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現代宗教学の基本文献54

 ユング研究書を紹介してきたが、本ブログの関係では、「ユングとティリッヒ」というテーマは、当然、一定程度、まとまった議論が可能なものであり、一度、まとめておく必要があると思われる。
 ユングとティリッヒは同時代人であり、さまざまな接点が存在する。実際、後期ティリッヒにおいて、精神分析とキリスト教思想というテーマに関わる論考が少なからず存在し、その中で、ユングについては、かなりの言及・議論がなされている。特に、解明を要するのは、エラノス会議とティリッヒとの関わりである。エラノズ会議は、東西宗教思想の融合交流という精神で、1930年代に始まったものであり、多くの著名な思想家が招待され講演・討論を行っているが、その会議の中心的な理論を提供したのが、ユングの深層心理学である。ティリッヒもこのエラノス会議で講演したことは、1955年にエラノズ年報に掲載の次の論文から、明らかである。
"Das Neue Sein als Zentralbegriff einer christlichen Theologie," in: Eranos-Jahrbugh 23, 1955.
 1955年は、ティリッヒのキリスト論の集大成と言える『組織神学』(第2巻)が刊行された時期であり(これに至る動きは、1940年代中頃まで、たどれるだろう)、まさに「新しい存在」は、その中心概念であった。これとエラノス、ユングとの関わりが問われるとすれば、どうだろうか。背景には、当時の思想世界のさまざまな人間関係が見え隠れしている。
 
 というわけで、ユングとティリッヒは、当然追求されるべき研究テーマであり、実際、そうした研究は、一定数、確認できる。邦訳を通じて、日本にも紹介されているのは、次の研究文献である。

John P. Dourley,
The Psyche as Sacrament. A Comparative Study of C.G. Jung and Paul Tillich,
Inner City Books, 1981. (ドゥアリイ『ユングとティリッヒ』大明堂、1985年。)

1. The Apologetic Problem
2. The Psyche as Sacrament
3. God, the Union of Opposites, and the Trinity
4. The Search for the Nonhistorical Jesus
5. Aspects of the Spirit
6. Church, Morality, and Eschatology

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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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