情報公開はどうなるか

 民主主義国家が国民の自己決定(選挙・投票)をその正統性の根拠にしているとすれば、その前提には、国民の基本的人権の保障、特に知る権利がなければならない(これは特別の政治理論と言うよりも常識のはず)。そして、知る権利と密接に結びつくのが、情報公開であることはまた言うまでもない(だから、マスコミの報道の自由や表現の自由が大切なわけである)。
 では、日本はどの程度民主主義国家なのだろうか。常識的には、多くの日本人は、「・・・・の国」よりも日本は民主的と思っている、と推測される。しかし、実態は。7月の参議院選挙では憲法改正が話題になったが、この問題のポイントは、すでに改正は実質的には着実に進行しつつあるという点である。もちろん、自衛隊をめぐる拡張解釈を通した実質改正といった事柄も問題ではあるが、より最近のこととして、生活保護制度の改悪、内閣法制局長会人事、集団的自衛権への踏み込みなど、参議院選挙の終了を待つかのように、一挙に事態は動きつつある。
 特に、注目すべきは、この秋に臨時国会への提出とも言われる「秘密保全法」である。これは、民主主義の根幹である、国民の知る権利とそれを支える情報公開制度を無効にする威力を秘めたものである。しかも、「安保協力分野におけるTPP」とも言われるこの法案については、TPPの場合と同様に、目的と内容すら言わば秘密のまま法制化が進行しつつある。マスコミと言えば、猛暑とエジプトについては報道を行うが、もっとも肝心な事柄については、そんな問題は存在しないかのような状況である。
 秘密保全法については、マスコミよりもWebを参照すべきであるが、次の文献も参照できる(岩波ブックレットであり、分厚くはない)。

海渡雄一、前田哲男
『何のための秘密保全法か──その本質とねらいを暴く』
岩波書店、2012年。

1 いま、なぜ「秘密保全法」か(前田哲男)
2 「秘密保全法」にいたる系譜(前田哲男)
3 有識者会議報告書に見る特別秘密の「三分野」(海渡雄一)
4 どんな法律? 秘密保全法Q&A(海渡雄一)
5 秘密保全法のある社会(前田哲男)
6 求められるのは情報公開──原発事故から考える(海渡雄一)

 オスプレイも、原発事故も、最近の諸動向は決して偶然ばらばらに生じているわけではない。ナチスにならって国民が気付かないうちに民主主義の実質を変質させてしまう、という「議論」は、すでに今進行中の現実である。これが、いわゆる若い世代に無関係なはずはない。大学も、研究も、すべてこうした動向と絡み合って存在している。
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