宗教改革後のキリスト教の一断面
宗教改革500周年を迎えるに当たって、さまざまな企画が計画されているが、宗教改革がもたらした、必ずしも主流の動向とはならなかったが、記憶すべき諸動向について、じっくり考えることも、重要な研究作業となるように思われる。
再洗礼派としてしばしばまとめて扱われる比較小さな諸集団の歴史から、近代キリスト教、近代世界を見ることは興味深い試みである。近年の日本では、再洗礼派のまとまった研究が稀になっていた感がするが、今回、貴重な論集が刊行され、再洗礼派研究の新しい展開に触れることが可能になった。
『福音と世界』(新教出版社)に連載されたものが著書として刊行されたわけであるが、わたくしは、連載当時から、毎月、楽しみに拝読させていただいていた。
永本哲也・猪刈由紀・早川朝子・山本大丙編
『旅する教会──再洗礼派と宗教改革』
新教出版社、2017年。
プロローグ
第1部 再洗礼派の誕生と受難
1 偽りの教えを説く悪魔──ルターの宗教改革と再洗礼派
2 ルターから逸脱する改革者たち──カールシュタット、ミュンツァー、再洗礼派
3 ツヴィングリの先を行く──スイス再洗礼派
4 1528年の聖霊降臨祭に世界は終末を迎える──南ドイツでの展開
5 財産のいっさいを共同体に供出する──モラヴィアのフッター派
6 地上に降り立った新しきエルサレム──1530─35年の北西ヨーロッパ・ミュンスター再洗礼派
7 信仰の徹底を目指して──心霊主義とメノー派の形成
8 忌避と破門をめぐる戦い──メノー派の分裂・統合の試み・アーミッシュの出現
9 自覚的信仰と予定──ジャン・カルヴァンと改革派の再洗礼派観
第2部 再洗礼派の諸相
1 「使徒的生活」を目指す改革者たち──中世後期の宗教改革と再洗礼派
2 メディアのなかの再洗礼派──ミュンスターの再洗礼派王国驚異譚
3 緩やかに根づくネットワーク──再洗礼派運動と都市
4 イタリアのテディカルたち──カトリックの牙城での宗教改革
5 信仰者のバプテスマのみを認める──再洗礼派とバプテストとの出会い
6 『アウスブント』──殉教者たちの記憶
7 『殉教者の鑑』──メノー派・アーミシュのアイデンティティの源泉
第3部 近代化する社会を生きる再洗礼派
1 「宗派化」の時代を生き抜く宗教的少数派──16~17世紀の「スイス兄弟団」
2 「忌避」に同意しない者は破門する──アーミシュの誕生
3 近世から近代を生き抜くメノー派──プロイセン、ドイツ、ロシア
4 フッター派の500年──財産共有と無抵抗主義を守りぬく
5 真の信仰は決して強制され得ない──シュヴェンクフェルト派の形成
6 自由な社会の市民として生きる──アメリカ、カナダの再洗礼派
7 伝統の保持、「世界」への順応──アーミッシュの教育
8 世界に広がる再洗礼派──アジア、アフリカ、ラテンアメリカへの宣教
9 戦後に生まれた再洗礼派教会──日本メノナイトとフッタライト
エピローグ──再洗礼派と宗教改革の500年
再洗礼派関連略年表
図版出典一覧
あとがき
執筆者略歴
地名索引
人名索引
9人の執筆者による共著である。教会は、ある土地に定着しつつ存続するものであるともに、地上をし続けるものであり、現実のキリスト教はこの両面を有しながら歴史を超えて存在してきた。そこで出会う様々な問題は、再洗礼派に属する小集団が経験したものであるが、それは、ほかのキリスト教的伝統においても、共有できるものである。
宗教改革とは何であったのかを、改めて考えたい。
再洗礼派としてしばしばまとめて扱われる比較小さな諸集団の歴史から、近代キリスト教、近代世界を見ることは興味深い試みである。近年の日本では、再洗礼派のまとまった研究が稀になっていた感がするが、今回、貴重な論集が刊行され、再洗礼派研究の新しい展開に触れることが可能になった。
『福音と世界』(新教出版社)に連載されたものが著書として刊行されたわけであるが、わたくしは、連載当時から、毎月、楽しみに拝読させていただいていた。
永本哲也・猪刈由紀・早川朝子・山本大丙編
『旅する教会──再洗礼派と宗教改革』
新教出版社、2017年。
プロローグ
第1部 再洗礼派の誕生と受難
1 偽りの教えを説く悪魔──ルターの宗教改革と再洗礼派
2 ルターから逸脱する改革者たち──カールシュタット、ミュンツァー、再洗礼派
3 ツヴィングリの先を行く──スイス再洗礼派
4 1528年の聖霊降臨祭に世界は終末を迎える──南ドイツでの展開
5 財産のいっさいを共同体に供出する──モラヴィアのフッター派
6 地上に降り立った新しきエルサレム──1530─35年の北西ヨーロッパ・ミュンスター再洗礼派
7 信仰の徹底を目指して──心霊主義とメノー派の形成
8 忌避と破門をめぐる戦い──メノー派の分裂・統合の試み・アーミッシュの出現
9 自覚的信仰と予定──ジャン・カルヴァンと改革派の再洗礼派観
第2部 再洗礼派の諸相
1 「使徒的生活」を目指す改革者たち──中世後期の宗教改革と再洗礼派
2 メディアのなかの再洗礼派──ミュンスターの再洗礼派王国驚異譚
3 緩やかに根づくネットワーク──再洗礼派運動と都市
4 イタリアのテディカルたち──カトリックの牙城での宗教改革
5 信仰者のバプテスマのみを認める──再洗礼派とバプテストとの出会い
6 『アウスブント』──殉教者たちの記憶
7 『殉教者の鑑』──メノー派・アーミシュのアイデンティティの源泉
第3部 近代化する社会を生きる再洗礼派
1 「宗派化」の時代を生き抜く宗教的少数派──16~17世紀の「スイス兄弟団」
2 「忌避」に同意しない者は破門する──アーミシュの誕生
3 近世から近代を生き抜くメノー派──プロイセン、ドイツ、ロシア
4 フッター派の500年──財産共有と無抵抗主義を守りぬく
5 真の信仰は決して強制され得ない──シュヴェンクフェルト派の形成
6 自由な社会の市民として生きる──アメリカ、カナダの再洗礼派
7 伝統の保持、「世界」への順応──アーミッシュの教育
8 世界に広がる再洗礼派──アジア、アフリカ、ラテンアメリカへの宣教
9 戦後に生まれた再洗礼派教会──日本メノナイトとフッタライト
エピローグ──再洗礼派と宗教改革の500年
再洗礼派関連略年表
図版出典一覧
あとがき
執筆者略歴
地名索引
人名索引
9人の執筆者による共著である。教会は、ある土地に定着しつつ存続するものであるともに、地上をし続けるものであり、現実のキリスト教はこの両面を有しながら歴史を超えて存在してきた。そこで出会う様々な問題は、再洗礼派に属する小集団が経験したものであるが、それは、ほかのキリスト教的伝統においても、共有できるものである。
宗教改革とは何であったのかを、改めて考えたい。
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