中世・ルネッサンス研究とキリシタン

 日本のキリシタンが、日本史に限定された問題ではなく、世界史の中に位置することは、キリシタン研究ではいわば常識に属する認識である(一般にどうかはわからないが)。しかし、こうした問題意識は、ヨーロッパ思想史(インテレクチュアル・ヒストリー)研究においても、共有されつつあるようであり、ヨーロッパ思想史における中世・ルネサンス思想研究の進展をあわせて、今後に大きな期待がもたれる。今回紹介の文献は、こうした点で意欲的な論集であり、キリスト教研究が厚みを獲得する上で参照すべきものと言えよう。若い世代の研究者の成果を多く含む点においても注目したい。

ヒロ・ヒライ、小澤実編
『知のミクロコスモス──中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』
中央公論新社、2014年3月。

はじめに(ヒロ・ヒライ+小澤実)

I 学問の伝統と革新
 1 語的一致と葛藤する説教理論家──中世後期の説教における聖書の引用(赤江雄一)
 2 記憶術と叡智の家──ルネサンスの黄昏における伝統の変容(桑野木幸司)
 3 ゴート・ルネサンスとルーン学の成立──デンマークの事例(小澤実)

II 神と自然、そして怪物
 4 キリストのプロフィール肖像──構築される「真正性」と「古代性」(水野千依)
 5 ルネサンスにおける架空種族と怪物──ハルトマン・シェーゲルの『年代記』から(菊池原洋平)
 6 キリストの血と肉をめぐる表象の位相──ラブレーからド・ベーズまでの文学と神学の交差点(平野隆文)
 7 スキャンダラスな神の概念──スピノザ哲学とネーデルランドの神学者たち(加藤喜之)

III 生命と物質
 8 アリストテレスを救え──一六世紀のスコラ学とスカリゲルの改革(坂本邦暢)
 9 霊魂はどこからくるのか?──西欧ルネサンス期における医学論争(ヒロ・ヒライ) 
10 フランシス・ベイコンの初期手稿にみる生と死の概念(柴田和宏)

IV 西洋と日本──キリシタンの世紀
11 「アニマ」(霊魂)論の日本到着──キリシタン時代という触媒のなかへ(折井善果)
12 イエズス会とキリシタンにおける天国(パライソ)の場所(平岡隆二)

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 日本でもこうした領域への研究の展開があることは喜ばしいことである。キリシタン研究者はどう評価するだろうか。
 
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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