人文学の課題

 人文学( Humanities)という学問・学会については、さまざまな議論が存在する。最近、文科省から降りてきているミッションの再定義の動向では、国立大学で人文学が必要かとの議論も聞こえてくる。人文学は私立大学にお任せすればよいと言わんばかりの雰囲気である(経済界主導の大学改革の本音とも言うべきものであろうか)。
 ところで、わたくしの学部学生当時の文学部での所属は哲学科であったが(というわけで哲学科の卒業である)、現在は、キリスト教学などすべての専修は人文学科という一つの学科の所属となっている。今の学生は、人文学科卒業となるわけであり、人文学科は学生のアイデンティティに密接に関連しているはずとも思われる一方で、必ずしもそうではないようにも感じられる。学生は、人文学、人文学科についてどのような理解を有しているだろうか。
 このたび、キリスト教学専修の先輩であり、現在北海学園大学に勤務されている安酸から、次の紹介する御著書をいただいた。改めて、人文学について考えさせられた(実は、昨年、北海学園大学人文学部創立20年の記念シンポジウム「人文学の新しい可能性」にシンポジストとして招かれ、話をする機会があった。近々、『人文論集』に収録され刊行される予定である)。人文学についてしっかりした理解を必要と考える方は、ぜひご一読いただきたい。

安酸敏眞
『人文学概論──新しい人文学の地平を求めて』
知泉書館、2014年。

まえがき

人文学の歴史と現状
01 「人文学の終焉」からのスタート
02 ギリシアにおける学知の誕生
03 パイデイアとヨーロッパ的教養の伝統
04 知識人の覚醒と大学の誕生
05 ルネサンス人文主義と「フマニタス研究」
06 「フンボルト理念」と近代的大学の課題

人文学の諸相
07 人間と文化
08 言語と芸術
09 神話・宗教・祝祭
10 時間・記憶・歴史
11 原典と翻訳
12 文献学と解釈学
13 書簡と図書館
14 情報とメディア
15 新人文学/新人文主義のゆくえ
補遺 人文学研究とその方法

あとがき
人文学に関連する文化史年表
主要文献解題
索引

 以上では、各章のタイトルのみのため、中身がわかりにくいかもしれない。実際の目次には、小見題・節に相当する区分のタイトルも掲載されており、内容がいかに多岐にわたるかが理解できるようになっている。年表や文献表などもしっかりしており、「概論」というタイトルにふさわしい内容である。 


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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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