聖書学と言語、レトリック論4

 前回は、並木先生の著作を紹介したが、旧約聖書学と言語・文学と言えば、日本における研究文献として、次の著作を忘れることはできない。わたくしも、文学部キリスト教学に編入学する前に、理学部時代に読んだものであり、懐かしい文献である。

関根正雄
『旧約聖書文学史 上下』
岩波全書、1978年/80年。

<上>
まえがき
序論
第一章 研究史概観
第二章 学問的諸前提
第三章 旧約聖書文学史の方法
第四章 旧約聖書文学の発生
第五章 家族共同体の文学
第六章 部族共同体の文学(一)モーセ時代
第七章 部族共同体の文学(二)連合成立以前
第八章 部族連合共同体の文学
第九章 国家共同体の文学(一)
  第一節 歴史記述
  第二節 救済史家ヤハウィスト
文献注
附注

<下>
第一〇章 国家共同体の文学(二)
  第一節 雅歌──附・詩篇45篇
  第二節 知恵文学
第一一章 国家共同体の文学(三)
  第一節 預言者伝
  第二節 救済史家エロヒスト
第一二章 国家共同体の文学(四)
  第一節 預言文学
  第二節 申命記・申命記史家の文学
第一三章 宗教共同体の文学(一)
  第一節 後期預言文学
  第二節 黙示文学
  第三節 祭司文学
第一四章 宗教共同体の文学(二)
  第一節 哀歌
  第二節 詩篇
  第三節 後期知恵文学
  第四節 物語文学
あとがき
文献注
年表
索引

 旧約聖書文学史とは、このように旧約聖書全体を「文学」「文献」という視点から包括的に分類整理したものであり、文学・言語という視点がどれほど重要であるかが説得的に示されている。この著作が、次の前提に立っていることは、確認すべきであろう。
・文学様式・ジャンルと歴的状況(特に共同体的状況)との相関性。旧約聖書文学は、家族/部族/国家という共同体の展開過程に即してまとめられる。その意味で文学は共同性と結び付いて生成発展したものであり、国家共同体に以降に設定された宗教共同体(王国分裂と崩壊以降のユダヤ教共同体)がきわめて重要な意義を有することがわかる。
 この連関では、ヘブライ語(文字として)の成立をどの歴史的時点で考えるかは重要になるであろう(ダビデ・ソロモン王朝期に遡るだろうか?)
・旧約聖書学で広く共有された文書仮説。ヤハウィスト、エロヒスト、申命記史家、祭司文学。この仮説はきわめて強力ではあるが、繰り替えし再考・修正の試みが行われおり、その動向も気になるところである。根本問題は、文献学的分析と歴史的分析との関連性をどのように見るか(つまり、文学と歴史との関連性)、文献の歴史性の評価をどのように行うか(歴史的懐疑の範囲と妥当性)、ということである。
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