シャンタル・ムフ(1)

 シャンタル・ムフ(Chantal Mouffe, 1943-)は、ラディカルで多元的な民主主義という立場からの政治思想を提唱する思想家として著名であり、日本においても、すでにいくつかの著作の翻訳がなされている。現在は、ウェストミンスター大学の民主主義研究所に所属、政治理論の教授。
 本ブログでは、今年度は、自然神学の社会科学への拡張という構想の中で、聖書と政治思想を取り上げてきているが、その連関で、シャンタル・ムフは注目すべき思想家の一人であり、わたくしの京都大学の講義でも過去に何度も取り上げてきた。
 最近、ムフの著作を何冊か入手したので、その紹介を行いたい。今回は、すでに『民主主義の逆説』(以文社、2006年)として邦訳のある著書である。コンパクトながらも、ムフの基本的な立場が明確にあらわれている。

Chantal Mouffe,
The Democratic Paradox,
Verso, 2009(2000).

Acknowledgments
Foreword
Introduction: The Democratic Paradox
1 Democracy, Power and 'The Political'
2 Carl Schmitt and the Paradox of Liberal Democracy
3 Wittgenstein, Political Theory and Democracy
4 For an Agonistic Model of Democracy
5 A Politics without Adversary?
Conclusion: The Ethics of Democracy
Index

争点は、「政治的なもの」を、どう規定するかということであり、道徳・合理性的討論などの政治的なものとの差違をいかに論じるかである。ムフはその点でシュミットと前提の一部を共有しつつ、シュミットとは別の帰結を導き出そうとする。その際に、ロールズやハーバーマスといった現代の西欧の政治思想の主流とも言える「討議的民主主義」の諸潮流が共有する限界が批判的に検討される。論点は、民主主義にとって複数性は解消不可能な前提であり、それが破局に至らない諸制度を構想するのが政治思想の役割ということである。
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