卒業の季節

 京都大学では、昨日、修士課程修了者と博士学位取得者への学位授与式が行われた(「みやこめっせ」にて)。全学の授与式の後、文学研究科では証書授与と祝賀会が夕方から行われ、キリスト教学専修からも、博士学位と修士学位を無事に所得した方々が出席していた。
 そして、本日は、卒業式であり、その後やはり文学部で祝賀会が行われる。
 いずれも、文学部/文学研究科の同窓会「以文会」のお世話による開催ですが、すでに行事として定着した感があります(もちろん、わたくしの学生時代は、このようなことはまったく行われませんでした。わたくし自身、入学式も卒業式も出席した記憶はありません)。

 この機会に、以前に「キリスト新聞」の論壇に書いた文章の全文の、このブログにも、収録して、学士・修士・博士の学位を取得し、次のステップに進もうとしている方々へ贈る言葉にしたいと思います(原稿は校正前のものであり、キリスト新聞の論壇のものとは若干のずれがあるかもしれませんが、悪しからず)。

大学便り、受験そして旅立ちの季節
                                   
受験と卒業、大学の今
 東京都知事選挙もソチ五輪も終わった。しかし世界は着実に動いている。この間大学では、2月から3月の受験シーズン、そして卒業シーズンを迎える。師走よりも遙かに忙しいのがこの時期の大学である。知事選挙は、脱原発の立場に立つ者にとって、多くの宿題を残す結果となった。今回の論壇では、受験生や卒業生に向けて、この宿題に関連したいくつかの課題を提示してみたい。

メディア・リテラシーを養うこと
 「舛添氏、高齢層から圧倒的な支持」とは、知事選の分析で目に付いたフレーズであるが、この分析が正確であるならば、これはどう解釈したらよいだろうか。現代人は、現実のさまざまな問題を理解する際に、多様な外的情報源に依存しているが、舛添氏の支持層はもちろん、多くの日本人にとって重要な情報源の一つがマスメディアであることは疑いない。その情報にバイアスがかかっているとき、わたしたちの判断はいったいどうなるだろうか。現代日本という情報化社会において深刻なのは、情報源としてのマスメディアが甚だしく劣化していることなのである。最近のNHK上層部の発言はNHKの報道の信頼性を疑わせるに十分なものであるが、これはNHKだけの問題ではない。これから大学生社会人となる方々に求めたいのは、洪水のように押し寄せる情報の中から信頼できるものを選び出し偏向した情報の誤謬を批判的に見抜く力(メディア・リテラシー)を養うことである。なお、宗教改革の「聖書のみ」が正しい信仰的決断を可能にする情報をめぐるスローガンという側面を持つことからわかるように、メディア・リテラシーはキリスト教とも無関係ではない。

ばらばらの現実を超えて
 もう一つの課題は、福島原発事故以来の脱原発世論の高揚にもかかわらず、知事選で脱原発派が勝利できなかったことに関わる。この点についてここで詳細な分析を行うことはできないが、脱原発候補者の一本化に失敗したことに敗因の一端を求めることができるだろう。核廃絶運動などがそうであるように、さまざまな政治運動がその力を十分に発揮できないのは、運動が対立した諸団体に分裂することによって十分に力を結集できないからである。そして、同様のことはキリスト教界にも当てはまる。教派間、教会間の対立と無関心が多くの弊害を生んでおり、それを乗り越えるはずのエキュメニカル運動自体が日本では機能不全に陥っていないだろうか。一つになるとはかくも難しい課題ではあるが、新大学生新社会人には、既存の縄張り意識や排他意識を乗り越える力を身につけていただきたいものである。「そこではもはや、ユダヤ人もギリシア人もなく、奴隷も自由な身分の者もなく、男も女もありません。あなたがたは皆、キリスト・イエスにおいて一つだからです」(ガラテヤ3・28)。これを単なる理想論に終わらせてはならない。

送る言葉・贈る言葉
 わたしたちは多くの課題に直面しているが、最後に、新大学生新社会人となる方にイエスの言葉を贈りたい。「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている」(ヨハネ16・33)。」
 
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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