『福音と世界』より

 『福音と世界』(2014.3)が届きました。

今回の特集は、「一神教 vs 多神教?」というテーマです。この問題の枠組みはやや通俗化した感があるものの、現在も繰り返し登場するものであり、そろそろキリスト教研究の立場からの明確が回答が必要とも思われます。特集として収録されたのは、以下の論考ですが、なかなかの力作がそろっているようです。

小原克博「「一神教と多神教」言説を読み解く」
山本芳久「三大一神教の比較思想研究に向けて」
勝又悦子「ユダヤ教における「唯一の神」の意義」
石田 学「日本において三位一体の神と共に生きる」
四戸潤弥「現代日本におけるイスラーム」
黒住 真「日本における一神教・多神教」
中道豪一「神道学者のつぶやき」

 この号では、「書評」でも、山我哲雄『一神教の起源』(長谷川修一さんによる書評)が取りあげられており、「一神教と多神教」という問題がここでも印象的である。

 次に連載であるが、本号もなかなか多彩な内容である。たとえば、
・「70年の名著05」は、宮田光雄さんによるカール・バルト著『教義学要綱』
・寺園喜基さんの「カール・バルト『教会教義学』の世界3」は、「神の言葉」(後)
・「旅する教会」「再洗礼派と宗教改革12」は、栂香央理さんの『アウスブント──殉教者たちの記憶』。讃美歌集『アウスブント』の紹介。

 最後に、横田耕一さんによる連載「自民党改憲草案を読む11」。今回は「さよなら「平和憲法」(3)」。
 国連加盟国の憲法である限り、その内容は国連憲章の制約を受けるという議論からはじまり、憲章二条四項の「武力の行使」の原則的禁止がまず取りあげられる。今回は、この「武力行使」という平和憲法の試金石とも言える論点が扱われる。続いて、この論点に関わる日本国憲法についての政府解釈が検討され、「政府解釈は制憲当初の九条理解からすればかなり後退したものであるが、武力による安全保障に対する一定の歯止めになっていた」(5)とまとめられる。
 さて、問題の「草案」であるが、「草案」は「平和主義」を標榜しているが、「第二章の章名を「戦争放棄」から「安全保障」に変え、「普通の国家」の安全保障体制の構築を目指しているのである」(5)。「突破点は、武力行使を厳格に制限する根拠になっている現行九条二項の「武力保持の禁止」の削除」であり、「武力によらない安全保障」を「ユートピア的発想」(『Q&A』)として削除し、「平和的生存権」も削除するなど、「『案』を「平和憲法」と呼ぶことは到底できない」(5)と結論づけられる。
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