アジアという視点(3)

 アジアという視点で、キリスト教研究を行う場合、当然、さまざまなことが問題になります。たとえば、アジアという視点は、いかなる特殊な問題状況に関わっており、どのような方法論を要求するのか、あるいはアジアの視点と言っても、さまざまな地域研究の一つであり特別な方法論は必要ないのか、などなど。アジアの視点として取り立てて何を主張するのか。こうした論点を十分な仕方で論じるのは、まず一定の予備研究が必要になる。まず、アジアのキリスト教についての全般的な歴史的状況を概観した上で、再度、方法論的な問いに戻ってくるという手続きが必要なのである。
 こうした全般的な歴史的状況を予備的に知る上で、次の文献は、一つの出発点を与えてくれる。出版からすでに20年を経過しているが、いまだこれに代わりうる文献は見出しにくいように思われる。

日本基督教団出版局編
『アジア・キリスト教の歴史』
日本基督教団出版局、1991年。

序 アジアのキリスト教(隅谷三喜男)
アジア・キリスト教協議会(CCA)について(中嶋正昭)

第一章 東北アジア・キリスト教の歴史
  第一節 景教の東方伝道
  第二節 日本
  第三節 朝鮮
  第四節 中国
  第五節 台湾
  第六節 モンゴル
  第七節 香港

第二章 東南アジア・キリスト教の歴史
  第一節 フィリピン
  第二節 タイ
  第三節 ビルマ
  第四節 カンボジア
  第五節 ベトナム
  第六節 ラオス
  第七節 マレーシア
  第八節 シンガポール
  第九節 インドネシア

第三章 南アジア・中央アジア・キリスト教の歴史
  第一節 インド
  第二節 スリランカ
  第三節 バングラデシュ
  第四節 パキスタン
  第五節 アフガニスタン
  第六節 ブータン
  第七節 ネパール
  第八節 チベット
  第九節 シッキム

第四章 オセアニア・キリスト教の歴史
  第一節 オーストラリア
  第二節 ニュージーランド

対談・アジアのキリスト教を考える(池明観・土肥昭夫)

執筆者紹介


 アジア・キリスト教の包括的な歴史叙述の試みであるが、各節が独立した一つの論考という形態になっている。地域区分の問題や、ソビエト崩壊などによる中央アジアから西アジアにかけての変動後の新しい国家区分などを前提に地域キリスト教の歴史を捉え直すことなど、課題は少なくない。この20年で、各地域のキリスト教研究は進展した部分もあるが、全体として、本格的な研究体制の構築には至っていないのが現状であろう。この遅れ・停滞は何なのだろうか。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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