 今年最後のブログ更新になると思います。2013年の締めくくりとして、「研究計画を振り返る」の後半を掲載します。
 良き新年をお迎えください。
 
 大学で教育を担当しつつ研究を行う場合に、当然その研究は教育との関わりでさまざまな形をとることになる。現在、多くの大学が置かれているのは、授業が行われている時期は集中して研究を行う時間的余裕がなく、授業が行われない時期も急速に短くなってきているという状況である(年間30時間、すでに限界状況か? 小学生よりも短い夏休み)。これは特殊なケースではない。キリスト教研究を行うのに大学は恵まれた場であるが、その利点は相対化されつつある。
 明治に遡る伝統的な大学(特に旧帝国大学)では、研究は教育との有機的な関わりを保持しつつ行われてきた(と思われる)。京都大学はその点で比較的恵まれており、比較的最近まで、担当コマ数も年間の授業回数も少なめに行うことが通例であり(わたくしの学生時代の先生はまだこうした状況であったろうか。わたくしも、5年前まではある程度まで)、自分の研究を講義に直結させて問題がないという感じであった。おそらく、京都大学で研究を行う最大の利点は、ここに存在すると言える。しかし、本ブログでもこれまで指摘してきたように、京都大学のこの利点も現在はほぼ失われている。一般の私立大学と比べ、京都大学の教員の授業担当が少ないとか、出席すべき委員会・会議が少ないとか、ということは、個人的な差は別にして、ほとんど存在しないと言ってよいと思われる(京都大学職員組合によると京都大学教員の給与は、同年齢同ポジションの私立大学教員と比べ、特にいわゆる大手私大と比べて、年間300万程度低い。年間使用できる研究費はまだ差があるかるかもしれないが、それも本人の科研などの外部資金を努力して取るかに大きく依存し、さらに退職金も大幅にダウンした。それでも、京都大学に勤務したいというのはなぜだろうか・・・)。

 こうした中で、わたくしも今年一年京都大学で研究を行ってきた。研究との関わりで言えば、講義(概論)は数年で一つのサイクルを構成し、サイクルが廻るごとに内容の更新が行われる。この内容はしばしば教科書的な著作として刊行され、さまざまな研究会における共著ともなる。それに対して、特殊講義は、そのときどきの研究内容により有機的に連関づけられている。今年も、特殊講義との関連で、いくつかの学会発表や論文執筆が行われた。しかし、研究に直結するとは言っても特殊講義も授業であり、聞き手が存在し、聞き手に合わせたかみ砕いた説明が必要になる。最近のわたくしの特殊講義は、聞き手をより意識し、研究への手引き的な内容を一つの軸にしたものと、より自分の研究との関わりを前面に出したものとの二つのタイプのものをわけて行われている。
 この他にさまざまな演習が行われるわけであるが、演習は出席の学生次第で面白くなり(あるいはつまらなくも)、さらに研究にも重要な関わりをもつものとなることもある。ここしばらくは、日本キリスト教思想史や「宗教と科学」に関連した演習を行ってきたが、ドイツ語などの古典的文献を取りあげる演習、新約聖書の講読などもそれぞれ半期であるが行っている。こうした演習以外に、学生の研究発表が中心の演習も存在し(これは大学によってはゼミと呼ばれるものに相当するかもしれないが、文学研究科の思想系では第二演習という呼び方がなされている)、学生の研究発表からわたくしが研究的示唆を受けることも少なくなく、こうしたさまざまな一定水準以上の新しい研究に接しそれを指導できるのは、京都大学文学研究科の良さである。

 基本的には、2014年度も同様の構成で授業は行われる予定である。もちろん、改善すべき問題点も少なくない。たとえば、研究と教育との関連づけも見直しが必要であり、講義も演習も整理が必要であろう(授業数を少なくできるだろうか)。学生の研究発表によって進められるタイプの演習もよりレベルアップしなければならない(これは学生次第であるが、学術大会で行う研究発表の水準を引き揚げること、充実した修士論文博士論文を書き上げること、これらに対応できるレベルが必要である)。今年度から試みつつある研究会とのコラボは、より持続可能なスタイルを見出す必要があるだろう。

 京都大学では教育と研究は有機的な関連づけの中にあったし、まだその中にある。この利点を生かした研究の具体化が今後も求められるであろう。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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