自由と経済、あるいは貨幣

 現在、わたくしは京都大学職員組合の副委員長という顔をもち、組合活動に関わっている。今の焦点は、京都大学の内部については、総長選考方法をめぐる攻防であり(4月20日の組合主催のシンポジウム「いま、大学の自治を問う」に注目ください)、日本全体に関わることでは安倍政権下での経済・政治・教育など全般に及ぶは改変である(学校教育法問題はこの中の重要な一環となっている)。問われているのは、自由であり自治である。
 日本の危機は自由の危機であり、この帰結は徐々にしかも痛みを伴って実感されることになると予想される。昨日の本ブログでは、次の世代の研究者について言及したが、この次の世代の研究者に不自由で厳しい研究状況しか残せないとなれば、現在の世代としてほんとうに申し訳ないと言わねばならない。
 しかし、先ほどまで(8:00~8:45)、京都大学正門付近で組合の情宣とビラの配布に参加していたが(昨年秋頃からすでに数十回の情宣となるだろうか)、学生の反応はきわめて鈍い(無反応)、新年度が始まり忙しい、大学の自治など自分に関係あるとは思いのよらない、日常が大切ということかもしれない。自分自身のことを考えれば、この学生たちの心の動きは想像できないこともない。今のわれわれの世代は、大学の自治の危機といっても、あと10年程度を乗り切ればよいという言い方もできるわけであるが、まだ大学に勤務して5年程度の方々や、これから研究職・教育職を目指す方々にとっては、これから長い時間が待っている。

 ビラを配布しながら、「自由と経済・貨幣」について改めて考えてみた。本ブログのテーマでもある。
 時間と自由とは本質的な関わりにある、また時間とお金は或る面で相補的な関係にある。ここでの相補性とは、量子力学で、位置と速度、時間とエネルギーとの不確定な関連性が念頭に置かれたものであり、たとえば、時間とお金とは、一方ととれば他方が犠牲になるという関係にあるということである。キリスト教思想では、エデン追放以降、人間にとって労働は苦しみとなったと論じることが可能であるが(とすれば、終末とはこの状況の克服となる)、この人間的状況下では、労働の場においては、お金を得るためには多くの時間が要求され、自分が「自由」になる時間は制限される。自分の自由=時間を確保するためには、お金=収入が不安定になる覚悟が必要である。研究とは、この自由と経済の相補的な2条件に規定されていると考えられる。問題は、この相補的な条件下で、いかなる最適化された状態を実現するかであり、ここに個人の努力と大学の自治という制度が関わっているわけである。
 こうした問題を、キリスト教思想と経済(経済神学)として展開する上で、示唆的なのは、ミヒャエル・エンデの思想である。
 かなり以前にどこかで紹介したことがあったように記憶しているが、再度、次の文献を上げておきたい。

坂本龍一+河邑厚徳編著
『エンデの警鐘──地域通貨の希望と銀行の未来』
NHK出版、2002年。

対話 プロローグ:エンデの遺言をどう読み解くか(坂本龍一×河邑厚徳)

第一章 未来を奪う経済学
第二章 地域通貨・さまざまな実践
第三章 地域通貨はどこへ行く?

論考 地域通貨から何が見えてきたか──実体経済と貨幣経済の非対称性(森野栄一)

第四章 変わる銀行・生まれる銀行
第五章 オルタナティブな銀行が始まった
第六章 県境と共存する銀行・地域を支える銀行

対話 エピローグ:「お金と銀行」のこれからを問うこと(坂本龍一×河邑厚徳)

おわりに(河邑厚徳)


 この文献が刊行されてしばらくして、リーマン危機があり、3.11大震災、原発事故が発生した。キリスト教思想における経済神学は、実施的にどのような進展を行ってきたのか。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター
カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR