内村研究の広がり

 内村鑑三は、キリスト教思想研究はもちろん、さまざまな専門研究領域において研究がなされており、その広がりは、それ自体が興味深い現象といえる。本ブログで取りあげてきた範囲でも、それは確認いただけるものと思う。
 今回紹介するのは、日本思想史から日本史といった研究領域における内村に関わる論文である。これは、次の論集に収録されたものである。

趙景達・原田敬一・村田雄二郎・安田常雄編
『講座 東アジアの知識人 2近代国家の形成 日清戦争~韓国併合・辛亥革命』
有志舎、2013年11月。

この講座には、内村鑑三のほかにも、孫文、田中正造、幸徳秋水、徳富蘇峰、黒岩涙香、渋沢栄一などに関わる論考が収録されている(目次全体を紹介するのは、煩雑になるので、今回は省略)。

内村鑑三に関わる論考は、次のものである。

・谷川穣「内村鑑三──「天職」の地理学」(120-137頁)
 この論考では、内村鑑三へのさまざまなアプローチを視野に入れた上で、「本稿では、内村の知識人としての軌跡を描くにあたって、一つの軸として「地理学者」としての姿に焦点をあててみたい」として、『地理学考』が分析の主要なテキストとして取りあげられる。『地理学考』と日清戦争支持には、日本がその「天職」を果たす事への期待と自負が見出されるものであるが、非戦論への転換後も、この天職論が保持されていたことが指摘されている。分析は、「内村は「聖書学者」であると同時に、実は自身が憧れた「地理学者」でもあり続けた」と締めくくられる。

 内村はもちろん、日本近代という研究対象は、多くの研究分野の視点と方法論を持ち寄り、柔軟に統合することによってはじめて、アプローチ可能になるものである。谷川さんは、わたくしと同じ京都大学文学研究科の研究者であり、今後、共同研究の機会があればと考えている(お互いに、忙しいのが最大の問題ではあるが。近年の大学における諸改革は、教員の多忙化を進めるものである点で、研究と教育にとってプラスとは言えないものとなっている。これで、しかも予算を削減して、大学のランキングだけを挙げようというのだから、・・・)
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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