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キリスト教思想と政治・経済・社会6

 キリスト教思想と政治に続いて、今回は、経済へと問題領域を移したい。最近のキリスト教思想の特徴的な展開に、いわゆる経済神学と言いうるテーマにおける議論が目立つ点が挙げられる。この傾向は、この9月におこなわれた学会の学術大会における個人の研究発表にも反映しており、経済をキリスト教思想のテーマとして論じる必要性はかなり広く共有されつつあるように思われる。問題は、ではどのように経済神学を展開するかである。聖書テキストに即した、つまり聖書神学の範囲内では、議論は比較的容易かもしれない。しかし、現在の経済システムを批判的に分析することを可能にするような本格的な理論構築はどうだろうか。こうした議論を考える上で、次に紹介する文献は参考になるかもしれない。経済神学にむけたさまざまな論点が提示されている。

Daniel K. Finn (ed.),
Distant Markets, Distant Harms. Economic Complicity & Christian Ethics,
Oxford University Press, 2014.

List of Contributors
Introduction

Part One: Sociological Resources
1. Who is Responsible? Critical Realism, Market Harms, and Collective Responsibility (Douglas V. Porpora)
2. Structural Conditioning and Personal Reflexivity: Sources of Market Complicity, Critique, and Change (Margaret S. Archer)
3. The Morality of Action, Reflexivity, and the Relational Subject (Pierpaolo Donati)
4. Global Warming: A Case Study in Structure, Agency, and Accountability (John A. Coleman, S. J.)

Part Two: Historical Resources
5. Early Christian Philanthropy as a "Marketplace" and the Moral Responsibility of Market Participants (Brian J. Matz)
6. How a Thomistic Moral Framework Can Take Social Causality Seriously (Mary Hirschfeld)

Part Three: Analytical Resources
7. Facing Forward: Feminist Analysis of Care and Agency on a Global Scale (Cristina L. H. Traina)
8. The African Concept of Community and Individual in the Context of the Market (Paul Appliah Himin Asante)
9. Individuating Collective Responsibility (Albino Barrera, O. P.)

Part Four: Implications
10. Social Causality and Market Complicity: Specifying the Causal Roles of Persons and Structures (Daniel K. Finn)

Index

この論集は、キリスト教思想が社会科学と理論的実証的な問題をめぐって議論をかみ合わせる試みとして、現代的な代表的な知的スタイルのものと言えるであろう。シンポジウムにせよ、研究会にせよ、単発的なやりっ放しという形は乗り越える必要がある。
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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