旧約聖書学の動向

 キリスト教研究はあまりにも広範に及んでおり、自分で直接研究するのはもちろん、自分の研究に関連する研究領域における最近の研究動向をフォローするのも、容易ではない。聖書研究は、キリスト教研究の基本中の基本であるにもかかわらず、新約聖書研究はまだその一端を自分でフォローするように心がけてはいるが、旧約聖書研究となると、信頼できる(と思われる)研究者の研究文献に頼ることになる。わたくしにとっては、その一人が並木浩一先生であり、これまでも先生の研究書にはお世話になってきた。昨年から、『並木浩一著作集』(全3巻)の企画が開始され、昨年一冊、本年二冊の刊行が予定されている。すでに刊行の一冊は、次のものである。

並木浩一
『並木浩一著作集1 ヨブ記の全体像』
日本キリスト教団出版局、2013年8月。

まえがき

第一部 ヨブ記の全体像を求めて
1 ヨブ記 緒論
2 神の弁論は何を意味するか
3 対話のドラマトゥルギー ヨブと神

第二部 ヨブ記の主張と表現の特色
1 ヨブ記のレトリック
2 ヨブ記とヤハウィスト
3 神との闘争と和解の賜物としてのヨブの霊性

第三部 ヨブ記と取り組んだ人々
1 ヨブ記と内村鑑三
付論 ヨブ記における契約──創造と契約
2 ヨブ記と賀川豊彦

初出一覧
あとがき
聖句索引

 並木先生の聖書研究の特徴として挙げられるのは、言語学的方法論が歴史的研究方法とともに積極的に用いられていることであり、第一部の2と3、第二部の1などは、宗教言語論という点でも興味深い。旧約聖書研究は、新約聖書研究以上に、新しい学問的動向に敏感であり、新しい方法論を積極的に用いる傾向にあるように思われるが、並木旧約聖書研究も同様である。本ブログの言語・聖書学から社会科学へという研究計画にとっても参照できる議論が少なくない。

 しかし、この著作集1で特に興味深いのは、第三部に、内村と賀川という近代日本キリスト教を代表する二人の思想家のヨブ記理解をめぐる議論が収められていることである。これは、内村研究、賀川研究という点からも、重要な議論であり、本ブログとはここでも問題が重なることになる。「1 ヨブ記と内村鑑三」の「付論」として収められた「ヨブ記における契約──創造と契約」は、「創造」「契約」のいずれもが本ブログのキーワードであることからもわかるように、いずれ詳細な検討がなされることになるものと思われる(さしあたりは、1月7日の特殊講義で論じられる予定である)。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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