「足跡」の詩

 昨日の内村鑑三・非戦論の演習では、「負けるは勝つの記」(明治37年=1904年)を読んだ。そこで、内村は、「悲しい事、痛ましい事、心を張裂くばかりの悲痛事は吾等の毎日聞かされる所であるから、余は今は重に嬉しい事、楽しい事にのみ就て語りたく思ふ」として、「負けるは勝つ」の三つの世界歴史の事例(「世界歴史は活ける福音である」)、つまり米西戦争に負けたスペイン、「世界亡国史上最も著明なる国」ポーランド、紅海西岸の新植民地獲得に失敗したイタリアを挙げる。内村の結論は、「世に頼り少きものにして政治家の計策の如きはない、之に対して頼むべきものにして平民の常識の如きはない」となっている。この結論は、現在の日本の政治家に聞かせるべき言葉かもしれない。
 今回のブログでは、以上の内村の精神にならって、心に届く歌を紹介したい。原文訳文ともにさまざまなヴァージョンで読まれてきた「足跡」(マーガレット・フィッシュバック・パワーズ作)という詩である。わたくしがこの詩に最初に触れたのは、教会学校の礼拝である教会学校教師が説教の中でこの詩を紹介した際のことであり、もう10年以上前のことである。その時から気になっており、最近、マーガレット・フィッシュバック・パワーズ『主の御腕に抱かれて──「足あと」に献げる感謝の花束』(新教出版社)を入手したので、この機会に本ブログでも紹介したい。訳も原文もWeb上で確認できる。なお、以下引用の訳は、この文献の訳者である尾崎安の訳とは異なっている。

FOOTPRINTS

One night I dreamed a dream.
I was walking along the beach with my Lord.
Across the dark sky flashed scenes from my life.
For each scene, I noticed two sets of footprints in the sand,
one belonging to me
and one to my Lord.

When the last scene of my life shot before me
I looked back at the footprints in the sand.
There was only one set of footprints.
I realized that this was at the lowest and saddest times in my life.

This always bothered me and I questioned the Lord about my dilemma.
"Lord, you told me when I decided to follow You,
You would walk and talk with me all the way.
But I'm aware that during the most troublesome times of my life there is only one set of footprints.
I just don't understand why, when I needed You most,
You leave me."

He whispered, "My precious child,
I love you and will never leave you
never, ever, during your trials and testings.
When you saw only one set of footprints
it was then that I carried you."

          (copyright(C)1964 by Margaret Fishback Powers)

足跡
              
ある日私は夢を見た。
私は、主と共に渚を歩いていた。
暗い夜空に、これまでの私の人生が映し出されていた。
どの光景にも砂の上に二人の足跡が残されていた。
一つは私の足跡、
もう一つは、主の足跡だった。

これまでの人生の最後の光景が映し出された時、
私は砂の上の足跡に目を留めた。
そこには一つの足跡しかなかった。

私の人生で一番つらく悲しい時だった。
このことがいつも私の心をみだしていたので、
私はその悩みについて主にお尋ねした。

「主よ、私があなたに従おうと決心した時、
あなたはすべての道で、私と共に歩み、
私と語り合ってくださると約束されました。
それなのに、私の人生でいちばんつらい時
一人の足跡しかなかったのです。
いちばんあなたを必要とした時に、
あなたが、なぜ、私を捨てられたのか、
私にはわかりません。」

主はささやかれた。

「私の大切な子よ、  
私はあなたを愛している。  
あなたを決して捨てたりはしない。
ましてや、苦しみや試みの時に。
足跡が一つだった時、
私はあなたを背負って歩いていた。」

 この詩は、作者パワーズの手を離れ、一時、作者不明として流布していたが、現在は、著者の努力により、著作権が確立しているとのことである。これは、書かれたテキストが、著者と最初の状況から独立した存在として、自律性を獲得するということの事例(不幸な)とも言えるが、テキストの運命がそこには現れている。


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