コペルニクス2

 コペルニクスの『天球回転論』については、昨日、取り上げたとおりであるが、コペルニクスの地動説の中心は、惑星軌道の数学的モデルという論点に関わっていた。それは、後に自然学的論点と神学的論点へと展開することになるが、聖書解釈に関わる神学的問題が、コペルニクスが『天球回転論』をためらった理由であったことは疑いもない。このためらうコペルニクスを出版へと説得したのが、コペルニクスの最初の(あるいは唯一の)弟子と言うべきレティク(ヴィッテンゲルク大学の数学者・ルター派に所属。1539年にコペルニクスを訪問)であったことも知られており、レティクスは、二冊の小冊子によって、コペルニクスの地動説の擁護論を展開している。これらのうちの二冊目こそが、「地動説が聖書の教えに矛盾しない」という内容であり、コペルニクスの地動説を取り巻く神学的状況を知る上で重要な資料となる。これは、長い間幻の書とされていたが、20世紀後半になってホーイカースによって発見され、内容を確認することが可能になった。
 今回紹介するのは、この発見されたレティクスの論考(第二部・第5章)に、ホーイカースが序説(第一部)と影響関係(第三部)を付けて刊行した文献であり、邦訳が出版されている。

R・ホーイカース著、高橋憲一訳
『最初のコペルニクス体系擁護論』
すぐ書房、1995年(原著1984年)。

緒言

第一部 序説
  第1章 レティクス、コペルニクス、ギーゼ
  第2章 論考の著者同定
  第3章 コペルニクスの周囲における宗教的風土
  第4章 聖書のさまざまな解釈法
    1 逐語主義
    2 寓意的解釈
    3 適応
    4 聖書釈義上の問題を天文学者が回避したこと

第二部 [聖書と]地球の運動にかんする作者不明の論考
  第5章 テキスト、翻訳、傍注
    一 テキストと翻訳への緒言
    二 ラテン語テキスト[邦訳では省略]
    三 論考テキストの翻訳
  第6章 注釈

第三部 余波
  第7章 レティクス、ラムスおよびコペルニクスの仮説
    1 エジプトの天文学
    2 仮説なき天文学
      ラムスとコペルニクス主義
    3 ケプラーとラムス
  第8章 論考の出版と衝撃の欠如
    1 作者不明の論考の出版
    2 一六五一年の出版が注目されないままであったのはなぜか
      ヨハンネス・ケプラー
      ガリレオ・ガリレイ
      ジョン・ウィルキンズ
      カルヴァンの影響

脚注
訳者あとがき
聖句索引
人名索引 
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