FC2ブログ

文学的伝統の継承、女性の場合

 文化と伝統とは密接な関わりにある、というよりも両者は不可分である。とすれば、文学にも伝統継承が存在し、たとえば、日本の平安時代の文学には女性作家たちによる伝統継承が確認できるであろう。それは、日本だけのことではなく、それは、しばしば通常の文化圏的な区分を越えることさえあるように思われる。
 たとえば、現代アメリカの黒人女性作家、アリス・ウォーカーのエッセイ集を読むと、そこには、ヴァージニア・ウルフの名前と共感が見出される。そして、ウルフこそが、女性による文学伝統の継承を語った作家なのである。

ヴァージニア・ウルフ
『自分だけの部屋』
みすず書房、1988年。

「女性が小説なり詩を書こうとするなら、年に五百ポンドの収入とドアに鍵のかかる部屋を持つ必要がある。」(159)
経済的自立と精神的独立(瞑想する力と思考する力)が、女性の文学者に必要であるとは、おそらく、男性の場合も同様であろう(任期のない常勤職についていたとしても、この自立と独立を実質化することは難しい)。

『自分だけの部屋』は、1928年の二つの講演をまとめたものであるが、この講演の最後で、ウルフは、シェイクスピアの一人の妹に言及して次のように語っている。

「彼女は、あなた方の中に、私の中に、それから、お皿を洗ったり子供たちを寝かしつけているために、今夜ここにはお出でにならない他の多くの女性たちの中に、生きているのです。そうです、彼女は生きているのです。偉大な詩人は死ぬことはなおのですから、彼らは存在しつづけるのです。肉体の形をとって私たちの間に現われる機会を必要としているだけなのです。この機会を彼女に与える力は、私が思いますのは、今やあなた方の手中に入りつつあります。・・・一人々々が年に五百ポンドの収入と自分だけの部屋を持つようになったら、もし思うところをそのままに書く自由と勇気を身に着けるようになったら、・・・、私たちが、自分たちはすがりつく腕など持たず、独りで歩み、かかわっているのはゲンzに角世界と出会って、男女の世界だけではない、という事実(それは事実ですから)い直面することになったら、その時こそ、機会は到来し、シェイクスピアの妹だった無き詩人は、これまでしばしば脱ぎ棄ててきた肉体をまとうでしょう。彼女は、自分の兄が彼女に先駆けてそうしたように、自分の先駆者である無名の女性たちの生命から己れの生命を引き出して、生まれてくるでしょう。」(172-173)

 ウルフは、リクールが時間を論じる中で、取り上げていた。
スポンサーサイト



プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター
カレンダー
11 | 2019/12 | 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR