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『図書』から

『図書』2020.4(岩波書店)が届きました。
『図書』を紹介するのは、久しぶりですが、今回の号には、キリスト教との関連で興味深い記事が掲載されていますので、取り上げます。

・松﨑一平「聖人になった平凡な母親──クラーク『モニカ』によせて」
 「平凡な母親」とは、非凡な聖人アウグスティヌスの母親モニカのことですが、副題にあるように、このエッセイでは、ジリアン・クラークの著書(Gillian Clark, Monica. An Ordinary Saint, Oxford U. P., 2015)が念頭に置かれている。北アフリカの小都市で生まれ生涯の大半を郷里で一市民として暮らした女性、聖人とされるような奇跡を行ったわけでも殉教したわけでもない一人の母親が聖人とされた。「聖人とされるにしては、並みだ、平凡だ、ふつうだ」というニュアンスである。
 このエッセイでは、最後の段落で、次のように語られている。

 「アウグスティヌスの非凡は、モニカの平凡とともに歩み、平凡を礎として平凡に見まもられながら育まれていく。非凡は、平凡と連続的、平凡とひとつだ。」

 なるほど。では、聖人とは何なのだろうか。

 今回は、赤坂憲雄と三浦しをんとの対談「『風の谷のナウシカ』に響く声」も、面白かったが、吉川一義さんのエッセイ「プルーストの謎」が目にとまった。

「私は、今回の全訳によって、ようやくプルーストとの本格的に出会い、その文学の深淵をのぞき見たことに気づいた。プルーストの小説からは、愛読すればするほど新たな謎が立ちあらわれる。作家の探求は、それほど人間精神の深い闇にまで届いている。」

 50年以上も『失われた時を求めて』を読んできた著者ならではの言葉である。
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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