脳神経科学からキリスト教思想研究へ

 先日のブログでも報告したように、日本宗教学会・学術大会では、初日の講演で、「現代の思想状況における宗教研究の課題─キリスト教研究の視点から─」というテーマで話を行った。予定では、「脳科学は宗教哲学に何をもたらしたか」(『脳科学は宗教を解明できるか?』春秋社、所収)で論じた以降の展開を中心にすることにしていたが(配付資料はそうなっていた)、時間的な問題もあり、実際の講演では、この以降の展開については、やや簡単に圧縮した扱いなった。
 脳神経科学の最近の展開、特に社会脳研究が、キリスト教思想研究にどのように関連する可能性を有しているかについては、別の機会に(おそらくは、11月の筑波大学での講演あたりで)、再度議論し直すことになると考えているが、今回の講演の配付資料に入れた文献で、この論点を具体的に論じた論文を、紹介しておきたい。内容的にはかなり粗いものではあるが、現にこうした議論が始まっていることを知るには有益と思われる。

Michael L. Spezio,
Social Neuroscience and Theistic Evolution: Intersubjectivity, Love, and the social Sphere,
in: Zygon, vol.48.no.2(June 2013), pp.428-438.

Abstract: After providing a brief overview of social neuroscience in the context of strong embodiment and the cognitive science, this papaer addresses how perspectives from the field may inform how theological anthropology approches the origins of human persons-in-community. An overview of the Social Brain Hypothesis and of simulation theory reveals a simultaneous potential for receptive/projective processes to facilitate social engagement and the need for intentional spontaneity in the form of a spiritual formation that moves beyond simulation to empathy and love. Finally, elements of a virtue science that draws on Dietrich Bonhoeffer's relational imago Dei are shown to be helpful in framing and motivating theological approaches to human origins.

 なお、このZygonという雑誌は、電子ジャーナルとして、京都大学の附属図書館のWebから入って、読むことが可能である。キリスト教思想研究に関連した雑誌はかなりのものが電子ジャーナルで読むことができるので、積極的に利用すべきであろう。研究は新しければよいというわけではないが、それは、新しい研究動向に無知であってよいということではない。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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