コペルニクス1

 近代科学の成立に大きな影響を及ぼし、さらには知的世界の転換を引き起こした。これが一般的なコペルニクスについてのイメージかもしれない。こうした「近代」的な立場からの投影に対して、コペルニクス自身に迫ることは、「近代」の成立自体の批判的な理解にとってきわめて有益な試みであり、近年のコペルニクス研究は多くの知見を提供してくれる。
 しかし、まずなんと言っても、コペルニクス(1473-1543)を理解するには、彼の問題の書『天球回転論』(初版、1543年。禁書目録に入るには1616年。この時間差をどう解釈するかが一つの問題となる。禁書目録からはずされるのは、1835年)を検討する必要がある。幸い、コペルニクスの地動説の確立に関わる『コメンタリウム』(1510年頃完成か)を含め、詳細な解説が付された、『天球回転論』の邦訳が存在する。今回紹介するのは、この邦訳である。

コペルニクス、高橋憲一訳、
『天球回転論』
みすず書房、1993年(2012年限定復刊)。

まえがき

I 天球回転論
『天球回転論』解題
読者へ この著述の諸仮説について
カプアの枢機卿ニコラウス・シェーンベルクの書簡
最も聖なる主・教皇パウルス3世宛て、回転論諸巻へのニコラウス・コペルニクスの序文
ニコラウス・コペルニクスの諸回転の第1巻
 第1章~第11章
訳注
付録1 『天球回転論』6巻の内容目次
付録2 1620年の訂正命令(教皇庁)

II コメンタリウム
『コメンタリウム』解題
ニコラウス・コペルニクスの小論
1~9
訳注

III 解説・コペルニクスと革命
1 はじめに
2 コペルニクス以前の天文学1:ギリシアとローマの世界
3 コペルニクス以前の天文学2:アラビアとヨーロッパの世界
4 コペルニクスの生涯と著作
5 コペルニクスの天文学:地球中心説から太陽中心説へ
6 コペルニクス説の受容と変容の過程

文献
人名・書名索引
事項索引

 コペルニクスの天文学は、惑星の運動の観測記録を十全に一貫して記述しうる数学的モデル(幾何学的)の構築を主題にしている。それは、直接は、自然学的問題(後にガリレオが論じ、ニュートンにおいて完成するような)や神学的聖書解釈学的な問題には関係しない。もちろん、太陽中心説モデルが自然学的神学的な問題へと波及し論争を生んだことは言うまでもないことであるが(コペルニクス自身こうした展開は視野に入っていただろうが)、コペルニクス自身の仕事はやや限定されたものであった。
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