社会脳研究の射程3

 今回取り上げるのは、神経文学、つまり、社会脳研究の文学研究への適応である。議論はこうした領域までも及んでおり、いよいよ宗教研究へももう一歩といった感じであろうか。
 
苧阪直行編
『小説を楽しむ脳──神経文学という新たな領域』
新曜社、2014年。

「社会脳シリーズ」刊行にあたって (苧阪直行)
社会脳シリーズ7『小説を楽しむ脳──神経文学という新たな領域』への序──神経文学の秘密の花園への旅 (苧阪直行)

1 読みの神経機構 (苧阪直行)
2 読み書き能力の脳内機構機──文化差の影響 (中村仁洋)
3 読書と脳 (猪野政志)
4 バイリンガルの脳内神経基盤 (福山秀直)
5 文章が創発する社会情動の脳内表現 (高橋英彦)
6 読者における文の理解のワーキングメモリー (苧阪満里子)
7 オノマトペ表現を愉しむ脳 (苧阪直行)

文献
事項索引
人名索引

 神経文学といっても、さしあたりのテーマは、「読む」「愉しむ」という読者論の範囲であり、創作論はまだ視野に入っていないようである。ほんとうの「秘密の花園」はこちらの方であり、伝統的には、天才論とも関連して、論じられてきたものである。しかし、こちたは確かに難問である。

「本巻では、小説や詩歌を読むことが想像力を高め、感情を豊か蘇らせ、それらが読むことの愉しみを支えていることを明らかにした。そして、その背景には読みという知を駆動する脳のはたらきと、それを包み込む情動を司る社会脳の相互作用があることが判明した。」(xxi)

 前半部分は、いわば常識的な話。後半についても、初めの部分は想定範囲。真に社会脳研究としての意義は、後半部分の後の方にある。
 なお、この「社会脳シリーズ」はその後、2冊(『成長し衰退する脳──神経発達学と加齢学』、『ロボットと共生する社会脳──神経社会ロボット学』)が刊行され、昨年末に完結した。いずれ、機会を見て、これらについても紹介することにしたいが、さしあたりは、ここで一度中断したい。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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