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脳科学の射程

 脳科学は、現在きわめて広範な問題領域をまきこんで展開中である。その中には、宗教研究も含まれる。宗教研究と脳科学とを関連づける上で注目すべきテーマはいくつか考えられるが、その一つは、病であろう。病における身体と心の繋がりあるいは人格は、脳と宗教とに共通の問題であり、両方の研究分野の知見を相互参照することは、有益な展開を可能にするかも知れない。そうした中で、次の文献は、興味深い問題を提起している。

恩蔵絢子
『脳科学者の母が、認知症になる──記憶を失うと、その人は〝その人〟でなくなるのか?』
河出書房新社、2018年。

はじめに 医者ではなく脳科学者として、母を見つめる

1 六五歳の母が、アルツハイマー型認知症になった
2 アルツハイマー型認知症とはどんな病気か
3 「治す」ではなく「やれる」ことは何か──脳科学的処方箋
4 「その人」らしさとは何か──自己と他者を分けるもの
5 感情こそ知性である

おわりに 父母と竿灯まつりに行く

参考文献

 認知症は、人間の核心的問題を問うている。その人は何者か、わたしとは何者か、人格とは知性とは。
 人格やその人らしさという問題は、個に集約できる問題ではなく関わり・関係性を視野に入れる必要がある。「認知能力が失われても、残るものは何か」との問いは重い。「感情こそ知性である」「感情が知性を生み出している」が脳科学の知見であるとすれば、それは宗教研究から遠くない。
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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