聖書学と言語、レトリック論8

 「聖書学と言語、レトリック論」も、新約聖書研究に戻ります。この連載の最初に登場した、原口さんとともに、現在の日本の新約聖書学でレトリック論と言えば、この人となるでしょうか。

山田耕太
『フィロンと新約聖書の修辞学』
新教出版社、2012年。


略語表

プロローグ
1.ギリシア・ローマ時代のパイデイアと修辞学の教育

第1部 フィロン研究
2.フィロンにおけるパイデイア
3.フィロンにおける修辞学
4.フィロンにおける哲学

第2部 研究史の源流
5.福音書は伝記文学か?
6.新約聖書の書簡文学

第3部 パウロ書簡の修辞学
7.ガラテヤ書の修辞学的分析
8.フィリピ書の修辞学的分析
9.第1コリント1-4章の修辞学的分析
10.ローマ書の修辞学的分析
11.Is Romans an Ambassadorial Letter?

第4部 ヘレニズム・ユダヤ人キリスト教文書の修辞学
12.ヘブライ書の修辞学的分析
13.ヤコブ書の修辞学的分析
14.第一ヨハネ書の修辞学的分析

エピローグ
15.ヘレニズムとヘブライズムにおける福祉思想の源流

修辞学用語集
原題と初出一覧

 新約聖書と古代キリスト教がヘレニズムの思想世界の中で成立展開し、それゆえ、ヘレニズム文化に大きく影響されていることは、研究者の共通認識であり、哲学、文学、言語、そしてレトリック、教育とその影響は広範に及ぶ。実際、ヘレニズムのレトリックと教育(パイデイア)という視点は、いわば古典的な問題設定と言える(多くのしかも優れた先行研究が存在する)。最近の研究は、こうした古典的テーマを新たな学的状況において新しい知見を用いつつ再開すると位置づけられるかもしれない。

「一方では旧約聖書とユダヤ教によるヘブライ文化の神学思想の圧倒的な影響下にあったが、他方では修辞学によるヘレニズム文化の表現形式に圧倒的影響下にあった。」(3)

 このヘブライとヘレニズムの相互作用の場が、キリスト教とその諸文書の成立を規定したものであるわけではあるが、そもそも、ヘブライとヘレニズムのそれぞれがおそらくはかなり広範かつ深い関わりを有していたこと、そして内容と形式という二分法があまりにも限界があること、こうした点を精密に分析する必要がある。そのために、言語・レトリックは重要な研究素材となる。そして、フィロンが注目されるのも当然とも言える。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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