トレルチ研究

 京都大学でキリスト教学の研究教育を通して得るものはさまざまであるが、その内最大のものの一つは、学生の研究指導において多様な研究に触れることができることである。大学院の博士後期課程あるいは博士論文の指導となると、その研究テーマの最先端の研究に触れることになり、それはわたくし自身にとっても研究の刺激となり、学ぶときとなる(これを苦労と考えるか、楽しみと考えるかは、ケースバイケースであるが)。
 今回紹介するのは、こうした中で、参照することになった研究書の一冊であり、内容は、1980年代以降の「トレルチ・ルネサンス」以降の研究動向におけるトレルチ研究文献んも一つである。トレルチ研究は、京都大学キリスト教学において、そして日本のキリスト教思想研究においても、これまで高い水準の研究が蓄積されてきた分野であり、今後も、若い世代による研究が期待される。

Lori Pearson,
Beyond Essence. Ernst Troeltsch as Historian and Theorist of Christianity,
Harvard University Press, 2008.

Acknowledgements
Abbreviations and Short Titles
A Note on Translations

Introduction
  The Dialogue with Modernity: Troeltsch as Historian and Theorist of Christianity
  Sources for Constructing Troeltsch's Theory of Christianity

Chapter One
The Essence of Christianity and Modern Historical Thinking

  The Background and Argument of Troeltsch's Essay
  Heinrich Rickert and the Study of History
  Troeltsch's Reception and Critique of Rickert's Historical Method
  What does "Essence of Christianity" Mean for Troeltsch?
  The Nature of "Purely Historical" Inquiry
  Locating the Essence: Origins or Development?
  A New View of Authority: Affirming Christianity in the Modern World
  Conclusion: The Essence of Christianity and Troeltsch's Emerging Theory of Christianity

Chapter Two
Christian Origins and the Identity of Christianity

  The Relation of Earliest Christianity to Its Historical Context: Christian Origins as "Purely Religious"
  The Origins as the Site and Source of Lasting Elements of Christianity
  Status and Normative Significance of Christian Origins
  Conclusion

Chapter Three
Charting Continuity and Change: Troeltsch's Conception of Historical Development in the Social Teachings

  Pluralistic Causality
  Continuity; Seeds of Possibility and Development
  The Interaction (Wechselwirkung) of Religious and Social Phenomena
  The Boundaries of Christian Social Philosophy
  Conclusion

Chapter Four
Assessing the Social Possibilities of Christianity: Troeltsch's Use of the Ideal Types

  Typology of Church, Sect, and Mysticism
  Troeltsch's Adoption of the Types: Historical Bachground
  The Types and the Larger Project of the Social Teachings
  Five Uses of the Types
  Equality and Inequality in Christian Social Organization
  The Types and the Challenges of Christianity in the Modern World
  A Spiritual and Sociological "Church"
  Conclusion

Chapter Five
From Essence to Synthesis

  The Development of Troeltsch's View of Historical Phenomena
  Troeltsch's Late Conception of the Historical Object: The Category of the Individual Totality
  Troeltsch's Move form Essence to Cultural Synthesis
  The Cultural Synthesis
  Conclusion

Conclusion
Bibliography
Index


 この研究文献は、Harvard Theological Studies に収録されたものであり、Personの博士論文の指導教員は、英語圏のトレルチ研究者として著名なSarah Coakley (トレルチ研究書Christ Without Absolutesの著者)であり、またティリッヒ研究者として有名な故John Powell Claytonからも指導を受けたとのことである。そのほかに、謝辞には、フィオレンツァ、カウフマン、グラーフなどの名があげられ、この著書の背景がうかがえる。

 本質概念はトレルチの歴史学的方法論の中心に位置するものであり、著者はその哲学的背景を含め詳細に論じており、そこに本書の基礎あるいは特徴がある。また、本書が扱う、類型論、個別性、発展、個別的全体性、そして総合はいずれも、トレルチ思想のキーワードである。そして、著者は、トレルチ思想の展開を、本質から総合への発展として分析している。これはトレルチ研究の争点となるものであろう。
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再度申し訳ありません

芦名先生は多忙であるためブログのコメントになかなか返信できないということを承知でうかがって申し訳ないのですが、明日3月11日の先生の学会での発表は他大学の学部性でも聴講することは出来るでしょうか。お手数おかけして申し訳ありません。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、今後開設の別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します。
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