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聖書研究との関連で4、哲学的思惟へ

 聖書研究の基礎が聖書学にあることは当然としても、聖書学自体、さまざまな隣接領域との関わりで存立している。伝統的には、歴史学と文献学が重要な役割を果たしてきた。しかし、関連領域の範囲は近年、大きく拡張してきている。こうした中で、と独特の位置を占めるのが、哲学思想であり、現代の聖書研究においても、聖書学から哲学へ、哲学から聖書学へ、という双方の関連性が問われねばならない。それは、言語・解釈・レトリックという形式的方法論的な問題から、神、人間、愛、正義といった内容的な問題まで広範に及んでいる。
 今回は、こうした問題連関で重要な位置を占めるリクールの、最近邦訳が出版された、次の文献を取り上げてみたい。本ブログでも、これまでリクールについてはしばしば論じてきたが、いずれ本格的に議論を行いたいと思いつつ、なかなか実現できずにいる。

ポール・リクール
『愛と正義』(ポール・リクール聖書論集2)
新教出版社、2014年(収録の諸論文は、1990年前後に執筆されたものであり、『時間と物語』から『記憶、歴史、忘却』へ至る時期の論考である)。

「宗教の哲学的解釈学──カント」
  根源悪
  宗教の反論
  表象
  信仰
  制度

「問題の《黄金律》」

「聖書の言説における声と書の絡み合い」
  I 言葉と書の隔たり
  II 三つの書
  III 聖書とそのテクスト外

「「理解を求める信仰」──その聖書的先例」
  アンセルムスによる神の名指し
  聖書的源泉──神の自己提示
  聖書的源泉(続き)──自己提示と異議申し立て

「ひとつの聖書からもうひとつの聖書へ」
  「私はある。私はあるという者」
  神は愛である。

「愛と正義」
  I 愛の秩序
  II 正義の論拠
 III 愛と正義の弁証法

「翻訳という範型」

訳者解説(久米博)
補論 リクール聖書学とエキュメニズム(久米博)

訳者あとがき

 聖書的解釈学と哲学的解釈学との関わりは、リクールを思索の過程を貫くテーマの一つである。こうしたリクール理解において、この論集に所収の論考はきわめて重要な内容となっている(リクールの宗教哲学あるいはキリスト教思想を実質的に論じる基礎的なテーマが扱われている)。特に、わたくしとしては、最後に収録されたリクール翻訳論は大きく拡張できるものと考えている(もちろん、リクール論という形を取ることにはならないとしても)。
 日本を代表するリクール研究者・翻訳家である、訳者の解説・補論も示唆的である。
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プロフィール

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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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