現代聖書学から、クロッサン6(本日分)

 ジョン・ドミニク・クロッサン『イエスとは誰か──史的イエスに関する疑問に答える』から、第6章の抜粋です。
 この第6章では、イエスの宗教運動の社会学的特性が論じられ、犬獣派との対比というクロッサンによる有名な議論(農村。農民を基盤にした犬獣派的な放浪者)が展開されています。

6 キリスト教はイエスの新興宗教か
「イエスは、ローマの植民地化と都市化に疲れ切った農村社会を元気にするつもりでした。そのために、正義の神の完全に平等な理想の王国を宣言したのです。」(109)
「イエスの伝道は、表立った抵抗と密かな抵抗の境い目に位置していました」、「けれどもそれは抵抗だったのです」(111)
「開かれた食卓と無償の癒しをイエスは実践しました。彼の伝道は基本的に、挑発と委ね合いという生き方に人を招くことだった、と思います」、「神との直の触れ合いを参加者に委ねる共同生活のためのものでした。」(112)
「貧困と一文無しの恐ろしい境い目」、「ローマが都市化を進める中で、農民に重くのしかかりました」、「イエスは黙示的な癒しを共有するネットワークを作ったのではないでしょうか」(114)
「「姉妹である妻」とは、結婚した伴侶のことではなくて、男性伝道者に同行する妻同然の女性伝道者ではないでしょうか。なぜ、男女二人連れなのか。答えは明白で、男性の権力と暴力の世界を旅する女性の伝道者を社会的に防御するためです」、「女性にも伝道を許すことだったと私は思うのです」(115)
「犬獣派は自足を重んじますが、イエスの伝道者は共同体への依存を重んじるのです」(117)
「犬獣派は都会的で、イエスは農村的でした」、「イエスの送り出す放浪の伝道者と、それを迎え入れる定住者の間には、相互作用が見られます。イエスの計画は、土地を失った一文無しとまだ生計を立てられる貧乏人の恐ろしい境界線をまたぐ農民運動だったと私は思うのです」(118)
「こうしや貧困の背景には、一世紀初めのパクス・ロマーナの好景気がありました」(118-119)、「都市が農民の生活や周囲の土地に何をしたでしょうか」、「イエスは草の根から農民の生活を建て直そうと計画したのです。神の王国は、放浪者のもとだけにではなく、放浪者と定住者との相互関係のもとに存在します」、「一方には食卓が要るし、一方には癒やしが要る」(119)
「放浪者と定住者の間の緊張」、「「お前にできることをせよ」」、「わたしたちはイエスに人生の新しい可能性を見るのです」(120)
「糧と報酬との違い」、「開かれた食卓という文脈での糧が、給料としての糧に変わりました」、「分かち合う糧は支払われるべき報酬に変わったことは、運動が発展を遂げる瞬間の第一歩だったわけです。それは、新しい共同体から制度へ、運動から教会へと向かう第一歩でした」(121)

 次の議論は、特に興味深いと思います。
「「姉妹である妻」とは、結婚した伴侶のことではなくて、男性伝道者に同行する妻同然の女性伝道者ではないでしょうか。なぜ、男女二人連れなのか。答えは明白で、男性の権力と暴力の世界を旅する女性の伝道者を社会的に防御するためです」、「女性にも伝道を許すことだったと私は思うのです」(115)
「イエスは草の根から農民の生活を建て直そうと計画したのです。神の王国は、放浪者のもとだけにではなく、放浪者と定住者との相互関係のもとに存在します」、「一方には食卓が要るし、一方には癒やしが要る」(119)
 これらはイエスの宗教運動から政治思想を展開する上で、重要なポイントなるであろう。
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