予餞会、次のステップへ

 昨日、京都大学キリスト教学の予餞会が開かれた。2013年度は、卒業者1名、修士課程修了者2名であり、この3名の研究発表(文学部第6講義室、40名程度の参加)が午後1時から5時30分まで行われ、その後、会場を代えて懇親会(樽八、20名弱。例年よりやや少なめか)が行われた。

前半の研究発表は次の通り。
・山田奈緒美「宗教の神学について──J・ヒックの宗教多元主義を中心に」
・張旋「R.R.リューサーのキリスト論──男性の救世主は女性を救えるのか」
・南裕貴子「「伝道の神学」とティリッヒ」

 それぞれ、学部、修士課程の学業の集大成と言える力作であり、今後の展開が期待されるものである(すべての者がキリスト教思想研究を継続するわけではないが)。また、試問がなされた卒論と修論にさらに手が加えられ、改善が見られた。三つの研究発表を通して聴いて感じるのは、三つの発表はもちろん、それぞれが独立したものであり、一見すると、まっかく異なったテーマを論じているように思われるかもしれない。しかし、よく考えれば、三つのテーマは相互に連関し合っており(宗教の神学がキリスト論を焦点としており(神論とキリスト論の関連、あるいは創造論と救済論の連関。ヒックの程度のキリスト論は、この連関を量的な仕方で捉えたものであり、ここに神学的には大きな争点がある)、それは伝道・宣教とは何かという問いを引き起こすことになる)、その連関を意識的に追求すれば、新しい議論の展開が可能であるということである。
 キリスト教思想研究は、そのテーマが広範多岐にわたっており、しばしば、自分の研究テーマがキリスト教研究としてどのような位置づけ・意味づけを有しているのかを見失いがちになり、キリスト教学専修でせっかく同じ場で研究をお粉手入るにもかかわらず、お互いの研究に無関心になりがちの印象を受ける。これはある時期には、しかたがないこととも思われるが、いつまでもこの状況を脱却できないようでは、研究の創造的進展は危ぶまれるように思う。

 三人の発表者は、4月から、新しい次の段階へと進むわけであるが、自分のテーマに集中しつつ、しかし視野を大きく広げて、研究を進展させていただきたいものである。

 予餞会が終わり、2013年度も残りわずか。3月28日に近畿支部会(会場は京都大学文学部)を控えているため、まだすべてが終わりとは行かないが(おまけに論文をあと2本完成させねばならない)、ともかくも、あと少し。そして、2014年度が間近である。ティリッヒ的には、このカイロスをいかに過ごすのか、ということでもある。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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