性の多様性の現実と神学

 現代神学あるいは現代のキリスト教における、それを二分する争点となり得る(なりつつある、なっている)ものの一つは、性をめぐる問題であろう。1970年代ごろのフェミニスト神学の台頭期と比べて、キリスト教を取り巻く状況は大きく変化し複雑化している。伝統的な文化的コードのもとで覆い隠されてきた性の多様性の現実が顕わになってきたということである。
 伝統的な文化に属し、それに大きな影響を与えてきたキリスト教にとってもこの事態は決定的な意味を持つものであって、それが、このキリスト教世界を二分する争点という事態に顕われているのである。
 こうした状況の一面を問う文献として、次のものを挙げておきたい。英語圏では、類書は多く存在する。

パトリック・S・チェン
『ラディカル・ラブ──クィア神学入門』
新教出版社、2014年。

まえがき
第1章 クィア神学とは何か
 クィアという用語について
 クィア神学の定義
 クィア神学の四つの源
 例:サクラメントとしての同性婚?

第2章 クィア神学の系譜
 クィア神学の四つの流れ
 これからのトレンド:インターナショナリティとはハイブリディティ

第3章 神
 啓示:ラディカル・ラブとしての神のカミングアウト
 神:ラディカル・ラブそのもの
 三位一体:ラディカル・ラブの内なる共同体
 創造:神のラディカル・ラブのほとばしり

第4章 イエス・キリスト
 罪:ラディカル・ラブの拒否
 イエス・キリスト:ラディカル・ラブの具現
 マリア:ラディカル・ラブの育み手
 贖い:ラディカル・ラブを通して犠牲を終わらせる

第5章 聖霊
 聖霊:私たちをラディカル・ラブへと導く
 教会:ラディカル・ラブの外なる共同体
 聖人:この世界に射し込んだラディカル・ラブ
 サクラメント:ラディカル・ラブの予兆
 終末:ラディカル・ラブの地平線

結語

 従来の文化コードを正当化してきた仕方での本質主義的議論は理論的に成り立たないとしても、問題状況をいかに整理するのかということについても、議論は混沌としている。というのも、「現実」自体がコード無しには、それが科学的生物学的コードであっても、なり立たないからである。現実と虚構との共生関係を視野に入れた上での議論の再構築が望まれる。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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