2014年はじまる

 2014年、最初のブログ更新です。
 新年、明けましておめでとうございます(ここは、型どおりの挨拶を。何がおめでとうなのかが問題ではあるが)。

 おそらくは、年頭と言うことで、この一年の抱負を述べるべきかもしれないが、この種のことは本ブログではしばしば述べてきたことであり、別の場において行うことにしたい。

 確かに何かを新しいことを始めるには、1月、正月というの便利な時期である。しかし、当然ではあるが、何かをはじめるのに1月である必要はない。というのも、この場合に問題なのは「時」は、もちろんカイロスとしての時であり、それは自然的な時でも、暦において確定される社会的慣習的な時でもないからである。いわば時の脱自性の問題であり、そのためには、1月ということに縛られない方が良いのも言える。ここで、内村鑑三の次の言葉を引用してみたい。

「秋は来ました、秋は事業の替目であります、私共は秋に於て一年の事業の計画を立つるのであります、此一年に何を為さう乎、是れ今日私共が己に問ふ答ふでき問題であります。」(『内村鑑三選集2 非戦論』岩波書店、183頁)

 一年の計は9月にあり。どうしてそうなのかは内村自身説明を行っていないし、正確なところは分からない。教会の暦では、9月第一日曜日を振起日礼拝として守る習慣があるが(これはアメリカのRally Dayから来ているとのことである)、内村が念頭においているのは、このことかもしれない。内村は日露戦争の終結(1905.9.5)を受け、新たな出発を行おうとの決意(三大事業の開始)を述べているのである。

 2013年度の京都大学の演習では、内村鑑三の非戦論関連のテキストを読んできており、かなりの文章にじっくり接することができた。この引用は、12月18日の演習で取りあげた、「秋の到来」(1905.9.10刊行の『新希望』67号に掲載)の冒頭の言葉である。

 ともかくも、1月であれ、9月であれ、わたしたちはそれぞれの到達した地点から今新に歩み出すわけであり、人間に求められているのは、決意を新にして大胆に進むことである。そのための年頭の計、抱負ということである。なお、神の約束・摂理に希望を置くことと、計を立てることとは矛盾することではない(緊張関係にはあるとしても)。これは、モルトマンは、希望の神学を展開する時期に論じた問題である(モルトマン「希望と計画」、『神学の展望』所収)。神に信頼すると言って、自らの責任で計画し実行することを回避しようとするのは、怠慢以外のなにものでもない。
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こんばんは

同志社大学神学部の学部四回に在学するものです。同志社大学神学部の院に進むにあたって自分の研究テーマ、あるいは研究方針を決めようと思っています。私自身はカール・バルトの神学を中心におきながら自分の神学研究を深めてまいりたいと思っているのですが、同時に他分野の研究を取り入れながら、学際的に学びをしていきたいと考えております。どうしても自分の学びを神学だけにとどめることができず、人文科学や社会科学、科学や文学などの知見も学びつつ、それらを研究に活かしていきたいと思っているのです。

芦名先生は様々な分野の研究を同時並行的に進めておられますが、そのような芦名先生から見て学際研究の是非について、あるいはそもそも学際研究とは何かについての定義を御教示していただければ幸いです。

Re: こんばんは

京都大学の芦名です。
コメント拝見いたしました。

 同志社大学神学部大学院への進学を考えておられるとのことですが、バルト研究はやりがいのあるテーマなので、がんばってください。バルト研究との関連で学際的という観点で興味深いのは、日本でもいくつかの翻訳もある、トランスのバルト研究が挙げられるでしょうか(バルト研究プロパーにおいての評価はどうなるかはわかりませんが)。
 お尋ねの学際研究についてですが、基本的には、自分の研究テーマが複数の専門領域を視野に入れることを必要にすると判断されるときには、何らかの仕方での学際研究にならざるを得ない、ということが言えるでしょう。つまり、テーマ設定しだいで、学際研究とは別に新しい研究方法でも、特別の研究方法でもないと思われます。どの学問研究も隣接の関連研究領域との相互のネットワークによって成り立っています。たとえば、バルト研究でも、そのキーワードの「啓示」を論じるためには、バルトのテキストの内部でいくらでも議論ができる一方で、マクグラスが指摘するように、啓示を啓示として受けるのが人間であり、それが人間の脳と密接に関連すると考えるのならば、心理学から脳神経科学の研究を無視できないということになるでしょう。

 以上、取り急ぎ、返信まで。


> 同志社大学神学部の学部四回に在学するものです。同志社大学神学部の院に進むにあたって自分の研究テーマ、あるいは研究方針を決めようと思っています。私自身はカール・バルトの神学を中心におきながら自分の神学研究を深めてまいりたいと思っているのですが、同時に他分野の研究を取り入れながら、学際的に学びをしていきたいと考えております。どうしても自分の学びを神学だけにとどめることができず、人文科学や社会科学、科学や文学などの知見も学びつつ、それらを研究に活かしていきたいと思っているのです。
>
> 芦名先生は様々な分野の研究を同時並行的に進めておられますが、そのような芦名先生から見て学際研究の是非について、あるいはそもそも学際研究とは何かについての定義を御教示していただければ幸いです。


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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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