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京都大学基督教学会・第13回研究発表会

 本ブログでもお知らせしていたように、昨日午後、京都基督教学会・第13回研究発表会が京都大学文学部校舎の地階の大会議室で開催されました。
 寒い中、お忙しい中でしたが、充実した研究発表会となりました。研究発表いただいた方々、また会の運営にご協力いただきました、キリスト教学専修の大学院生のみなさま、ご苦労様でした。
 研究発表は、次の三名の方でした。それぞれ、最近のご自分の研究成果、特に現在取り組みつつある研究内容についての展望をお話しいただきました。

1.小柳敦史「神学史の中のトレルチ──前衛から後衛へ」
 昨年度博士学位を所得された研究内容の、特に方法論(神学史、前衛と講演)の紹介と、それに基づく新たな研究成果についてのご発表でした。トレルチからティリッヒに継承されたものについての指摘はティリッヒ研究においてはかなり意識されているテーマであり、今後トレルチ研究とティリッヒ研究との双方からのアプローチを踏まえた研究が期待できるものと思います。
 懇親会での議論までを踏まえれば、今回論じられた「神学史」という方法論が、思想研究にとって何をもたらすのかについて、特にテキストがどのように新に深く読むことに寄与するかが、問題となると言えるでしょうか。

2.今出敏彦「自然法における摂理・理性・裁き──
      アーレントの『悪の陳腐さ』を巡る正義論の現実性」 
 京都大学に提出されてすでにしばらくが経過したアーレント研究(博士論文)を土台に、今出さんがその後どのような方向で研究を進展させ、現在何に取り組みつつあるのかについての基本的な方向性を描いていただきました。それは、アーレントの約束(赦しとともに、行為の脆さを乗り越えることを可能にする)を、その現実化という視点から「約束の論理」として論じるという方向性であり、これは正義論(ブルンナー)へ、そして自然法論(グロティウス・創造・社交性から、フーフェンドルフ・契約・同意へ)として追求されつつあります。この壮大な構想のために、キリスト教神学、哲学、法思想という広範な思想領域が視野に入れられています。いずれ、後半部分の略述された構想についても研究発表をお伺いしたいと思います。

3. 安酸敏眞「「永遠の契約」か、それとも「和解」か?
       ──キリスト教信仰と学問研究をめぐるシュライアマハーとヘーゲルの対立」
 これまで、トレルチからレッシング、フランクへと研究を進呈させてきた安酸さんが、いよいよシュライアマハーとヘーゲルという近代の二人の巨人の思想に取り組みつつあることについての研究発表で、今回は、両者の関わり合いを伝記的な事項を踏まえて概観していただきました。この上で、シュライアマハーの信仰論とヘーゲルの宗教哲学に取り組むことになるわけです。両者が何を共有し、基本的にどこに相違があるのか、そしてこうした事柄が何を意味するのか(キリスト教思想にとっての意義など)。きわめて、困難かつ魅力的な研究テーマです。今後の本格的な研究の進展が楽しみです。安酸には、2015年度に集中講義をお願いしていますので、学生のみなさまはぜひ積極的に受講ください。
 なお、私見では、両者の哲学的方法として共有された弁証法概念がポイントとなるように思われます。実際、最近のシュライエルマハー研究ではこの点が問題にされていますし、さらにシェリングをそれに加えた考察も重要でしょう。その背後には、言語をめぐる基本的な視点の違いがあるようにも感じされます。まさに解釈学と現象学という現代哲学の方法論の分岐の源泉の一つです。

 研究発表会後に、百万遍の写楽で恒例の懇親会が開催され、話しの弾む楽しいひとときとなりました。
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プロフィール

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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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