昨日の京都大学基督教学会・研究発表会

 昨日は、12月の一番の寒さとなった中、京都大学基督教学会・第11回研究発表会が行われた。北海道や東京方面から出席された方など、多くの方々にお集まりいただき、充実した研究発表会となった。さらに、以下のようなお二人の研究発表は、それぞれすばらしい内容であったが、期せずして扱われた問題が緊密に連関したものでもあり、発表後のフロアーとの質疑も活発に行われた。お二人の発表者には、お礼申し上げたい。

・「アジア系のキリスト者による「無の哲学」――賀川豊彦の画期的な再吟味」
  スティグ・リンドバーグ(京都大学大学院博士後期課程)

・武藤一雄先生生誕百周年記念講演「武藤一雄先生の宗教的実存弁証法」
  片柳榮一(京都大学名誉教授・聖学院大学教授)

 リンドバーグさんの発表は、現在、執筆中の博士論文の一部となるものであり、その途中経過と言うべきものであったが、「無」というモチーフが賀川の広範にわたる思想世界の諸テーマを繋ぐものであり、キリスト教と仏教などとの関わりを論じる上で鍵となることが示された。解明された思想内容はもちろん、賀川において何が解明を要するかが明らかになったことは大きな収穫であった。

 片柳先生の講演は、武藤一雄先生(1913-1995)の生誕100周年を記念して行われ、武藤先生の神学的宗教哲学の基本構想が明解に論じられた。
 問う神学という武藤先生の基本的な思想的立場が、キェルケゴール研究、隠された神の解釈、終末論の二類型論を貫くものとして展開され、それは新しい宗教性Aという思想を展望するものであったことが示され、また武藤先生の思想が西田哲学との対話・対論を一つの基盤にしていることが、内在的超越というキーワードの分析によって示された。
 武藤先生の精密に構築された思想世界は決して容易に理解あるいは了解可能なものではないが、今回の講演では、その思想の意図と構造、さらにその意義についても、説得的な分析が行われた。改めて、武藤先生の思想的意義を実感し、さらに残された諸著作を再読したという思いにさせされた。

 研究発表会後の懇親会も、30名あまりの出席者があり、久しぶりに関係の皆様の元気なご様子が拝見できた。京都大学基督教学会の研究発表は、年に二回、7月と12月の第2土曜日を原則に行われることになっていますので、関心のある方が、予定に入れておいて下さい。
 なお、キリスト教学研究室主催の予餞会の方は、3月8日(土)を予定していますので、そちらもよろしく、お願いいたします。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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