日本社会と介護の現実

 日本社会が直面する諸問題のうち、深刻なものの一つが「介護」であり、その深刻さは、今さら説明する必要もないであろう。しかし、事態はいよいよ「息子による介護」(=息子介護)に及んでいる。嫁介護はもちろん、老老介護にとどまらず、日本の現実は息子介護がもはや例外的事例ではない段階にさしかかっている。息子介護が現在着実に増えており、今後ますます増えることが確実であるならば、こうした事態に対する心構えは個々人に要求されるだけでなく、政治的な対応が必要なはずである。しかし、日本の政治の現実はあまりにも貧困である。宗教が社会といかなる関わりを構築すべきかとう問いは、この介護を含む福祉の問題領域に関連しているのである。「キリスト教と社会福祉」が問われているのは、偶然ではない。
 今回紹介する文献は、この深刻な状況を扱ったものであり、現実は暗い問いだけでは済まされないことがわかる。

平山亮
『迫りくる「息子介護」の時代──28人の現場から』(解説 上野千鶴子)
光文社新書、2014年。

はじめに
【注意! 介護・福祉の現場の方、研究者の方へ】

息子介護の「いま」──統計から見える傾向と、それだけではわからない経験

親の介護と、「妻」との関係 ──嫁のいる息子が介護者となるとき
(1)「夫が看れば、妻は楽」──とは限れない
(2)介護する息子と、その「夫婦のカタチ」

「きょうだいではなく、なぜ自分が・・・」──介護責任をめぐる論理と応酬
(1)男きょうだい:息子介護者にならなかった息子たち
(2)女きょうだい:嫁いだ姉妹との関わり方
(3)「用意周到」な息子はまれである

「息子の看方」とその見方──オトコであることの困難と希望
(1)オトコの家事の、オトコの見方
(2)母を介護する男ゴコロ
(3)父への期待、母への期待
(4)「ミニマムケア」のメリット・デメリット
(5)息子介護者として「仕事を続ける」ことの意味

家族外のネットワーク──家の外で息子が「介護者をする」こと
(1)息子介護者と「職場の人びと」
(2)親の介護と友人関係
(3)地域のネットワーク

おわりに
 「息子介護者」とは誰か
 息子による「女性のしごと」の受け止め方
 わたしたちの、息子介護──確実に増えていく、これからのために

解説 もうひとつの「男性学」──上野千鶴子

あとがき
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